最近は一度に複数の 予防接種 を受けることも珍しくありません。接種後の副反応の1つに患部の 腫れ があります。ほとんどの場合、時間と共に自然に消えるので心配はありませんが、あらかじめ家庭で知っておきたい知識をまとめました。
こんなに腫れて大丈夫?予防接種と腫れの関係
なぜ腫れる?
ワクチンには細菌やウイルスが含まれています。私たちの体は、異物が侵入すると増殖を防ぎ、追い出そうと抵抗して体を守るしくみになっています。この抵抗が副反応で患部の腫れや発熱などが起こります。
副反応は個人差が激しいので、まったく腫れない人もいます。腫れると患部周辺が赤くなり、熱や痛みを持つことも多く、大きさは直径1センチ弱の小さな円形から5センチを超える楕円形などさまざまです。
また、肌の弱い子、色白の子は、他の子よりもかなり大きく腫れて目立ちやすい傾向が見られます。複数接種の場合、単独接種時よりも副反応が多く見られるという報告もあります。
腫れたらどうする?
数日程度で自然に消えて元の状態に戻ることが多いので、特に何かする必要はありません。子供がかゆがってひっかくと傷口から雑菌が入り、特に夏場は化膿しやすいので気を付けて下さい。
また、ほてる時は発熱時におでこを冷やすのと同じように、清潔で冷たい濡れタオルなどをあてるのもよい方法です。子供が熱や痛みを訴える時は、痛み止めを飲ませると楽になります。
まだ自分で不快感を伝えられない小さな子であれば、大人がより注意して子供の様子を観察する必要があります。薬の服用が不安な場合はかかりつけ医に相談して下さい。
腫れ方があまりに大きく熱をもち、大人が見て心配になる時も同様です。ひじや肩にまで広がって腫れている場合はアレルギー反応の可能性があるので、すぐにかかりつけ医の診察を受けて下さい。
化膿してしまった!
膿が出ている、傷口がふさがらない、小さくならずに明らかに大きくなっている場合は化膿していると考えて、すぐにかかりつけ医の診察を受けて下さい。たいていは、抗生剤(飲み薬・塗り薬)が処方されるので、指示どおりに服用、塗布すれば1週間程度で治ります。
夏場であれば、完治するまでプールには入らないように指示されます。
腫れが起こる割合
予防接種の種類によって異なります。
例えば、ヒブでは腫れが約15%、赤くなるのが約40%、小児用肺炎球菌では腫れとしこりを合わせて約70%、赤くなるのは約80%です。
これから接種する人が増えるインフルエンザワクチンでは、腫れを含めた副作用の割合は10%から20%です。
また、非常にまれですが、赤みは消えて化膿もしていないのにしこりが数ヶ月残るケースもあります。
防腐剤を含まないインフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンには、チサメトールという防腐剤の一種が含まれています。ごく少量で体に蓄積される心配もないと言われていますが、ヨーロッパではすでに、チサメトールをすべてのワクチンから除去した国もあります。日本の場合、まだチサメトール入りのインフルワクチンが主流です。
含まないワクチンを扱っている医療機関が限られますが、腫れを含めて過去に激しいアレルギー性の副反応があったお子さんには有効な選択の1つです。
簡単な予防策
腫れによる患部の痛み、熱を防ぐために接種後すぐ、副反応が出る前にあらかじめアセトアミノフェンなどの痛み止め・解熱剤を服用するというのも1つです。服用しない場合に比べ、副反応を完全には防げないとしても、症状が穏やかになり子供の体への負担が減ります。
また、患部が熱を持つとかゆみも強くなりますが、解熱剤を飲んでおけばかいて化膿するリスクも軽減できます。接種時に医師・看護師に相談しておくと安心です。
まとめ
こんなに腫れて大丈夫?予防接種と腫れの関係
なぜ腫れる?
腫れたらどうする?
化膿してしまった!
腫れが起こる割合
防腐剤を含まないインフルエンザワクチン
簡単な予防策