お子さんが頭痛をうったえたりすると、不安になったりしますよね。発熱などのほかの症状も見られると余計心配になります。頭痛は、カゼの症状としてあらわれることもありますが、他の病気が原因である場合があります。ここでは、その1つである 髄膜炎 による 頭痛 についてお話します。
髄膜炎による頭痛について
頭痛の分類について
頭痛には、大きく分けて一次性頭痛(ほかの病気が原因でない頭痛)と二次性頭痛(ほかの病気が原因である頭痛)があります。髄膜炎による頭痛は、二次性頭痛に分類されます。二次性頭痛は、人の命にとって危険な場合があります。髄膜炎による頭痛は、それに該当します。
頭痛の症状
初期症状は、カゼの症状と似ていますが、時間の経過とともに頭痛がひどくなっていきます。髄膜炎は、頭痛のほかに発熱や嘔吐の症状をともなうことが一般的です。頭痛とともに、発熱や嘔吐の症状が認められたら、髄膜炎の可能性を考えておくことが大切です。
早めの対処を心がけましょう。髄膜炎の特徴として、首が硬直(首が前に曲げにくくなる、顎が胸につかない)する症状がみられる場合があります。また、意識障害やけいれんなどを引き起こす場合もあります。
小さなお子さん(乳児や幼児)の場合は、食欲不振、不機嫌、嘔吐などの症状が認められます。乳児や幼児は、頭痛などの症状を訴えることはできません。細かな変化を観察しておくことが大切です。
頭痛の原因
髄膜炎は、クモ膜下腔で発症する炎症で、これにより頭痛がおこります。クモ膜下腔は、髄膜に存在します。髄膜とは、脳と脊髄を保護している膜です。
髄膜は3層でできており、脳に近いほうから順に軟膜、クモ膜、硬膜と呼ばれています。髄膜炎はそのうちの軟膜とクモ膜の間にあるクモ膜下腔でおこります。
髄膜炎の種類について
髄膜炎には、細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎があります。どちらも頭痛をともない、上記のような他の症状も似ています。しかし、細菌性髄膜炎のほうが重篤です。
細菌性髄膜炎について
細菌が髄膜に侵入して炎症をおこし、頭痛の症状などが発症します。細菌は、血液を介して髄膜に侵入します。その細菌は、生後3ヶ月までは大腸菌やB群連鎖球菌が多く、生後3ヶ月以降はインフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌が多いです。
適切な治療をしても、死亡する例や後遺症(知能障害、難聴、発達の遅れなど)が残るケースがあります。
無菌性髄膜炎について
エンテロウィルスやアルボウィルスによって炎症が起き、頭痛などの症状があらわれます。一般的に予後は良い経過をたどり、1~2週間で回復します。ただし、生後数ヶ月以内の乳児においては、精神発達遅滞の要因となる場合があるため、十分な注意が必要です。
検査方法
髄膜炎の検査は、髄液を採取しておこないます。髄膜炎がおこる髄膜には、髄液が流れています。髄液は、正常な状態では無色透明の液体です。しかし、ここで炎症が起こると含有する成分が変化します。
髄液の採取は、腰から細い針を差し込んでおこないます。同時に血液の検査もおこないます。
頭痛の対処方法
髄膜炎による頭痛などの症状は、初期症状がカゼと似ており、たいへん判別しにくい病気です。小さな異変に気付いたら、早期に医療機関に相談することをお勧めします。
また、予防に関しては、原因菌(インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌)に対する予防ワクチンがあります。接種することにより細菌性髄膜炎の予防につながります。
まとめ
髄膜炎による頭痛について
頭痛の分類について
頭痛の症状
頭痛の原因
髄膜炎の種類について
細菌性髄膜炎について
無菌性髄膜炎について
検査方法
頭痛の対処方法