発熱から始まる病気はたくさんありますが、中でも幼児期をはじめとした子供世代に多く発症する特有の病気があります。発疹がでたり、咽頭炎があるなど、病気によってさまざまな症状の変化があるため、親としても慎重に観察する必要があります。
今回は 幼児 の 熱 を紹介します。
幼児の熱は子供特有の病気の第一歩?その後の病状変化に注意
熱はどうして出るの?
体内に何らかの細菌やウイルスが侵入すると、その病原菌の繁殖を抑制し、死滅させようと攻撃をはじめます。攻撃のためには免疫力を高めて抗体を作る必要があります。
抗体を作るために、脳の視床下部にある体温調整中枢がエネルギーを発して発熱という形で免疫力を高めようとします。その過程で悪寒が出始めて、熱があがるというメカニズムとなっています。
大人は37度以上になると発熱と言います。しかし子供、とくに乳幼児期は発汗する汗腺の数が3歳を過ぎると大人と同じ数だけあるため、大人以上に発汗量が多くなる一方で、体温調整する機能が未発達のため体温も上がりやすい状態にあります。
また基礎代謝が高いため乳幼児期の平熱は大人と比較して1度程度高くなっています。そのため37,5度くらいまでが平熱と考え、38度程度出ていても元気に遊んでいる子供も少なくありません。
子供が発熱。どんな病気の可能性がある?
多くの病気が発熱の症状があるため、熱だけで主疾患を判断することは非常に難しいでしょう。
親としては熱に至るまでの生活状況や食事、子供の様子の変化、尿や便の様子、また幼稚園や小学校などの集団生活に関わっている場合はそこで流行している病気の有無などをはじめとした情報をしっかりと把握しておく必要があります。
では発熱が一症状となる代表的な子供の病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
1つ目は近年では年間170万人以上の罹患者がいると言われているインフルエンザです。国内でも例年12月から春ごろまでがピークのシーズンとなっています。
毎年流行するインフルエンザウイルスの型が異なるため、症状の出方も多少異なり、拡大し始める時期などにも変化があります。38度以上の高熱があり、ひどい関節痛、頭痛、倦怠感などがみられます。
2つ目は中耳炎です。そもそも子供は耳の内部の組織が未発達でウイルスや細菌が侵入しやすい状態にあるうえに、中耳炎を発症しても子供自身で気付きにくいために、症状を悪化させてしまう傾向にあります。耳垂れや耳を痛がったり、発熱することで親が気付くことが多いです。
3つ目は正式名を咽頭結膜熱のプール熱です。例年、夏のプールの時期がピークとなっていて、秋ごろまで流行る年もあります。アデノウイルスによって感染する病気で、主に発熱、結膜炎、咽頭炎があります。近年ではプールの時期になる前の段階で大流行する年もあります。
4つ目は溶連菌(ようれんきん)感染症です。幼稚園児や小学生がかかりやすい病気と言われています。
冬場に流行し、大きな特徴としては咽頭炎、舌にできるイチゴのようなブツブツです。そのほかに発熱や腹痛、顔などにも赤い発疹が出る場合もあります。悪化してしまうとリウマチ熱などの合併症に発展する場合もあるため十分注意が必要です。
5つ目は手足口病(てあしくちびょう)です。夏場にピークをむかえ、乳幼児がかかりやすい病気とされています。特徴的な症状としては手のひらや足の裏に細かい水疱ができます。熱は出ても高熱ではなく、発症者すべてに出るわけではありません。
6つ目は突発性発疹です。主に乳児期に発症する割合が高い病気で、生まれて初めての発熱がこの病気という赤ちゃんも多いと思います。主な症状としては高熱が出る一方で、体に赤い発疹ができます。
上記のほかにもおたふくかぜやはしか、水ぼうそうなど乳幼児期から小学生のころに発症する確率が高い、熱を伴なった病気が多数あります。
乳幼児期は免疫力が乏しいため、発症時には発熱など軽い症状でも、髄膜炎や脳症など重症化する病気に発展する場合もあるので、発熱後の症状の変化をしっかりみておくようにしましょう。
解熱剤で熱を下げることは〇?
すでに前で説明したとおり、発熱があるということは病原菌と戦っているという意味です。免疫力を高めることは、その病気をはじめさまざまな病気に打ち勝つ力を付けていくということにあたるため、安易に解熱することはあまりお勧めできません。
また持病に喘息などがあった場合、解熱剤が喘息を誘発してしまう場合があります。そのほかにもアレルギー反応を起こしたり、ライ症候群という命を落とす危険性もある病気の発症をもたらす可能性もあります。
そのため解熱剤はできる限り、医師の判断で処方されたのみ服用することが理想的と言えます。しかしどのような場合でも解熱剤を使ってはいけないということではありません。
患者が乳幼児の場合、自身の体調のつらさを上手に伝えることができないため、親が気付いた時にはグッタリとしている可能性も考えられます。特に熱は夜に上がりやすいため、就寝後に熱で苦しんでいる場合もあります。
夜や休日には病院にも行けず、症状をますます悪化させてしまう可能性もあるため、子供の様子をみつつ、一時的に症状を和らげたほうが良いと思われる場合は解熱剤を服用するようにしましょう。
発熱時のこの行動はNG?
1つ目は「発熱時の入浴は避ける」と昔からよく言われますが、近年では高い熱もなく、患者が比較的元気であれば入浴は特に問題ないと言われています。
ただし体力を消耗しないためにも、お湯の温度は高くせず、短い時間で済ませるようにしましょう。そして脱水症状を避けるためにも、入浴後はしっかりと水分補給をするようにしましょう。
2つ目は「食べたいものは何でも食べる」は一見全く問題ないことのように思えますが、発熱時には注意が必要です。高熱が出た場合、食欲減退することがほとんどだと思います。そのため患者が食べたいものであればどんなものでも与えたい思いになります。
しかし発熱があるということは風邪などをはじめとした何らかの病気の一症状です。主疾患が消化器系の問題の場合、胃などの消化器が大変弱っている状態にあります。
消化不良を起こしたり、菌などにもあたりやすくなっているため、生ものや刺激物などを普段どおりに摂取してしまうと、体が対応しきれず嘔吐などによってますます体力を消耗してしまう場合もあります。
発熱時には栄養価の高い食品を摂取することは重要ですが、胃に負担のない消化の良いものを一度に与えるのではなく、患者の様子を観察しつつ少しずつ与えるようにしましょう。
乳幼児期は自身で体調不良を訴えることは難しく、親がしっかりと機嫌や食事の様子などから体調の変化を見極めてあげるようにしましょう。
まとめ
幼児の熱は子供特有の病気の第一歩?その後の病状変化に注意
熱はどうして出るの?
子供が発熱。どんな病気の可能性がある?
解熱剤で熱を下げることは〇?
発熱時のこの行動はNG?