受け口とは 一見噛み合わせの問題だけだと思っている人が多いと思います。しかし下あごが出ていることで食生活において咀嚼がしづらいうえに、言葉の発音にも大きく影響する場合もあるようです。
しっかりと受け口のことを学んで治療をおこなううえで参考にしましょう。
受け口治療とは子供の成長に沿っておこなうことが理想的
受け口とは
受け口とは正式には反対咬合（はんたいこうごう）や下顎前突（かがくぜんとつ）といいます。上下の噛み合わせで下の歯全体が前方に出てしまっている状態と言います。子供が受け口の場合、親としては一番見た目を心配する人がもっとも多いかもしれません。
しかしそれ以上に噛み合わせだけでなく、咀嚼がしづらく食生活にも影響があるうえに、ひどい場合は言葉の発音にも障害が出てくる可能性もあるのです。では受け口とはどのようなことが原因でなってしまうのでしょうか。
１つ目は遺伝的なものです。体つきなどが親に似るように骨格は遺伝します。歯並びも骨が関係しているため遺伝の確率は非常に高いと言えます。
２つ目は舌が長いなどの問題で下の歯が押し出されてしまうというものです。舌が長いことで常に下の前歯の裏側に舌が強い力であたっているため、日を追うごとに歯が著しく唇側に傾斜してしまうということです。
受け口は治るの？
受け口には骨格性下顎前突症と歯性下顎前突症があります。骨格性下顎前突症は、上あごが小さく下あごが非常に大きいなど顎の骨自体の大きさや形が適切でないために下あごが出た状態を指します。
歯性下顎前突症は歯自体が傾斜して前に突き出ているタイプを指します。こちらのタイプは極度な受け口の状態でない限り、歯自体の矯正をおこなうことで治療できることが多いため特に治療年齢の限定はありません。
しかし骨格性下顎前突症の場合、骨格自体に問題があるため、歯の矯正だけで完治させることは非常に難しくなります。受け口とは状態によっては顔貌まで変えてしまうほど影響が出てしまいます。
骨格性下顎前突症では横からの口元をみると下顎自体が前に出ていることで下唇が大きく突き出てしまう状態になってしまいます。
歯性下顎前突症の場合も下の歯の傾斜の度合いによっては下唇が前に出ることもありますが、骨格性下顎前突症の方がよりはっきりとわかりやすく出てしまいます。
そのため前突の程度にもよりますが、骨格性下顎前突症は場合によっては抜歯に加え顎を削るなどの外科手術による矯正が必要となります。
しかし外科的処置への決断は患者にとっても非常に大きな負担となるため、できる限り歯の矯正だけで治療ができないかという相談も多いようです。
歯の矯正は突き出た歯を正式な場所に戻すスペースの確保ができるか、また角度的に歯の傾斜の度合いが矯正可能な許容範囲かどうか、歯肉や歯を支えている骨などの組織に過度な負担がかからないかなどさまざまな点をクリアしないとできません。
またもしその多くの問題点をクリアしたにせよ、受け口とは外科的処置をおこなわずに歯の矯正だけで治療する場合、治療期間が非常に長くかかってしまう可能性があるということです。
そういったことも含め、歯の矯正のみで治療をおこなうか、または外科的処置も含めた治療をおこなうかという判断を医師と共にしっかりと話し合う必要があります。
受け口の状態にもよりますが、もし外科手術を含めた治療をおこなった場合、一般的には術前に下顎前歯を調整するため、また術後は歯列調整のために歯の矯正も長期間おこなわれます。
子供の最適な治療開始時期とは？
治療においては開始時期も大きな問題となります。大人の場合はすでに骨格も成長が完了しているため特に治療の開始時期の限定はありません。しかし子供の場合、歯の生え変わり、そして顎の大きさも変わります。
では受け口とはいつ治療を開始することが好ましいのでしょうか。７歳から９歳くらいの上の前歯４本が生えたころが矯正治療の理想的な開始時期と言われています。
しかし乳歯の段階で受け口の診断を受けて歯の矯正を始めて治ったとしても、永久歯に生え変わった時にまた受け口の状態に戻ってしまう可能性も考えられます。
逆に乳歯の段階で受け口がわかったものの、その時点では特に治療はせず、永久歯に生え変わった時には自然に受け口が治っていたということもあります。
治療に入っても歯の矯正だけであれば通院治療で問題ない場合がほとんどです。しかし骨格自体に問題があって手術が必要になった場合、一週間から二週間程度の入院が必要になるなど長期的な治療が必要となることを考えると学校のお休みの問題もあります。
治療開始の見極めはそれぞれ医師の判断によっても異なるということもあります。まず親としては何よりも子供の受け口に気が付いた時点で一度必ず歯科を受診した方が良いことは確かです。
そこで医師とジックリと話し合い子供の成長、特に歯と顎の成長に合わせて治療時期を見極めてもらうようにしましょう。
まとめ
受け口治療とは子供の成長に沿っておこなうことが理想的
受け口とは
受け口は治るの？
子供の最適な治療開始時期とは？