ほとんどのうつ病は外来通院で治療を行います。病院に通いながら、時間をかけて薬物療法やカウンセリングを行うのです。しかし、お子さまの症状によっては一時的に入院を勧められることもあるかもしれません。
今回は うつ病 で 入院 が必要なケースについてご説明します。
子供のうつ病…緊急の場合は入院することも!
子供のうつ病の原因と症状について
うつ病の原因は、大人も子供もさまざまです。一般的な大人の場合だと、仕事や環境の変化、周囲との軋轢などが原因となります。
子供の場合は、受験やいじめ、家庭内での不和、学校での友人関係、引っ越しなどです。子供の場合は自身の努力で回避できないケースが多いことも特徴のひとつです(親の不和や、転勤に伴う引越しはその典型的な例と言えます)。
特に、子供の場合は小学校・中学校への進学などは大きな環境の変化になります。高校や大学の受験も将来の進路がかかった決断や行動を迫られるので、相当なストレスになるでしょう。これらも子供たちにとって避けられないストレスの原因です。
一般的なうつ病の症状として、典型的なものは以下のものがあります。
- ゆううつな気持ちが強く、気分が落ち込む。
- 何をしていても楽しくない(それまで楽しかったことも楽しくなくなる)。
- 将来や環境の変化への強い不安感。
- 自信がまったく持てなくなる。
- 思考力、記憶力の低下。
このような心の状態が長く続き、頭痛や腹痛など、体にも影響がでます。
さらに、子供のうつ病の場合は大人よりも体にうつ病の影響が出やすいといわれています。まだ言葉で病状をうまく伝えることができずに、状況が悪化することが多いためです。
具体的には、以下の症状があげられます。
- 寝付きがわるい、短時間で目が覚めてしまうなどの睡眠障害。
- ゆううつで不機嫌な状態が続く。
- 食欲不振のため、成長期なのに体重が落ちていく。
- 元気がなく、口数が少なくなる。
- 集中力がなく、ぼーっとしている。
- 暴力的になり、物を壊したり自傷行為をする。
- 疲れやすくなり、体の痛み、しびれ、吐き気をうったえる。
もしお子さまにこのような症状が継続的にみられた場合は、専門のお医者さんに相談しましょう。学童期の場合は小児科を、思春期以降であれば心療内科を受診しましょう。
子供本人がうつ病に気がつけないぶん、周囲の大人が気にかけてあげる必要があります。
緊急の場合は入院を!
基本的には、うつ病の治療には時間をかけてカウンセリングや薬物療法を行います。しかし、緊急の場合は入院して治療する必要があります。
では、どんなときに入院が必要なのでしょうか?
- 自殺の危険がある。
- 食欲不振や不眠のため、体調不良になっている。
- 家庭環境と切り離さないと治療が見込めない。
- 症状が重く、家庭や自分では治療に臨めない。
- 薬物の副作用が強いために薬物療法ができない。
このような場合は、一時的に入院が必要だと診断されるかもしれません。
自分自身で入院を希望する場合は「任意入院」といいます。入院するのはほとんどの場合「開放病棟」というところになります。
とくに自殺の危険が強い場合や他人を傷つける可能性がある場合は、本人の意志とは関係なく入院させられ、これは「強制入院」といいます。このケースだと「閉鎖病棟」となることがほとんどです。
なんだか怖い?閉鎖病棟と開放病棟
心療内科で入院、と聞いてどんなことを思い浮かべますか?鍵をかけられた窓のない部屋、誰かの叫び声、一度入ると二度と出られない…そんな映画のような場面を思い浮かべたのではないでしょうか?
大事なお子さまがそのようなところに入れられるのではないかと不安になるかもしれません。過去にはそのようなこともあったようですが、今はありません。
特に開放病棟の場合は、制限こそありますが、設備も環境もほとんど一般的な病院と同じです。ストレスの原因から離れ、ゆっくり療養してもらって、日常生活に戻るためのリハビリをおこないます。
閉鎖病棟はイメージに近いかもしれません。しかし、厳しい持ち物検査や扉に鍵をかけたりすることは、隔離することを目的にしたものではなく、患者が自分自身を傷つけることを防ぐためです。自分自身や他人に危害を加える心配がなくなり、回復が認められれば、開放病棟に移ります。
退院したあとも十分に休養を
うつ病は再発しやすい病気です。退院してもすぐに元の環境に戻すのではなく、ゆっくりとなじませていきましょう。ストレスの受け止め方や対処法を学ぶのも大事です。継続してお医者さんのカウンセリングを受けてください。
まとめ
子供のうつ病…緊急の場合は入院することも!
子供のうつ病の原因と症状について
緊急の場合は入院を!
なんだか怖い?閉鎖病棟と開放病棟
退院したあとも十分に休養を