子供が「腕や足がしびれる」など体の不調を訴えると、親としては深刻な病気なのでは?と不安になるものです。ですが、検査をしても大きな原因がみあたらない場合があり、そのような場合には「転換性障害」が疑われます。
転換性 障害 とはどのようなものなのでしょうか。
子供の転換性障害とは ~発症・原因と治療法など~
転換性障害とは ~どのような症状があらわれる?~
学校での生活や日常の中でたまったストレスが、体の異常となって症状にあらわれる病気です。体の異常を調べてもこれといった原因がない場合に転換性障害と診断されます。
子供はストレスを感じても上手に発散・解消することができなかったり、大人に自分の気持ちを伝えることができないことが多くあります。そのようなストレスが体の異常として転換されてしまうことから、転換性障害と呼ばれています。
転換性障害の症状としては実にいろいろな形があり、個人差があります。
臓器の症状
- 喉に違和感を感じる、吐き気がする、嘔吐、下痢、など
感覚が欠落する症状
- 手足に麻痺がある、力が入らない、目が見えない、耳が聞こえない、など
運動の症状
- 声が出なくなる、痙攣を起こす、歩行障害、筋力低下、チック、など
病院で医師の診察を受けても脳や体に何の異常もみつからず、医学的な説明がつけられないことで「転換性障害」と診断されます。
転換性障害の原因 ~発症しやすい年齢や性別はあるの?~
転換性障害は、抱え込んでしまったストレスを自覚できないために発症するとされています。子供の場合は特に、ストレスを感じていることを自分では理解できないことが多くあります。
また、不安に思っていることがあってもそれを上手に大人に伝えることができないことから、ストレスを抱え込んでしまいがちです。
こうしたストレスが体に異常をきたすことで、本人の気持ちがストレスの原因から異常が起きた症状へと傾くことで精神的に安心感を得ているのではないかと考えられています。
子供での発症は10~15歳での症例が多く、発症者は男子より女子の方が2倍ほど多いと言われています。女性の発症者が多いことから、以前は「ヒステリー」という呼ばれ方をしていました。
転換性障害は治すことができるの?
子供の転換性障害は、発症の原因となったストレスをなくし、子供に安心感や安全感を与えることできると改善していくものがほとんどです。
ですが、手足に感覚がなくなるというような症状があらわれた場合には、その部位を使わなくなる期間が出てくるため、筋肉が衰えたりする二次的な障害に悩まされることもあります。
子供が転換性障害を発症した場合には一過性であることが多く、患者の8~9割は回復するという経過結果が出ていますので、前向きに治療と向き合っていきましょう。
ですが、成人になってから再発したり、数年後に気分障害や不安障害という診断がつけられる場合もあります。気長につきあっていくようにしましょう。
子供が体の不調を訴えた場合には子供の声に寄り添って症状を受け入れ、安心感・安全感を与えてあげられるように接しましょう。間違っても身近な人が「気のせいだから」「心の問題だから」などと言ってしまわないことが大切です。
治療は基本的に外来で精神科を受診することで進められていきますが、症状によっては入院を必要とする場合もあります。
また、向精神薬が処方される場合もあります。どのように治療を進めていくのかは主治医と相談しながら、子供に合った方法をみつけていくようにしましょう。
場合によっては、患者本人だけでなく家族や学校関係者など、患者にかかわる人たちも患者に対する接し方や、症状が出ている時の対処方法などを学ぶ必要があります。患者一人の問題とするのではなく、協力しながら治療を進めていくことを心がけることが大切です。
まとめ
子供の転換性障害とは ~発症・原因と治療法など~
転換性障害とは ~どのような症状があらわれる?~
転換性障害の原因 ~発症しやすい年齢や性別はあるの?~
転換性障害は治すことができるの?