子供の夜尿が続くと親は心配になりますが、 夜尿症 は育て方が原因で起こるものではありません。多くは体の成長とともにおさまっていきますが、その過程で自信を喪失させることのないよう慎重にサポートしていく必要があります。
子供の夜尿症は焦らず家族でサポートして成長を見守る
夜尿症とは
夜尿症とは寝ている間に無意識に排尿してしまうことで、幼児期以前についてはおねしょと呼ぶことが多いものです。小学校入学前後の5、6歳以降についての夜尿を夜尿症と呼ぶのが一般的です。
これは生活指導や薬による治療を行うなど対策をとることがよいとされるため、「夜尿症」という病気をあらわす言葉を使うと言われています。
どのくらいの頻度の夜尿を夜尿症とするかについては、年齢によって違いがありますが、おおよそ1週間に1回以上夜尿があれば「夜尿症である」とされます。
女の子よりも男の子の方が多いとされ、5歳の子供の約2割にみられます。10歳で5%前後、成人後でも0.5%くらいの人には夜尿があるとされています。
夜尿症の原因
夜尿の原因としては育て方に問題があると言われることも多いものですが、医学的にはこれは誤りだと考えられています。
夜尿症の原因としては夜間の尿の量が多すぎる、夜間の膀胱の容量が小さすぎる、睡眠障害がある、膀胱や腎臓などに異常がみられるといったことがあげられます。
一般的な夜尿症では、夜間の尿量が夜間の膀胱の容量よりも多いために起きてしまうと考えられています。体の冷えが夜尿を悪化させることもあるとされています。
夜間の尿量をコントロールしているのが抗利尿ホルモンです。通常は夜作られる尿量は、昼間よりも少なくなります。抗利尿ホルモンの分泌は子供の成長とともに整っていきます。
ですが、夜尿症の子供では夜間の抗利尿ホルモンの分泌が悪く、夜間の尿量を少なくさせられないということが起こります。
通常、膀胱は成長とともに夜間に昼間の尿量の2倍程度をためられるようになっていきます。4~5歳くらいになると寝ている間中の尿をためられるようになります。
夜尿症の子供では、膀胱の発達が未熟で膀胱にしっかり尿をためられないことがあります。就寝前にしっかりトイレに行ってもきちんと全部の尿を排尿できずに膀胱に尿が残ってしまうこともあります。
夜尿症の診断
夜尿症の診断は両親から子供の様子を聞くことがメインとなります。
昼間に6回以上、定期的に排尿があるかどうか、昼間に漏らしてしまうことがないか、カフェインを含んだお茶やコーラなどを頻繁に飲んでいないかどうか、寝る前にどれくらいの水分を摂取しているかどうかといった項目を確認していきます。
さらに尿検査を行い、細菌感染がないかどうかを調べます。おしっこが勢いよく出ていなかったり、昼間も漏らしてしまったりする場合はエコーで膀胱や腎臓を調べることもあります。
夜尿症の治療法
まずカフェインを多く含む飲み物を飲むのをやめさせます。昼間にはしっかり水分を摂取し、6回以上定期的にトイレに行くように促します。寝る前には水分を控えて、トイレに必ず行くようにします。小学校低学年くらいの間はこれらの基本指導を続け、様子を見るのも良いとされています。
積極的な治療方法としては、おねしょアラームという装置を使うことがあります。これは子供の下着に小さなセンサーをつけおねしょをするとアラームが鳴って子供を起こすという装置です。この方法は忍耐力が必要で、子供本人にやる気がないと挫折してしまいます。
また、薬による治療を行うこともあります。デスモプレシンという薬では、夜間の尿量をコントロールする抗利尿ホルモンを補います。現在は鼻に噴霧するタイプのスプレーで処方されます。ポラキスという膀胱をリラックスさせて、ためる尿量を増やす薬もあります。
夜尿症の子供との接し方について
夜尿は就寝中に起こるので、子供の意思とは関係ありません。そのため、夜尿をしてしまったことを叱っても解決には繋がりません。夜尿が治る時期も子供によって異なります。兄弟姉妹と比べても意味がないばかりか、子供が自信を失うなどマイナスの影響が大きくなります。
夜尿症は治るということを子供に話して、まずは安心させてあげましょう。少しずつでも改善している場合はしっかりと褒めて、自信をつけさせます。子供が自分自身で夜尿症を治したいという気持ちにさせてあげることが非常に重要です。
まとめ
子供の夜尿症は焦らず家族でサポートして成長を見守る
夜尿症とは
夜尿症の原因
夜尿症の診断
夜尿症の治療法
夜尿症の子供との接し方について