排尿機能の発達は非常に個人差が大きいため5歳で15~20%、10歳で5~10%の子供に夜尿症の症状がみられると言います。保護者が考えている以上に子供が悩んでいるということもあるようです。
夜尿症 の 原因 について対策を含めてご紹介いたします。
夜尿症は原因を知って焦らず対処するのが正解!
夜尿症の原因
夜尿症は子供の性格や保護者の育て方に問題があるのではないかと考えられる方があるようですが、一般的にはそのようなことはないと言われています。
夜間の尿の量は、抗利尿ホルモンの影響をうけています。このホルモンは大人になると昼間は少なく、夜間には多く分泌されるようになるのですが、子供はホルモンの分泌量が安定していません。
夜間の抗利尿ホルモンの分泌が少ないと夜間の尿量自体が多くなるという場合があります。
膀胱の機能も大人に比べると未熟です。大人になると、夜間は昼間の1.5~2.0倍の尿を膀胱に溜めることができるようになると言われています。子供は膀胱の容量も少なく、尿が溜まると膀胱が収縮してしまうようなこともあるようです。
尿量が多くなる原因として、水分や塩分の摂り過ぎも考えられます。とりわけ、就寝前の水分摂取を控えるだけで夜尿症の症状が改善するような場合もあります。塩分を摂り過ぎると、どうしても水分が欲しくなってしまうので注意が必要です。
ご存知のように、ストレスは自律神経の働きに大きく影響します。自律神経はホルモンの分泌をコントロールする視床下部と密接な関係があるので、結果的にストレスはホルモンの分泌に影響を与えてしまうのです。
ストレスは夜間の尿量に関係する抗利尿ホルモンの分泌にも影響を与えます。
非常に稀ではありますが、膀胱や腎臓の器質的な問題が原因になる場合があります。この場合には夜間だけではなく、昼間にも尿漏れの症状があることが多いと考えられます。
その他にも、糖尿病で多尿になったり、てんかんが原因で尿失禁が起こるということなどもあります。
受診のタイミング
上述のように多くの場合、成長とともにホルモンバランスが整い、膀胱の機能が成熟することで夜尿症は治まっていくことが多いものです。
しかし、宿泊をともなう行事への参加時など、保護者が想像する以上に子供が思い悩んでいるようなこともあるようです。子供自身がのストレスにならないような配慮が必要です。
就学の頃まで夜尿症が続いている場合には、小児科や泌尿器科を受診することをお勧めします。ほとんど場合、過剰な心配は必要ありませんので、保護者も焦りは禁物です。実際、小学校低学年の間は経過観察となる場合も多いようです。
夜尿症を防ぐ生活習慣
起床や就寝、食事などの時間を毎日一定にして、規則正しい生活をすることで、自律神経の働きを整えることができます。上述のように昼夜の尿量を適切に配分する抗利尿ホルモンの分泌は自律神経の働きと密接な関係があるために、規則正しい生活が大切なのです。
カフェインを含む飲み物を摂ることを止めて、昼間に6回以上、規則正しくトイレに行く習慣をつけることも大切です。
午前中から夕方ににかけて、水分摂取の量をだんだん減らしていくような水分の摂り方を心がけましょう。特に、就寝の2~3時間前からは水分摂取を控え、必要な場合にも200CCまでにしておくようにすると効果的です。
ご存知のように、膀胱の容量を増やすためには排尿を我慢する訓練が有効だと言われています。ただし、あまりにも我慢しすぎると腎臓に悪影響が出ますので注意してください。
夜尿症の治療
おねしょアラーム
8歳前後になった子供が夜尿症を治したいと希望した場合に試みられる場合がある条件づけ訓練法です。尿でパンツが濡れるとアラームが鳴るため、子供を起こして、残っている尿をトイレで排尿させるというものです。
最低3ヶ月続ける必要があると言いますが、効果が出てくると朝まで尿を膀胱に溜めておけるようになります。
デスモプレシン
夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンを補って、夜間の多尿を防ぐことで夜尿を生じさせないようにする薬です。半数の子供に効果があると言われています。効果がある場合には、修学旅行など宿泊をともなう学校行事の時だけ利用するというようなこともできます。
抗コリン薬
膀胱の収縮を抑制する薬です。膀胱に溜められる尿量を増やすことができます。夜尿症にはおねしょアラームやデスモプレシンと併用されることが多いと言います。
トフラニール
うつ病の治療に使われるこの薬は以前から夜尿症の治療に抗コリン薬と組み合わせて投与されることがあります。
まとめ
夜尿症は原因を知って焦らず対処するのが正解!
夜尿症の原因
受診のタイミング
夜尿症を防ぐ生活習慣
夜尿症の治療