ネフローゼ症候群とは血液中のたんぱく質が少なくなって全身がむくんでしまう腎臓の病気です。小児のネフローゼ症候群は原因不明と言われていて、治療に時間がかかることが多いようです。
小児 の ネフローゼ症候群 について治療法や日常生活の注意点も含めてご紹介いたします。
こんなことに注意!小児ネフローゼ症候群の日常生活
ネフローゼ症候群とは
ネフローゼ症候群とは腎臓から大量のたんぱく質が尿に漏れる病気です。大人の場合は腎炎などの病気から発症しますが、小児の場合は90%が原因不明で「特発性」といわれるものです。2~6歳によくみられ、男児に多い傾向があると言います。
1年間に1,300人の小児が発症し、その割合は10万人に5人だと言われています。
ご存知のように、腎臓は血液をろ過して、体内の老廃物を尿と共に排出します。この際、ろ過の働きをするのは、腎臓の糸球体という毛細血管の塊の部分です。
ネフローゼ症候群はこの糸球体に何らかの障害が起こるために、尿に大量のたんぱく質が出てしまい血液中のたんぱくが足りなくなってしまう病気です。
タンパクが足りなくなった血液は薄くなってしまうため、余分な水分が体に溜まってしまうことになり、全身のむくみという症状を引き起こしてしまいます。
ネフローゼ症候群の症状
特徴的な症状はむくみです。手足がむくみ靴がきつくなって入らなくなったり、まぶたが腫れぼったくなり顔全体がむくみこともあります。また、むくみのために体重が増えることもあり、病状の経過に伴ってむくみは全身におよぶと言います。
顔色が悪くなって、食欲が低下する場合もあります。また、お腹や胸、男児の場合には陰嚢に水が溜まることがあります。
小児に起こる特発性ネフローゼ症候群の原因は微小変化型がその多くを占めると言われていて、大量のたんぱく尿やむくみはみられるものの、血尿は少ないと言われています。
ネフローゼ症候群の治療
小児に多い微小変化型ネフローゼ症候群の場合には腎臓の糸球体にほとんど変化が見られないために患者の9割以上の尿たんぱくが消失し完全寛解しますが、寛解後に7割が再発すると言われています。
一般的には2ヶ月程度入院して、ステロイド剤の投与と塩分を制限した食事療法を行うことになります。ステロイド剤は6か月間ほど継続することが多いようです。
上述のように、小児ネフローゼ症候群は再発することが多いことも特徴だとされていますが、ステロイド剤は止めると再発することから、場合によって数年単位で投与されることがあります。
ステロイド剤には肥満・高血圧・糖尿病・成長障害・骨粗鬆症などの副作用があることが知られていますので、場合によっては免疫抑制剤が投与されることもあります。
入院加療を終えて退院してからも、食事は塩分を抑えなければなりません。むくみがひどい時には安静が必要です。
小児ネフローゼ症候群の日常生活の注意点
ネフローゼ症候群そのものによっても免疫力が低下しますが、治療に用いられるステロイド剤や免疫抑制剤の影響で免疫力が低下して感染症にかかりやすくなります。軽い風邪症状でも重症化をまねくこともありますので、注意が必要です。
体がむくむと皮膚のバリア機能が低下します。また、細菌などに感染しても重症化してしまうこともありますので、皮膚の清潔を保つことも大切です。
むくみがある時は安静にして尿量を増やし、むくみを改善する必要があります。一方で、運動の制限をし過ぎるとストレスになるだけではなく、骨粗鬆症の原因にもなってしまうというジレンマがあります。この点については担当医とよく相談することをお勧めいたします。
また、大人の場合には腎機能を守るためにたんぱく質を制限することがありますが、小児の場合、成長障害を避けるために腎機能のレベルにあわせたたんぱく質の制限となります。水分や塩分の制限も含めて栄養指導を受けるとよいでしょう。
まとめ
こんなことに注意!小児ネフローゼ症候群の日常生活
ネフローゼ症候群とは
ネフローゼ症候群の症状
小児ネフローゼ症候群の日常生活の注意点