虫垂炎とは虫垂に炎症が起こるものです。「盲腸」「盲腸炎」とも一般的には言われています。虫垂とは盲腸の内側に付属する臓器ですが、特に大きな役割は無いため失っても問題ないと言われています。
虫垂炎は性別問わず、全ての年齢層に発症しますが10代~20代に多くみられ、乳幼児や高齢者には少ないです。
急激な腹痛が出現し、手術などの治療を要する病気を総称して「急性腹症」と呼びますが、 虫垂炎 は急性腹症の中でも最も頻度の高い病気で、緊急手術を要することも多くあります。
虫垂炎とはどのような病気なのか?
何が原因で起こるのか?
虫垂炎の原因は様々な説が唱えられていますが、はっきりしたものは未だに分かっていません。若者の場合はリンパ組織の過形成、成人では糞石(便が集積し粘土のようになったもの)や異物などが主な原因とされています。
これらの理由により虫垂の内側が狭窄や閉塞を起こし血行障害をきたすと共に、細菌感染が合併して炎症を起こします。さらに進行すると炎症部分が壊死を起こし、腸に穴をあけます(穿孔)。これはかなり重症な状態です。
誘発するものとしては、暴飲暴食や疲労、ストレス、頻回に続く下痢などが挙げられます。
どんな症状が出現するの?
虫垂炎の症状は炎症の程度によって様々です。典型的な主症状としては、嘔気・嘔吐、食欲低下、みぞおち周囲の痛み(心窩部痛)などがあります。心窩部痛は時間経過と共に徐々に臍周りに移動していき、最終的に右下腹部に限局します。
心窩部痛を訴えている時でも右下腹部を押さえると一緒に痛みを伴います。また、発熱を伴っている場合も多くみられます。診察では腹部の触診などで症状を確認しますが、乳幼児の場合は触診での診断が難しく虫垂炎の症状の進行も早いです。
高齢者の場合は症状が明確でないことも多いため、乳幼児や高齢者の場合は診断に時間を要します。その結果、乳幼児や高齢者は穿孔など起こす場合も多くあります。
また妊婦さんが虫垂炎になった場合も同様に、妊娠により大きくなった子宮に虫垂が右上方に押し上げられる為、妊娠週数により診断に時間を要する場合があります。
治療はどのようなことをするの?
治療としては、軽症のものでは手術をしなくても良い場合もあります。その場合は、抗生剤の投与、安静、絶食などで様子をみます。しかし、再発するリスクもあるため軽症でも予防的に手術を行う場合もあります。
統計上では、虫垂炎の再発のリスクは高いというデータが出ています。医師とよく話し合い治療方針を決めることが大切です。
炎症が強い場合はすぐに手術を行います。手術では虫垂を切除し、穿孔などで腹膜炎を起こしている場合は管を入れて膿など排出します。虫垂炎の手術は比較的簡単で、入院期間も1週間程度です。
今まではお腹を開いて行う開腹手術がメジャーでしたが、最近では小さな穴を3ヶ所だけあけて行う腹腔鏡手術が主流となってきており、傷口も小さく出来ます。しかし虫垂炎の進行状態などによっては安全性を考えて開腹手術で行う場合もあります。
虫垂炎の手術後とは?
虫垂炎の手術を受けた場合、翌日状態が安定していたら積極的に寝返りなどで身体を動かし、可能であれば歩行を開始します。虫垂炎の進行程度によっては手術による身体へのストレスが大きかった場合もあるので、活動の範囲は医師や看護師の指示に従うようにして下さい。
また食事も手術の大きさによっても変わりますが、ガスが出て、吐き気などの症状もみられなければ手術の翌日から開始されることが多いです。手術による痛みなども多少あるとは思いますが、出来る限り身体を積極的に動かすことが普段の日常生活を早期に戻すことに繋がります。
まとめ
虫垂炎とはどのような病気なのか?
何が原因で起こるのか?
どんな症状が出現するの?
治療はどのようなことをするの?
虫垂炎の手術後とは?