日本ではあまり知られていない髄膜炎菌感染症ですが、一度発症すると進行のスピードが非常に早く、命に関わることも多い病気です。ようやく日本でも髄膜炎菌ワクチンの接種が始まりました。
親は 髄膜炎菌 ワクチン について理解を深めておくことが大切です。
日本でもようやく始まった髄膜炎菌ワクチン接種
髄膜炎菌感染症とは
髄膜炎菌感染症は、世界中で年間50万人が発症し、5万人が死亡するという非常に危険な細菌感染症です。アフリカのサハラ砂漠より南のエリアにある髄膜炎菌ベルトと言われるところでは、現在も流行がみられます。発展途上国だけではなく、先進国でも発生している病気です。
劇症型の侵襲性髄膜炎菌感染症を発症すると、進行が非常に早く、あっという間に命を落としてしまうこともあります。日本国内でも年間、数十例が発生しています。
髄膜炎菌とは
髄膜炎菌は、健康な人でも保有している細菌のひとつで、誰でも感染の可能性があります。髄膜炎菌は莢膜(きょうまく)という厚い膜でまわりを覆われた細菌で、ヒトがもともと持つ免疫機能では排除しにくく、体の中で増殖しやすいという傾向があります。
この莢膜という構造を持つ細菌では、髄膜炎菌のほかに肺炎球菌やヒブなどがあります。
髄膜炎菌は人の喉や鼻の粘膜などに存在し、咳やくしゃみなどを介して人から人へとうつっていきます。喉、鼻、気管などの粘膜に感染します。
髄膜炎菌は、これまでに13種類以上が発見されています。日本の健康な人の保菌率は0.4%で、欧米の人の保菌率が5%から20%なのに対し、頻度は低くなっています。
髄膜炎菌の血清群は13種類以上ありますが、このうち、A群、B群、C群、Y群、W群という5種類が原因となることがほとんどであるといわれています。
侵襲性髄膜炎菌感染症は届け出の義務がある病気ですが、2013年4月から2015年8月に届け出があった80症例の血清群では、Y群が一番多い状態でした。
髄膜炎菌のワクチン
髄膜炎菌感染症は、ワクチン接種で防げる病気のひとつです。日本では、2015年5月から髄膜炎菌ワクチンの接種が始まりました。
発症すると命の危険にさらされることが多い侵襲性髄膜炎菌感染症は0歳から4歳までの乳幼児と10代後半の思春期にあたる子どもの感染リスクが高いことが分かっています。早めにワクチンを接種することで、感染するリスクの高い期間を乗り越えられるようになります。
まずは、標準的な日本脳炎ワクチンの定期接種推奨年齢である3歳あたりに合わせて、髄膜炎菌ワクチンの接種を検討すると良いでしょう。
10代の子どもでワクチンをいつ打てばいいか迷っているときは、小学6年生前後で接種を行うDT(2種混合)ワクチンを打つタイミングに合わせて接種を検討すると良いでしょう。
学生寮や合宿などで多くの子どもと集団生活を送るという場合は、集団生活が始まる前にかかりつけの小児科医と相談し、ワクチン接種を検討すると良いでしょう。日本でも以前、高校の寮で流行したことがありました。
アメリカでは定期接種化しているワクチンですが、日本では任意接種になります。接種を行う病院によって値段が異なりますが、おおよそ1回の接種で2万円前後かかります。発症すると命に関わる病気ですので、感染リスクをよく考えて接種を検討するようにしましょう。
なぜ10代での感染が多い?
日本国内での報告では、侵襲性髄膜炎菌感染症は0歳から4歳の乳幼児と10代後半の子どもの発症数が多いとされています。
髄膜炎菌感染症は、長い時間、近い距離で人が集まっていることで感染が広まりやすい病気です。クラブ活動の合宿や学生寮といった狭い場所で共同生活を送ることで感染のリスクが高まります。
髄膜炎菌は、唾液でも感染が広まっていくため、友達や親子、恋人といった親しい間柄での食器の共有やキス、ペットボトルの回し飲みなどでも感染リスクが高まります。こうした行為を完全に避けることは難しいため、ワクチン接種で予防することが大切になります。
子どもが接種している髄膜炎のワクチン
現在、子どもが接種している「髄膜炎ワクチン」というものがあります。これはインフルエンザ桿菌b型(ヒブ)と肺炎球菌を対象としたものです。
商品名はアクトヒブ、プレベナー13というワクチンです。このワクチンを接種することで、ヒブと肺炎球菌を原因とする髄膜炎は激減しています。ですが、髄膜炎菌にはアクトヒブ、プレベナー13のワクチン接種では効果がありません。
まとめ
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