子どもは風邪などの感染症でも頭痛を感じることがありますが、 後頭部 の 頭痛 では命にかかわる病気を発症していることもあるので注意が必要です。子どもは言葉でうまく自分の状態を伝えることができないので、よく観察し、どこが痛いのか探ることも大切です。
恐ろしい病気が潜んでいることもある後頭部の頭痛
子供によくみられる頭痛
一般的によくみられる頭痛には、筋緊張性頭痛と片頭痛があるといわれています。しかし、子どもの場合、大人とは異なる原因で頭痛を感じることが多く、さまざまな要因で頭痛が起こります。
子どもの頭痛でもっとも多くみられるのは、ごく普通の風邪やインフルエンザなどのウイルス感染や咽頭炎などの際にあらわれる発熱が原因となる頭痛です。
このような頭痛を血管性頭痛といって、頭蓋内の末梢神経が高熱を出すことによって、拡張してしまい、痛みを感じます。
ほかにも、扁桃炎や中耳炎、副鼻腔炎といった細菌感染でも頭痛を引き起こすことがあります。
また、なにか嫌なことがあったり、学校や幼稚園、保育園に行きたくなかったりするときにも、心因性の頭痛を感じることがあります。心因性の頭痛では、嘔吐してしまうこともあります。
さらに、子どもはよく動くので、転んで頭を打ちつけてしまい、痛みを感じるということもあります。頭部の打撲は命にかかわることもありますので、強く痛みを訴えるようであれば、すぐに病院に連れていくようにしましょう。
このように小さな子どもでも、日常的に頭痛を感じる機会は多く、重篤な疾患と区別するのがとても重要になってきます。子どもは痛みを感じている場所を正確にあらわすことができなかったり、違った言い方で痛みをあらわしたりします。
赤ちゃんではただ泣くことしかできないという場合もあります。親は、子どもの行動をよく観察して、どこが痛いのか、どのように痛いのかを把握できるよう努める必要があります。
後頭部が痛む頭痛の原因
頭痛はさまざまな部位で起こります。ごく軽く痛みを感じている場合から、何もできないほどひどい頭痛まで頭痛の程度もさまざまです。後頭部が痛むという子どもの頭痛の場合、重篤な疾患が隠れていることがあるので、注意が必要です。
後頭部が痛む頭痛の原因で、命にかかわる重篤な病気として考えられるのが、「髄膜炎」、「脳腫瘍」、「くも膜下出血」の3つです。これらの3つの病気を詳しくみていきましょう。
髄膜炎
髄膜炎は、脳を覆っている髄膜という部分に炎症が起きることで発症する病気です。髄膜炎は、風邪などで体の中に入ったウイルスによって起きる無菌性髄膜炎と、細菌によって起きる細菌性髄膜炎というふたつに大きくわけることができます。
髄膜炎を発症すると、高熱と嘔吐があらわれます。さらに、項部硬直という首のあたりが硬くなってしまうという症状がみられます。
首の付け根あたりに痛みを感じることが多いのですが、子どもでは後頭部が痛いと訴えることもよくあります。また、背中のあたりまで痛いという子どももいます。
髄膜炎のうち、細菌性髄膜炎は死亡率も高く、非常におそろしい病気です。発熱、嘔吐を伴って、後頭部の痛みを訴えるようであれば、できるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
髄膜炎が疑われる場合は、すぐに対応できるよう、検査もふくめて入院することが多いといわれています。
脳腫瘍
脳腫瘍も後頭部に痛みを感じることがある病気のひとつです。脳腫瘍というと、1万人に1人程度の発生率ですが、子どもの癌では白血病に次いで多い病気で、とても珍しい病気というわけではありません。脳腫瘍の痛みはだんだんと強くなっていく傾向があります。
いつも同じ部分の痛みを訴えてくるようであれば、一度、病院を受診してみると安心です。脳腫瘍の場合には、麻痺やしびれといったほかの症状も徐々にあらわれてくるので、普段の様子を観察することが非常に大切です。
くも膜下出血
くも膜下出血はどの年代でも発症しますが、子どものくも膜下出血は、先天性の血管異常が原因で起きることが多く、くも膜下出血を発症してはじめてこの血管異常について知ることもあります。
また、子どもでは遊んでいるときに、高いところから落ちたり、野球のバットの様な棒で頭を打ったりして発症することもあります。子どもは、遊んでいるときの事故について、親やまわりの大人に報告したがらない傾向があります。
頭痛が生じる直前の行動について、できる限り把握し、病院で報告できるように備えておくとよいでしょう。
まとめ
恐ろしい病気が潜んでいることもある後頭部の頭痛
子供によくみられる頭痛
後頭部が痛む頭痛の原因
髄膜炎
脳腫瘍
くも膜下出血