てんかん の患者さんの中には発作の 前兆 を感じる人がいます。前兆がわかれば、体を安全な場所に移動させるなど、発作がおきる前に対策をとり、発作によるダメージを少なくおさえることができます。
前兆にはどのようなものがあるのでしょうか。
てんかん発作には、前兆がある?
てんかん発作の前兆とは
てんかん発作がおこる前に「今から発作が始まる。」と自覚症状を感じる人がいます。
てんかんの発作には、初めから脳全体におきる「全般発作」と、ある特定の部分から始まる「部分発作」があります。さらに「部分発作」には、意識障害のない「単純部分発作」と意識障害をともなう「複雑部分発作」にわけられます。
「複雑部分発作」も特定の部分の異常から始まり、そこから他の部分の発作へと広がり意識障害がおきます。てんかんの前兆とは、意識障害がおきていない「単純部分発作」がおきている状態です。
その段階では、ほかの人にはわからない精神症状や、自律神経症状を感じています。その後、発作が周囲の部分に広がっていくと意識障害が始まります。意識障害がおこると、その間の記憶は患者さんにはありません。
患者さんは意識障害が始まる前のことは覚えているため、その時の状態を「前兆」としてとらえているのです。
てんかん主な前兆症状
手足のしびれ
体に電気が走ったように感じ、手足がビリビリしたり、感覚がなくなったりします。また、手足が動かせなくなる場合もあります。
吐き気
みぞおちからこみ上げてくるような不快感やお腹の中がゴロゴロとする感覚があります。代表的な前兆症状です。
身体症状
頭痛やめまい、脈が速くなる、胸がドキドキするなどの症状です。
体温の変化
手足が熱くなったり、逆に冷たくなったりします。
不安、理由のないパニック
気が遠くなっていくような感覚や恐怖感、不安感といったものを感じます。何となく発作がおこりそうな気分といったものを感じる人もいます。イライラした気分が続いたり、怒りっぽくなったりする人もいます。
視覚症状
視野の中にチカチカする光が見えるほか、点や星型、線や円などのいろいろな形がみえる場合があります。白黒のときや、色つきのときなど、さまざまです。
聴覚症状
キーンという高い音の耳鳴りがする、ブンブン、ガンガンという音や、機械の音が聞こえるといった症状です。中には、人の話し声が聞こえる人もいます。
異味、異臭
口の中に、苦い、甘い、酸っぱい味がする、何かが焦げたようなにおいや硫黄のにおいのような不快なにおいを感じるといった症状です。
前兆を感じたら
てんかん発作の前兆は、発作が始まる数分前から数時間前におきるのが一般的です。しかし、部分発作を持つ3分の1くらいの人は、数日前から持続的におきる前兆症状を感じているといわれています。
前兆を感じたら、まず、薬を飲みます。次に、睡眠をたくさんとり、脳にてんかんの発作を引きおこす要因となるものをなるべく避けた生活を送るようにしましょう。
これらを心がけることで、前兆発作から大きな発作をおさえることができるかもしれません。また、安全な場所に移動して、危険を避けケガを防ぐことも大切です。
てんかんの診断に役立てる
上記の前兆発作は、てんかんの最初の発作がおきる脳の領域によって特徴が異なります。そのため、前兆発作を調べると、てんかん発作が起こる脳の部位を特定することができます。これは、てんかんの診断にとても大切な情報です。
前兆症状はたくさんありますが、ひとりの患者さんをみてみると、その症状は多くの場合はいつも同じです。前兆症状をよく観察して、医師に報告することで治療に役立ちます。
医師と連携して、前兆症状と検査の結果を比較するなどして、自分の状態を詳しく知っておくと、いざというときに適切な行動をとり、はやめに適切な処置をおこなうことができます。
まとめ
てんかん発作には、前兆がある?
てんかん発作のぜんちょうとは
てんかん発作の主な前兆症状
前兆を感じたら
てんかんの診断に役立てる