乳幼児の際に髄膜炎を患い、重い後遺症を持った子供が沢山います。軽度の障害の場合はなんとか普通学校へ通う事も可能になりますが、後遺症が重度であるほど、学校へ行くこともままならず、生きる事さえ人の手を借りなければ困難となる方も結構多いのです。
しかし、重度の障害を持ってしまったとしても、人として生き生きと生きていく事が可能なのです。一般的な視点で考える事が難しいですが、小さな幸せをたくさん見つけその人らしさを引き出す事が大切になります。
今回は、 髄膜炎 の 後遺症 が残ったままが 大人 になったらどうなるのかを考えます。
髄膜炎後遺症の子供が大人になったら
障害児施設の利用
髄膜炎後遺症で重度の知的・身体障害を持った子供は、生命の維持・管理の難しさから施設に入所しての生活を余儀なくされる事があります。重症心身障害児施設などでは医療を伴った介護を受けながら養護学校へも通う事が出来ます。
しかし、子どもにとっては親元を離れ生きていかなければならず、さみしさが残る事は否めません。ただ、障害を持った子供のいる家族も生活をしていかなければなりません。24時間つきっきりで子供の介護にあたる事もまた家族の生活を圧迫してしまいますので、施設の力に頼る事も必要です。
施設内での心の成長
子どもが障害を負い、幼少期から施設に入所して年を重ねると、普通では理解が難しい感覚で生きていく事になります。施設といった特殊な環境で過ごしますので、外からの情報が入らず、毎日同じような流れ、他人の介護を受けながら生きていくといった非日常的な世界感を持って成長していってしまうのです。
その為、大人になっても自発的な発想が出てきません。私たち一般の人が楽しいと思う事柄もその情報を知らなかったり、経験が無かったりしますので、施設の子供には私たちが楽しいと思うような事柄が理解できず喜びとして感じるには至らないのです。
体は高齢者になっても、心や興味は幼少期のまま。そのギャップに我々は戸惑いを覚えるでしょう。
体の変形・拘縮
幼少期に麻痺などの障害で体の動きに制限がある場合、成長に伴って体の変形が起こってきます。主な原因は寝た姿勢の状態でいる時間が長い事に起因します。人間の骨は重力がかかる事で強固に成長しますが寝た状態が長いと骨粗鬆症のように骨が弱くなってしまいます。
また、麻痺などにより筋肉の緊張に偏りがある状態で成長すると徐々に筋肉の引っ張る力が強い方へと体が傾き骨格に変形を伴うようになってしまいます。よく見られるのが脊柱の側弯です。胸と腰の背骨がS字のようになって曲がってしまう事が良くみられます。
さらに、手足の関節が固まってしまう拘縮という状態も合わせてみられるようになります。関節には血管が走っておらず寝た状態では関節部位に栄養供給がなされません。その為、関節周囲の組織が固まり、ついには骨同士が癒着してしまうといったところまでに至る事もあります。
最近ではリハビリテーションの普及もあり予防はできる様になってきましたが、完全に防ぐことは困難です。骨の成長や関節への栄養供給は重力による縦の圧力が欠かせませんが、重度の身体障害を負ってしまうと、その時間がきわめて少なくなるので、どうしても体の変形が起こってしまうのです。
心肺機能・免疫機能の低下
人間の肺は起き上がった状態で100%の能力を発揮できるようにできています。しかし、重度の身体障害があると寝ている時間が長くなる為、肺が重力で潰され約60%の能力しか発揮できない状態になります。
心肺機能と免疫機能は密接な関係があり、心肺機能の低下は免疫機能の能力低下を引き起こします。大人になるまでの長い間、そのような状態が続くと心肺機能や免疫機能の能力低下の程度は著しく低くなります。
その為、肺炎などの病気を併発しやすく回復力も弱い為、最悪死に至ったり、人工呼吸器が手放せなくなったりする状態になりやすい状態になります。
髄膜炎後遺症を持った大人の幸せ
髄膜炎を発症して障害を持った人の精神発達は、髄膜炎の程度の差で大きく異なりますが、重度の場合は髄膜炎を患った年齢からさほど進んでいない事が多くみられます。
大人になるまでに得た人生経験による情報は持っていますが、根本となる精神年齢が低い為、幸せと感じる内容は見た目の年齢とは一致しません。見た目は大人でも乳幼児の様に人とのふれあいやコミュニケーションに幸せを求めます。
一般の大人が感じる幸せとは大きくかけ離れていますが、愛情を持って常に接する事が心の安心や満足を生みます。
まとめ
髄膜炎後遺症の子供が大人になったら
障害児施設の利用
施設内での心の成長
体の変形・拘縮
心肺機能・免疫機能の低下
髄膜炎後遺症を持った大人の幸せ