急性虫垂炎は、発症する割合はそれほど高くありませんが、子どもにとって珍しい病気ではありません。また、重症化すると生命を脅かすこともあるため、常に頭に入れておくべき病気の一つです。では、どのようにして急性 虫垂炎 が発症するのか、その 原因 について見ていきましょう。
どうして発症するの? 急性虫垂炎の原因とは
急性虫垂炎とはどんな病気なのか
虫垂とは大腸の一部で、長さ5~10cm、太さ1cmほどの管状の臓器です。右下腹部の小腸と大腸がつながっているところにある「盲腸」に、しっぽのようにぶら下がっています。
これまで虫垂は、何の役にも立たない無用の器官だと考えられてきました。しかし最近の研究では、虫垂には発達したリンパ組織があり、免疫機能を高めるのに役立っていることがわかってきています。また、腸内細菌のバランスを保つのに重要な役割を果たしていることも明らかになってきました。
この虫垂に化膿性の炎症が起きたものが、急性虫垂炎、いわゆる盲腸です。生まれてから死ぬまでの間に、急性虫垂炎にかかる人の割合(生涯罹患率)は7~8%です。15人に1人がかかる計算ですので、決して珍しい病気ではありません。
患者は10代から20代が最も多いですが、幼児からお年寄りまで年齢に関係なくかかる病気です。厚生労働省のデータ(平成23年患者調査)によると、患者の数は年々減少しています。2011年には、1984年の3分の1にまで患者数が減っています。
どうして虫垂が炎症を起こすのか
どうして急性虫垂炎になるかについては、さまざまな説が提唱されていますが、いまのところ確実に「これだ」といえるものはありません。ただ、もっとも有力だと考えられているのは、次のようなものです。
まず、管状になっている虫垂の入り口が、何らかの原因でふさがってしまいます。ふさがったことによって虫垂の粘膜が腫れ、血液の流れが悪くなります。そこに細菌やウイルスが感染することでひどい炎症を起こし、急性虫垂炎を発症するのです。
では、どうして虫垂の入り口がふさがってしまうのでしょうか。
急性虫垂患者の25%は「糞石」を持っている
もっともよく言われている原因が「糞石」です。糞石とは、大便が固まって石のようになったものです。食物繊維などを核にして、その周りに便が何層にも重なってくっつき固まるのです。大きいものでは、10cmを越えるものもあります。
この糞石が盲腸のあたりで発生し、それが何かの拍子に虫垂の入り口につまってしまうのです。急性虫垂炎の患者の25%に、糞石が見られるそうです。
では、糞石をつくらないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。まずは、便秘にならないことです。便通をよくして、便が固まりにくい環境にすることが大切です。
また、糞石の核になる物質として最も多いのが「髪の毛」です。もし髪の毛を食べる癖(食毛症)を持っているようでしたら、治すようにしてください。
免疫力を落とさないようにする
細菌やウイルスの感染そのものが、虫垂の入り口をふさいでしまうのではないかという説もあります。サルモネラ菌などが感染することで、リンパ組織が局所的に反応して入り口をふさいでしまうのです。
こうした細菌やウイルスの感染を抑えるためには、免疫力を落とさないようにすることが大切です。不規則な生活や睡眠不足、偏った食生活などは、改善するように心がけましょう。もちろん、ストレスを抱えこむのもよくありません。
最近では、大人だけでなく子供のストレスも注目されています。子供がストレスを感じていることはないか、子供を取り巻く環境もチェックしてみてください。
急性虫垂炎の特徴が見られたら急いで受診を
虫垂の入り口をふさぐ原因としては、「糞石」や「細菌・ウイルス感染」の他に「リンパ組織の肥大」や「腫瘍」なども挙げられています。
いずれにせよ、急性虫垂炎は診断法や治療法が確立されていて、治療後の見通しも良い病気なので、いったん診断がついてしまえば、それほど心配はいりません。
しかし、放っておくと時間とともに症状が悪化し、重症化するとさまざまな合併症を引き起こすため、幼児やお年寄りでは死に至ることもある恐ろしい病気でもあります。
もし子供が腹痛を訴え、急性虫垂炎の特徴が見られる場合には、決して重症化させることのないよう、早めの受診を心がけてください。
まとめ
どうして発症するの? 急性虫垂炎の原因とは
急性虫垂炎とはどんな病気なのか
どうして虫垂が炎症を起こすのか
急性虫垂患者の25%は「糞石」を持っている
免疫力を落とさないようにする
急性虫垂炎の特徴が見られたら急いで受診を