とびひ はすばやく適切に 治療 を行うことで、病変部の広がりを抑えることができます。特に子供のとびひはあっという間に悪化してしまいます。原因となる細菌を見極め、適切な治療を受けるために早めに小児科や皮膚科を受診することが大切です。
適切な治療でとびひを広げない
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の治療
日本の子供がかかることが多い、いわゆるとびひとしてよく知られているのが水疱性膿痂疹です。
治療としては、フシジン酸ナトリウムやニューキノロン系、テトラサイクリン系の抗生物質の軟膏を塗ります。その上からリバノール亜鉛華軟膏を貼り、患部全体をガーゼで覆います。1日に1、2回ほど取り替えるようにします。
水疱は小さなものはそのままにして、大きな水疱だけを潰し、中の液体が周囲に付かないように出してしまいます。程度が軽い場合は塗り薬などの外用薬だけで済むこともありますが、セフェム系の抗生物質の内服を併用する方が一般的です。
最近は耐性菌が増えてきたため、これらの薬で改善が見られない時には別の薬で対応することもあります。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は多剤耐性で、効果がみられる抗菌薬が限られています。
耐性菌への対策として、治療を始める前に細菌培養で原因菌の特定と抗生物質への感受性検査をしておくと治療が短期間で進むこともあります。
水疱性膿痂疹の場合、かゆみが強く、小さな子供は言って聞かせても掻き壊してしまうことがあります。できるだけ患部に触れないようにするために、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤を内服することもあります。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の治療
痂皮性膿痂疹の原因菌はA群β(ベータ)溶血性連鎖球菌です。溶連菌に効果のあるペニシリン系、セフェム系の抗生物質の内服を行います。症状が重い場合は、点滴で全身に投与を行うこともあります。外用薬としてはエリスロマイシン軟膏などの抗生物質を使います。
痂皮性膿痂疹では糸球体腎炎の合併予防のために、症状が改善してきても10日間は抗生物質の内服を続けます。腎炎を発症していないか、1か月程度経過した後に検尿を行うこともあります。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の治療
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)の場合は、入院して水分補給と抗生物質を点滴しながら全身状態をみていきます。原因となる黄色ブドウ球菌に効果のある抗生物質が選択できれば、おおよそ1週間程度で回復していきます。
患部からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が確認された時は、感受性検査を行い効果のある抗菌薬を選びます。外用薬として白色ワセリンなどを用いて、保湿と炎症のある皮膚の保護をします。ガーゼで患部を大きく覆います。
とびひのホームケア
とびひを発症してしまったら、家族にうつさないように注意しながらホームケアを行いましょう。入浴をして全身を清潔に保ちます。よく泡立てた石けんで患部をそっと洗い、よく流しましょう。
兄弟がいる場合は、タオルの共用は避けて、患者は最後に入浴するようにします。入浴した後は、浸出液が周囲に広がらないように、患部に軟膏を塗ってガーゼなどで覆います。
とびひは細菌が感染源なので、一度かかっても免疫ができるということはありません。何度でもかかってしまいますので、とびひになったことのある人は特に予防を心がけるようにします。
とびひは傷つけられた皮膚から細菌感染をして発症します。手をよく洗う、爪を短く切る、湿疹やあせもなどができたら早めに治療を行うなど保護者は気を付けてあげると良いでしょう。
鼻腔は様々な細菌が常在菌としています。とびひの原因菌もここから見つかることがありますので、できるだけ鼻の孔に指を入れないように注意します。
学校保健法における取り扱い
いわゆるとびひと言われる伝染性膿痂疹は、学校保健法では「第三種の伝染病」の「その他の伝染病」に分類されています。ほかの子供たちにうつしてしまう可能性があるので、医師にみてもらい、登校や登園の許可をもらう必要があります。
患部をガーゼや包帯で完全に覆って露出することがなければ出席停止にする必要はないとされています。ですが、患部が広範囲に渡っている場合はほかの子供たちに配慮して休ませる方が良いでしょう。
伝染性膿痂疹の扱いは自治体によっても基準が異なり、治癒証明書が必要なところもあります。学校や幼稚園に指示を仰ぐようにすると良いでしょう。
まとめ
適切な治療でとびひを広げない
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の治療
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の治療
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の治療
とびひのホームケア
学校保健法における取り扱い