赤ちゃんが突然、激しい 夜泣き をするようになったら、それは重要な痛みのサインかもしれません。腸重積症は、 新生児 、乳幼児に発症が多く、見逃すと重篤化して死に至ることもある疾患です。もしものときに早く適切な対応が出来るように、腸重積症のことを知っておきましょう。
新生児の突然の激しい夜泣きは腸重積症のサイン?
腸重積症とは
腸重積症とは、口側の腸管の一部が肛門側の腸管内にはまりこみ、腸管の壁同士が重なり合うことによって起こる腸閉塞症です。
新生児、乳幼児にみられる消化器疾患で、一般に1歳未満の乳幼児に多く発症します。男の子の方が女の子の2倍ほど多く発症するという統計もあります。日本では年間4,000人前後が罹患していると推定されています。
腸閉塞(イレウス)では、飲食物や消化液の通り道が塞がった状態となります。そのため、おなかが張ることによる痛みや、逆流による吐き気、嘔吐を訴えます。また、腸管が折り重なっているために、その部分を走行する血管内の血液の流れも滞り、虚血状態となってしまいます。
時間が経つと腸管の組織が壊死を起こしてしまい、その部分の切除が必要となります。
腸重積症の成因
この疾患の多くは原因不明ですが、ポリープや悪性リンパ腫、メッケル憩室などの器質的な基礎疾患が関係している場合や、アデノウイルス等のウイルス感染や細菌性腸炎が関与しているという報告もあります。実際、約4分の1の腸重積症の赤ちゃんに風邪の症状を認めます。
生まれて間もない新生児期の発症はまれですが、胎児期(母親の胎内にいる時期)にこの疾患にかかると、赤ちゃんは腸管の一部が詰まった先天性閉鎖症の状態で生まれてくることになります。
主な症状
腸重積症の主な症状には以下のようなものがあります。
- 腹痛ないし不機嫌
- 血便(浣腸を含む)
- 腹部腫瘤ないし膨満
- 嘔吐
- 顔面蒼白
- ぐったりして不活発
- ショック状態
特に腹痛、血便、嘔吐が三主徴として有名ですが、早い段階では3つの症状全てが現れるのは10~50%程度です。最初に現れる症状として頻度が高いのは腹痛です。腹痛は、初期の段階では消化管の蠕動運動に伴う間欠的なものが典型的で、時間が経つとともに持続的な痛みへと変わります。
腸重積症は成人に馴染みがなく、また胃腸炎などの他の消化器疾患と似た症状もあるため、知らないと見逃してしまう可能性があります。緊急性の高い病気なので、異変に気づいた場合はすぐに病院へ行きましょう。
夜泣きの特徴、理由
赤ちゃんは言葉を話すことが出来ないので、お腹の痛みを泣くことで表現します。間欠的な腹痛では、急に泣いたり、泣きやんだりを繰り返します。先ほど触れたように、腸重積症で頻度の高い症状は腹痛です。
赤ちゃんがいつもと違う泣き方をしているときは、体に起こった異変を伝えようとしているのかもしれません。そのサインを見逃さず、泣き方の特徴や顔色、ぐったりしていないかといった全身状態までよく観察することが大事です。
早い対応が大切
腸重積症では、時間の経過によって生存率や治療の方法が変わります。早い段階で診断がつけば、手術をせずに、空気やバリウムを肛門から送り込んで圧を加えることにより、嵌入部分を押し戻す治療を行うことが出来ます。この治療によって約8割は問題なく退院することが出来ます。
しかし、発症から時間が経って腸管に壊死や穿孔を生じた重症例では、外科的手術が必要となります。赤ちゃんの異変に早く気付くことで、治療の負担やリスクを減らすことが出来るのです。一般的には、発症後24時間以内の治療が勧められています。
多くの場合、病院の外来で侵襲性が低く簡便で迅速に行える超音波検査が診断に有用です。「もしかしたら」と思ったら、夜間であってもすぐに救急外来で診てもらいましょう。
治療後の再発率は10%程度です。多くはありませんが、再び同じ症状が現れた場合も迅速に対応できるように、可能性を考慮しておく必要があります。
まとめ
新生児の突然の激しい夜泣きは腸重積症のサイン?
腸重積症とは
腸重積症の成因
主な症状
夜泣きの特徴、理由
早い対応が大切