近年ではメディアなどで大きく取り上げられることも多く、鬱病の認知度もかつてよりは高くなりました。しかし、大人だけではなく、子供の鬱病も増加傾向にあることはご存知でしょうか。子供の死亡原因として事故に次いで多いのは、実は「自殺」なのです。
今回は子供の 鬱病 について解説します。
大人だけじゃない、子供にも起こりうる鬱病
まず、一般的な大人のうつ病について
原因はさまざまです。仕事や生活の環境の変化、自身の性格と周囲との軋轢など、必ずしも本人に問題がないケースもあります。
症状としては、以下のものがあります。
- ゆううつな気持ちになり、気分が落ち込む。
- 何をするにしても(それまで楽しみだったことでも)やる気にならない。
- 将来や変化に対する強い不安感。
- 記憶や思考力の低下。
- 極端な自信の喪失。
このような状態が長く続きます。また、心だけでなく、体にも影響が出てきます。
- なかなか寝付くことができない、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠障害。
- 食欲不振や、個人によっては過食症など。
- 体の痛み、しびれ、吐き気。
- 女性の場合は月経異常。
治療には時間がかかります。多くの場合は専門のお医者さんに相談をして、薬物療法などを受けて回復を待つことになるでしょう。
子供の場合はどうなる?その原因とは
大人の場合と同じように、子供のうつ病の原因は多様です。主だった例では、受験やいじめ、家庭内での不和、学校での友人関係、親の転勤に伴う引越しなどがあります。特に環境が変わる節目の時期には注意が必要です。
小学校・中学校へ進学することは、子供にとって学習と自立のための大きな変化となりますし、不安やストレスの原因となります。同様に、高校や大学の受験も将来の進路がかかった決断や行動を迫られるので相当なストレスになることは想像に難しくありません。
しかも、これらの環境の変化は本人の努力や意思で解決できない場合も多く、大人の手助けが必要なうえ、学童期では本人がうまく言葉で伝えることができずに状況が悪化することもあります。
子供の症状については注意が必要
大人の場合でも、うつ病の影響は体にでてきます。子供の場合はそれがより顕著になり、身体にあらわれやすくなります。
具体的には「睡眠異常」、「食欲低下」などの大人にもみられる症状と、「成長期なのに体重が減る」など子供特有なものです。
特に、感情面での変化には子供は対応しきれません。言葉で自分自身の気持ちの変化や学校での環境を説明できないので、大人に相談することも難しくなります。保護者の方は、お子さまに以下のような様子が見られるようでしたら注意してください。
- ゆううつな気持ちを整理し表現できないため、不機嫌な状態が続く。
- 元気がなく口数が少ない。
- 集中力がなくなり、成績が落ち続ける。
- 疲れやすく、頭痛や腹痛を訴える。
これらの症状は、本人に自覚できないうつ病の症状かもしれません。子供本人が気がつけないぶん、周囲の大人が気にかけてあげることが重要です。
発達障害の可能性も…?
子供のうつ病の原因としてはもうひとつ、「発達障害」が関わる場合があります。現在では、「アスペルガー症候群」や「ADHD(注意欠如多動性障害)」などの特徴がある子供はうつ病になりやすい傾向があることがわかっています。
これは、前述した環境でのストレスのうち、学習や友人関係の構築に問題が出るケースが多いためです。
繰り返しになりますが、子供はまだ言葉が未熟で、自分自身の特徴や問題について自覚を持てないことが多くあります。
発達障害の特徴は「集中力がない」、「じっとすることができない」、「衝動的に行動してしまう」です。そのうえ言葉で上手に表現ができないので、周囲との関係を良好に保つことができずに大きなストレスを受けてしまうのです。
大人の場合でしたら自分自身の問題を言葉にして誰かに相談ができるかもしれませんし、経験から原因をみつけることもできるかもしれません。しかし、子供の場合は周囲の大人が気付いてあげる以外には方法はありません。
治療には時間がかかります
治療としては、まずしっかりと体と心を休ませてあげることです。学童の場合は小児科のお医者さんへ相談しましょう。思春期以降であれば心療内科を受診しましょう。また、お子さまが十分に休めるよう環境を整えてあげるのもいいでしょう。
大人の場合でもそうですが、うつ病の治療には時間がかかります。カウンセリングを含め、薬物療法などで長期的な視点でのぞんでください。
まとめ
大人だけじゃない、子供にも起こりうる鬱病
まず、一般的な大人のうつ病について
子供の場合はどうなる?その原因とは
子供の症状については注意が必要
発達障害の可能性も…?
治療には時間がかかります