水疱瘡 は小さな子どもによくみられるありふれた病気ですが、 跡 になることも多く、後々、コンプレックスになってしまうこともある怖い病気です。発症したら、早い段階で治療を開始し、発疹の数を減らして跡になる可能性を下げることが大切です。
水疱瘡は跡にしないために早期治療を心がける
水疱瘡とは
水疱瘡は幼稚園や保育園で集団生活をしていると、よくみられる病気のひとつです。初期症状では、倦怠感や頭痛、食欲の低下などがみられ、37度前後のあまり高くない発熱があることもあります。
その後、2、3日してから小さな赤い発疹が全身にあらわれます。徐々に体に広がっていきますが、症状が軽いときは個数が非常に少ないということもあります。全身にかなり多くの発疹があらわれて、口の中や頭の表面にもできるということもあります。
ふくらみを持った丘疹で、かゆみのある水ぶくれとしてあらわれます。時間の経過とともに、膿疱になってその後かさぶたになります。初期の症状があらわれる数日ほど前から発疹が枯れてかさぶたになるまで、非常に強い感染力があります。
水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスが原因で発症します。くしゃみや咳、タオルやコップの共有などでも感染が広がっていきます。潜伏期間が10日から21日ほどあり、感染に気付かないまま、幼稚園などに登園してしまい、さらに感染が拡大していくこともよくあります。
水疱瘡の治療
水疱瘡だと診断がついたら、アシクロビルや塩酸バラシクロビルなどの薬を使って治療を始めます。商品名では、ゾビラックスというものが一般的です。
抗ウイルス薬で、発疹があらわれてから2日以内に飲み始めると効果が高いとされています。この薬を服用することで、発疹や水ぶくれの数自体を減らすことができます。
また、発疹はかゆみを伴うため、かゆみ止めが処方されることもあります。フェノール亜鉛華リニメントのカチリという薬が処方されることが多いでしょう。水ぶくれや発疹のひとつひとつに塗っていきます。水ぶくれをつぶさないように、丁寧に行うことが大切です。
水疱瘡では、あまり熱が高くなることはありませんが、高熱がみられるときは、解熱剤が処方されることもあります。ただし、水疱瘡のときには使ってはいけない解熱剤がありますので、必ず医師の処方の薬を使うようにしましょう。
アスピリン系の解熱剤は、重篤な脳症を引き起こすことがあるとされています。アセトアミノフェン系のカロナールなどは、比較的安全に使うことができるため、解熱剤として処方されることもあります。
水疱瘡の跡を残さないために
水疱瘡の程度が重いときや、水ぶくれが細菌感染し、膿んだり腫れたりしてしまうと跡が残ってしまうこともあります。水疱瘡の初期症状があらわれたら、できるだけ早く病院に行くようにしましょう。
水疱瘡に効く抗ウイルス薬は、早く服用を始めればそれだけ効果も高くあらわれます。体の表面にあらわれる発疹の数自体を減らすことが、跡にしないために最も効果的だと考えられています。
また、かき壊してしまうと跡になってしまうことがあります。なるべくかかないように、子どもに言って聞かせましょう。「かいてしまうと、もっと痛くなってしまうから、かかないでね」といった風にできるだけわかりやすく説明してあげましょう。
幼稚園から小学校にあがる程度の子どもなら理解してくれることもあります。ただ、乳幼児には言ってきかせてもかいてしまうことが多いので、爪を切ったり、ミトンなどで手を覆ってしまったりして対策をしておきましょう。
水疱瘡の跡が残ってしまったら
気を付けていても、水疱瘡の跡が残ってしまうこともあります。女の子で特にお顔に跡が残ってしまうとコンプレックスになってしまうことも考えられます。最近は、美容皮膚科や形成外科などで手術を行って跡を目立たせなくする手法もあります。
水疱瘡の跡の治療には、ケミカルピーリングやレーザー治療、切除縫縮手術などが一般的に用いられています。もりあがった跡はケミカルピーリングやレーザー治療などで効果がみられることもありますが、へこんでしまった跡ではあまり効果が感じられないこともあります。
それらの跡には、へこんだ部分を切り取って、傷口を縫うという切除縫縮手術のほうが効果的である場合もあります。ある程度、大きくなってから子どもと相談の上、納得できる方法で手術を行うようにするといいでしょう。
水疱瘡の予防接種
水疱瘡は予防接種が2014年10月から定期接種として認められました。原則として1歳と2歳の子どもが対象で、合計2回の接種を行います。2015年3月までは経過措置として、3歳と4歳の子どもにも接種を行っていました。
小さい赤ちゃんのうちに水疱瘡の予防接種を多くの人が打つことで、大流行を防ぐという効果もあります。水疱瘡の程度が軽ければ、跡になる確率も低くなります。
小さいときに水疱瘡の予防接種が定期接種になっていなかったという人は、病院で相談の上、予防接種を受けるようにするといいでしょう。
まとめ
水疱瘡は跡にしないために早期治療を心がける
水疱瘡とは
水疱瘡の治療
水疱瘡の跡を残さないために
水疱瘡の跡が残ってしまったら
水疱瘡の予防接種