「うつ病の早期治療は適切な病院探しがカギ(前編)」では、子供のうつ病の症状や原因をご紹介いたしました。後編では、子供が うつ病 を患った場合の適切な 病院 の選び方をご紹介いたします。
うつ病の早期治療は適切な病院探しがカギ(後編)
適切な病院選び
子供がうつ病をはじめとした心の病気になった場合、どのような科を受診したらよいかとても悩むでしょう。精神的な症状に関する専門科としてよく耳にするのは心療内科、精神科、神経内科ですが、それぞれの科の特徴はどのようなものでしょうか。
心療内科はストレスが原因で動悸やぜんそく、高血圧などの病気を発症したと考えられる場合受診する科になります。神経内科とは体の震え、しびれ、てんかんなど神経系からくる筋肉や血管などの病気の場合受診する科です。
精神科はいわゆる心の病気と思われる場合に受診する科になります。イライラや不安などがおこる躁うつ病、総合失調症などが対象になります。
同じうつ病でも年齢や症状によって治療も異なります。患者が幼い場合はうつ病の原因となった心的問題を緩和、またはなくすことに重点を置く場合が多いです。
時に原因が家族にある場合は家族に対するカウンセリングなどもおこないます。そして患者が青年期の場合は、心理療法に加え抗うつ薬による薬物療法を並行しておこなうことが多いです。
心の病気の場合、なによりも患者の心の叫びをしっかりと聞いてあげるということが重要です。しかしはじめから精神科の門をたたくことは多くの人がためらいもありハードルが高いでしょう。
病院へ行くことを避け、家庭内でどうにかして完治させようと考える親も決して少なくないと思いますが、こころの病気の場合それは非常に危険です。精神科受診にためらいがある場合は、地域の小児科や内科でも対応してもらえるところは増えています。
しかし精神科と同じ治療が受けられるということではありません。子供のうつ病が増加している近年では、精神科が地域の一般内科医や小児科医に対し、うつ病などに関する知識を提供し、患者の状況や症状に応じて精神科病院を紹介する連携が取れるような基盤づくりをおこなっています。
この活動は国が補助金を支援することで、研修という形で医師だけでなく、看護師やケースワーカー、スクールカウンセラーまでもが参加できるように規模の拡大を目指しています。
一般内科、小児科だけでなく、小中高校で受ける心の相談でも専門医を紹介できるルートづくりが成されることにより、うつ病などの早期発見、治療に大きくつながっていくのです。
ただしこの基盤作りには国から一時的ではなく継続的な莫大な補助金が必要となることから、全国の市区町村で足並みをそろえて進めることは非常に難しいようですが、その活動が急務であることは十分理解されています。
自治体の対策とは?
親が子供のうつ病発症に気づいてもすぐさま病院へと足を運ぶことは難しいかもしれません。また子供自身も「親には相談できないけれども、誰かに胸の内を伝えたい」と考えた時に相談できる窓口が非常に重要です。
ある地域の労働者に対するストレス調査では、自ら命を落としてしまうことを予防するための対策として「職場や地域での心の相談窓口の充実」と回答した人が全体の4割以上を示しました。
実際全国のいのちの電話と称する窓口には、平成13年には31,799件だったものが、平成22年には71,926件と4万件以上も相談件数が増加しています。
ある県では電話の受付時間を拡大してフリーダイヤル化にしたところ、月平均の約4倍も電話件数が増加しました。前年度のその時期に自ら命を落としてしまった人の数は300人強いたものの、電話窓口を拡大したその月は250人ほどで減少しました。
単純に電話相談窓口の拡大が減少の直接的な原因とは言い切れませんが、同県ではこの取り組みが一定の効果をあげているとみているそうです。全国のいのちの電話以外にも精神保健福祉センターや保健所などで窓口が設置され対応がおこなわれています。
心の問題を扱う窓口を対応する職員は豊富な専門知識が必要です。そのため職員の高い水準での資質向上のために養成講座での研修がおこなわれています。
しかし24時間、365日体制での需要が求められ、職員の精神的、体力的にも大変な負担があるため、職員に採用されても長期勤務が難しい傾向もあり、一向に職員の増加に繋がらないという厳しい現状があります。
一方で、こういった窓口の増加と職員の資質向上により、うつ病などの心の病気をとどめたり、病院の受診を促すことができるようになり、自ら命を落とすという最悪な状態を回避するためにも大変役立っているということが大きく認められています。
まとめ
うつ病の早期治療は適切な病院探しがカギ(後編)
適切な病院選び
自治体の対策とは?