最近は 予防接種 の 同時接種 が推奨されています。同時接種をむやみに怖がるのではなく、メリットとリスクをきちんと理解した上で、各家庭で子供の健康のためにより効果的に接種が受けられるように、海外の事情も含めて知っておきたい知識をまとめました。
知っておきたい予防接種の同時接種によるメリットとリスク
世界の事情
同時接種の習慣がなかったのは日本だけでした。他のどの国においても同時接種は一般的です。
米国テキサス州の例では生後2か月でB型肝炎、ロタウイルス、三種混合等を含む計5種類の同時接種が義務付けられており、その後6か月、12か月と続きます。
接種後の患部の痛み・腫れ、発熱を防ぐために、当日は帰宅後すぐに月齢に応じた量のアセトアミノフェン(タイレノール)を服用するように指導されます。
ちなみに、子供だけではなく大人にも同時接種は日常的に行われています。例えば、毎年秋になるとインフルエンザと肺炎の予防接種が特に高齢者に推奨されます。
病気にかかる前に確実に予防ができる
最大のメリットは、同時接種により早めの接種が可能になり、一旦かかってしまうと治療が難しい病気を確実に予防できることです。
1種類ずつの接種では、すべての接種が終わるまでに非常に時間がかかります。生ワクチンの場合は接種後4週間、その他は1週間、次の摂取までの間隔を空けなくてはなりません。その間にワクチンで防げる病気にかからないという保証はありません。
また、個人差はありますが、赤ちゃんは生後約12か月で生まれた時に持っていた免疫がなくなり、カゼを始めとする色々な病気にかかりやすくなります。病気の間は予防接種を受けられないため、次の接種までに間が空いてしまいその間にワクチンで防げる病気にかかるリスクも考えられます。
通院の回数が減る
1種類ずつ接種する場合、三種混合等の複数回の接種が必要なワクチンを含めて約15回の通院が必要になります。
同時接種によって通院の回数をかなり減らすことができるため、特に小さな赤ちゃんの保護者にとって非常に負担が軽くなります。例えば、一度に3種類を接種すると通院は5回、5種類なら3回で済みます。
接種後の腫れや痛み、発熱
同時接種だからというリスクではありません。単一接種の場合も同様ですが、接種後患部が腫れて赤くなったり、痛みや発熱が起こる場合があります。ほとんどのケースが2、3日で回復するので心配ありません。
症状が現れた時の対処法や連絡先をあらかじめ医師や医療機関に相談しておくとよいでしょう。発熱の割合は麻しんのワクチン接種時の場合20%程度ですが、症状は実際の麻しんとは比較にならないほど軽いものです。
重篤な副反応
重篤は副反応も、同時接種のリスクではなく、1種類の接種でも起こることです。非常にまれですが、おたふくかぜワクチンの場合、0.03から0.05%(2,000から3,000人に1人)の人が無菌性髄膜炎にかかるという報告があります。
これに対し、接種を受けずに自然に感染する割合は2%(100人に2人)と桁違いに大きくなります。ワクチンの副反応で起こった無菌性髄膜炎は、外来や短期間の入院で治療が可能です。
日本脳炎ワクチンの場合は、約70万~200万人に1人に起こります。ちなみに、日本脳炎にかかるとウイルスそのものを治療する方法がないため、対症療法のみになります。
同時接種が受けられない?
医師によっては同時接種を絶対に行わない主義の医師もいます。残念ならが子供のかかりつけの医師がそうであった場合は別の医師を探すか、同時接種をあきらめるかは保護者の判断になります。迷った時には地域の保健所などで相談するのもよいでしょう。
まとめ
知っておきたい予防接種の同時接種によるメリットとリスク
世界の事情
病気にかかる前に確実に予防ができる
通院の回数が減る
接種後の腫れや痛み、発熱
重篤な副反応
同時接種が受けられない?