「予防接種後の発熱は比較的軽度な副反応のあらわれ?(前編)」では、予防接種の種類についてお伝えいたしました。
後編では、 予防接種 の副反応には 発熱 のほかにどのようなものがあるのかをお伝えいたします。また、予防接種の是非についてもお伝えいたします。
予防接種後の発熱は比較的軽度な副反応のあらわれ?(後編)
副反応にはどのようなものがある?
予防接種のワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがあります。
不活化ワクチンとは予防したい病原菌は死滅させ、免疫づくりに必要な成分だけを取り出したワクチンです。病原菌を使用していないため、予防接種後その病原菌が元になる病気には基本的には罹患しないと言えます。
一方、生ワクチンであるBCG、MR(麻しん風しん混合)ワクチン、水ぼうそうワクチンなどは、予防したい病原菌を最小限に弱めた成分を接種しています。
しかし最小限とはいえ体内に病原菌を入れることで、予防接種後、その病原菌で発症する症状と同じような症状があらわれやすいといわれています。そのもっとも出やすい副反応が発熱です。
しかし実際その病原菌で発症する症状よりも非常に軽いもので治まる場合が多いと報告されています。麻しんの予防接種でも1回目の接種後、特に接種1週間前後に発熱の副反応が20%から30%程度あり、発疹が10%程度と報告されています。
また失神やアナフィラキシーなど強い副反応が出る可能性も全くないとは言い切れません。そのほかヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどでは接種箇所が赤く腫れ、多少痛みが出るという副反応は比較的頻度が高いといわれています。
ほとんどが軽度の副反応が多いとはいえ、一方でまれにアナフィラキシーや痙攣、麻痺といった重篤な症状が出て、将来的に障害という形で残ってしまう場合もあるということも十分理解しておく必要があります。
予防接種は受けるべき?
麻しんと風しんの予防接種率だけをみても、2014年4月から2015年3月の調査では、全国で東京都と沖縄県で89%台があるものの、それ以外の都道府県では接種率が90%台と報告されているほど浸透しています。
しかし予防接種は発熱をはじめとした副反応があるにもかかわらず、本当に積極的に接種したほうが良いのでしょうか。
ワクチンの効果とはどの程度なのでしょうか。麻しんワクチン1回目の接種で免疫獲得率は95%以上で、2回目の接種で免疫獲得率は99%以上という報告もあることから、ワクチン接種する意味合いは非常に大きいものと言えるでしょう。
百日咳の予防接種も発症のリスクを80%から85%程度減らすことができると言われています。ワクチンの予防接種は発症のリスクを最小限に抑え、もし発症した場合でも重篤化しづらい状態を保つ役割があります。
日本国内での流行がほとんどなくなった病気でも、家族をはじめ周辺に頻繁に海外渡航する人がいた場合は海外から病原菌を運んできてしまう可能性もあるため、予防のためワクチンの予防接種は非常に有効と考えられます。
一方で発熱をはじめとした軽い症状から重篤な症状も含め、予防接種後の副反応は絶対ないとは言い切れません。最悪の場合、命を落とす危険もあります。
しかし副反応の出方や命を落とすケースも、予防接種を受けた子供たちが、接種前にすでに何らかの病に侵されている可能性もあり、すべて予防接種のワクチンだけが原因と言いきることは非常に難しいと言えます。
ただしはっきりと言えることは、予防接種が設定されている病気に関してはパンデミックだけでなく、罹患者の割合を大幅に軽減していることは確かです。
予防接種後の副反応は非常に心配なことです。親としてはその副反応のことも十分理解し、副反応に発展する割合と、その病気に罹患して重篤化した場合のリスクを共に十分に考えたうえで接種するようにしましょう。
まとめ
予防接種後の発熱は比較的軽度な副反応のあらわれ?(後編)
副反応にはどのようなものがある?
予防接種は受けるべき?