凍傷は、寒冷の他、強風、皮膚の濡れや締めつけ、金属との接触等によっても起こりやすくなります。凍傷もしもやけも、寒さや冷えが原因で起こりますが、 凍傷 は皮膚や皮下組織の損傷を伴い組織が壊死する恐れがあるのに対し、しもやけは体の末端部の血行不良が回復すると改善します。
しかし、しもやけも掻き壊して化膿すると重症化するので注意が必要です。
凍傷の症状・特徴としもやけとの違い
凍傷とはどのような病か
冬山登山に行って凍傷にかかり、手や足の指先が黒っぽくなって切断しなければならなくなったという話を耳にした事はあるかと思いますが、どのような状態を凍傷と呼ぶのでしょうか。
凍傷は、冬山のような低温の環境で長時間行動した時や、急激に皮膚が冷やされた時に起こる皮膚や皮下組織の損傷です。凍傷にかかると、最初は皮膚が赤くなってじりじりと痛み、腫れて水疱ができます。
凍傷が悪化すると、皮膚だけでなく皮膚の下の組織や筋肉もダメージを受け、感覚がなくなって白っぽくなったり、黒い革のような状態になったりします。凍傷が皮下組織に及び、皮膚や皮下組織、筋肉、骨が壊死してしまった場合は、壊死した部分の切除、切断を余儀なくされる事もあります。
凍傷は、冬山やスキー場といった気温が低い環境で起こるというイメージがありますが、日常生活でよく用いられるドライアイスやスプレーでも凍傷が起こります。
冷凍食品やアイスクリームを持ち運ぶ時に使うドライアイスに素手で触れたり、冷却スプレー、制汗スプレーを長時間同じ位置で吹きかけ続けたりすると、皮膚が部分的に急激に冷やされ、赤紫色に変色する等の凍傷の症状が現れます。
凍傷は、特別に寒冷の環境でのみ起こるとは限りません。非常に低温の物が直接皮膚にあたると、部分的な凍傷を引き起こす恐れがありますので、自分は寒い場所に行く機会がないからと油断せず、注意を怠らない事が肝心です。
どのような状況でなりやすいか
凍傷は、冬山やスキー場等の氷点下の場所で外気にさらされ続けると起こりやすいですが、低温以外にも凍傷にかかりやすくなる様々な条件があります。
気象条件
- 風が強い、湿度が高い
- 高い山のような酸素濃度が低い状態
皮膚の冷えや締めつけ
- 皮膚が濡れたり風に当たったりする
- 靴ひも・アイゼン・時計等による締めつけ
- 窮屈な姿勢
金属との接触
- 接触した部分の体温が奪われ、部分的な凍傷を引き起こす。
高い山で天候が悪化して猛吹雪となった時には、特に凍傷の危険が高くなります。高い山では気温や酸素濃度が低い状況が続き、強風によって皮膚の温度の低下も続きますので、血液の循環が悪くなり、凍傷を引き起こします。
また、以下のような健康状態の人は、注意が必要です。
汗かきの人
かいた汗が蒸発する時に汗冷えしやすい
やせ型で皮下脂肪が少ない人
体から熱が逃げやすいので、体が冷えやすい
糖尿病や動脈硬化がある人
特に末端部の血流が悪化しやすい
喫煙や飲酒を行う
喫煙は血管を収縮させ、血行障害を起こす。飲酒は一時的には体が温まるが、時間が経つと逆に体から熱が放出されて体を冷やしてしまう。
脱水や疲労している状態
脱水は血液が濃くなって循環が悪くなる上、疲労の原因になる。
疲労は体力の低下を招くき冬山など、気温の低い、また、天候が急変する可能性のある場所へ行く際には、装備・健康状態に万全を期す必要があります。
しもやけとの違い
凍傷もしもやけも、寒さや冷えが原因で起こりますが、凍傷は皮膚や皮下組織の凍結と血管の収縮による血流の減少、しもやけは体の末端部の血行不良によって生じるという違いがあります。
凍傷は、長時間厳しい寒冷の状況にさらされたり、局所的に皮膚が急激に冷やされたりした時に発症しますが、しもやけは、手足の指・耳たぶ・頬といった部分が寒さにさらされて冷えたために血行が悪くなった時に発症します。
ひどい凍傷にかかった場合、皮膚や皮下組織が凍結したり、血流が途絶えたりするために細胞が破壊され、組織が壊死してしまいます。そのため、凍傷の悪化を食い止めるために、患部を温める応急処置や病院の受診等、一刻も早い治療が必要です。
一方、しもやけは、凍傷とは異なり、皮膚や皮下組織は凍結せず、患部を温めて血行が回復すると改善しますので、しもやけにかかっても大した事はないと油断してしまいがちです。
しかし、しもやけの痛痒さや、靴が履けなくなる程に腫れ上がった状態には耐え難い辛さがあります。さらに、しもやけが悪化すると水疱ができたり、掻き壊して化膿したり、細菌が感染して皮膚の壊死をまねいたりする恐れもあります。
凍傷やしもやけを引き起こさないために、冬山やスキー場に行く時や冷凍倉庫での作業時は防寒具等による徹底的な防寒対策を、日常生活では手足の先や露出部を冷やさないようにする対策を常に心がける必要があります。
まとめ
凍傷の症状・特徴としもやけとの違い
凍傷とはどのような病か
どのような状況でなりやすいか
しもやけとの違い