とびひはあっという間に広がって、完全に治療が終わるまでには時間がかかる病気です。保護者がとびひを経験していないとどのような病気かわからないこともあります。急速に悪化することを念頭に、 とびひとは どのような病気なのか勉強しておくと安心です。
3種類のタイプがあるとびひとはどのような病気?
とびひとは
一般的に使われているとびひという名称は、いわゆる通称で正式名称は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)です。これは細菌が原因となる皮膚病のひとつで乳幼児から学童にかけて多くみられます。
火事の飛び火のように、一か所から次々に広がっていく様子からとびひと言われるようになりました。黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌)などが原因で発症します。
小さな虫刺されやあせも、湿疹、擦り傷などに細菌が感染して発症します。患部はかゆみを伴うため、特に乳幼児においては自分で掻きこわしてあっという間に悪化させてしまいます。
症状がひどい場合は、検査を行うことで原因菌などを特定することができます。みずぶくれになっているところの内容液を培養してみると、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの原因菌を検出できます。
血液検査で白血球やCRP(C反応性タンパク)の数値が上がります。連鎖球菌に対する抗体値が上がることもあります。腎炎を合併することもあるので、検尿を行うこともあります。
水疱性膿痂疹
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)は、水疱(みずぶくれ)や膿疱(膿を持ったみずぶくれ)ができるタイプのとびひです。水疱性膿痂疹は、黄色ブドウ球菌による感染で発症します。乳幼児は夏場にあせもや虫刺されなどが増えるため、水疱性膿痂疹を発症することが多くなります。
水疱性膿痂疹の水疱や膿疱は簡単に破れるので、中の浸出液や膿が周囲の皮膚に接触することでどんどん広がっていきます。小さな子供は患部が気になって触ってしまうことで悪化します。
痂皮性膿痂疹
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)は、水疱(みずぶくれ)にはならず厚いかさぶたができるタイプのとびひです。痂皮性膿痂疹は、A群β(ベータ)溶血性連鎖球菌(化膿連鎖球菌)による感染で発症します。季節や年齢を問わずに発症して、子供だけではなく大人にも多くみられる病気です。アトピー性皮膚炎の人は痂皮性膿痂疹を発症しやすいとされています。
赤く腫れていたところが小さな膿疱となり、黄色いかさぶたになります。痂皮性膿痂疹は広がるスピードが非常に速いのが特徴です。かゆみよりも痛みを感じることが多いようです。熱が出て、のどの痛みやリンパ節の腫れがみられることもあります。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)は黄色ブドウ球菌による感染がひどくなったとびひの一種です。特に0~3歳ほどの乳幼児に多くみられます。黄色ブドウ球菌が出す毒素が血流によって全身をめぐって、皮膚が赤くなったり水疱になったりします。
痛みが強く、触ると表皮がむけたり、剥がれ落ちたりします。一年を通じて発症がみられますが、9月~11月に多くみられます。ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)にかかった場合は、入院して水分補給と抗生剤の投与を点滴で行い、回復をはかります。
とびひと間違いやすい病気
小さい子供はとびひ以外にも水疱ができる病気にかかりやすいので、水疱だけではなく全身状態をよく観察することが大切です。虫刺されや接触皮膚炎などはとびひの前段階とも言えますので、悪化させないように注意が必要です。子供が自ら掻き壊さないように配慮しましょう。
水痘(みずぼうそう)やカポジ水痘様発疹症(すいとうようほっしんしょう)、天疱瘡(てんぽうそう)、類天疱瘡(るいてんぽうそう)などもとびひと間違いやすい病気です。水疱や発熱以外の症状がみられる時は小児科や皮膚科で詳しくみてもらうようにすると良いでしょう。
まとめ
3種類のタイプがあるとびひとはどのような病気?
とびひとは
水疱性膿痂疹
痂皮性膿痂疹
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
とびひと間違いやすい病気