はしか は、ウイルス性の感染症で、麻疹(ましん)とも呼ばれます。ワクチン接種で予防が可能であるにもかかわらず、接種率は約50%と極めて低く、数年単位で流行がみられ、免疫をもたない成人感染例での重症化が問題となっています。
はしかを正しく知って子供を守ろう!
はしかってどんな病気?
はしかは、麻疹ウイルスによるウイルス感染症です。感染力が非常に強く、致命的な合併症を引き起こすこともあることから、世界中ではしかを排除することを目標に国をあげての取り組みがなされています。
はしかの潜伏期間は約10~12日間です。その間にウイルスは全身に広がり、38度台の発熱、咳、鼻水、全身けん怠感など風邪と似た症状が数日続きます。
その後、口の中に白いブツブツができることがあります。これはコプリック斑と呼ばれ、はしかに特徴的な所見です。それから数日後に、顔~首から始まり全身に広がる発疹がでて、39~40度台の高熱を伴います。
空気感染や、飛沫(ひまつ)感染、接触感染のいずれの方法でも感染します。1歳と中高生に発症のピークがあります。
「成人麻疹」は重症化しやすい
麻疹ワクチンの普及、少子化、ライフスタイルの変化などにより、子供の時期にはしかにかかる人が減り、麻疹ワクチン接種をせずに大人になる人が増えてきました。
このために、10歳~30歳代でのはしか発生数が上昇しており、はしかに対する免疫をもたない成人がはしかにかかってしまう「成人麻疹」が問題になっています。
成人のはしかは、乳幼児よりも重症化しやすく、脳炎といった中枢神経合併例が子供と比べて相対的に多いため、後遺症を残すこともあります。
予防接種の大切さ
はしかはワクチンを接種して発症を予防することができます。接種は1歳から可能であり、日本ではMR(麻疹・風疹混合)ワクチン2回接種制度を導入しています。
中高生に感染者が増加していることから、予防接種を受けていない人はもちろん、1度受けたことがある人も、中高生でもう一度MRワクチン2回接種を受けることが推奨されています。
はしかの治療は?
はしかウイルスに特異的な抗ウイルス薬はないため、対症療法となります。肺炎や中耳炎を合併することもあり、入院率は約4割です。
このことから、はしかは予防接種にまさる治療はないと言われています。ワクチン未接種の状態のときにはしかの患者さんと接触した場合、接触後48時間以内にワクチンを接種する、または接触後5日以内にγグロブリン製剤注射を受けることで発症を予防、または軽症化させることができます。
はしかは、集団感染、家族内感染も多いため、患者さんの家族や周囲の人も早期に医療機関を受診し、周囲へ感染が波及しないように努めましょう。
覚えておきたい はしかの怖い合併症
はしかが最も怖いのは、その合併症にあります。肺炎、脳炎、中耳炎、心筋炎などが報告されてり、なかでも、感染してから数年~数十年後に発症する重症の脳炎や亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる疾患が、はしか患者さんの約10万人に1人の割合で起こることが分かっています。
はしかにかかってしまったら
はしかはその感染力の強さと、重大な合併症から、感染症法に基づく5類感染症に定められています。登校基準は、「発疹に伴う発熱が解熱したあと、3日経過するまでは出席停止」と述べられています。
はしかは発熱が出現する前から、他者への感染力をもち、風邪に似た症状がでるころが最も感染力が強く、発疹が消失しても4~5日は感染力が持続すると言われています。
子供の将来のためにも、周囲へ感染を広げないためにも、周りの大人が正しい知識をつけて、子供たちを守ってあげましょう。
まとめ
はしかを正しく知って子供を守ろう!
はしかってどんな病気?
「成人麻疹」は重症化しやすい
予防接種の大切さ
はしかの治療は?
覚えておきたい はしかの怖い合併症
はしかにかかってしまったら