てんかん発作は基本的には脳に何らかの損傷があり、そこが起因となっててんかん発作は起こります。てんかん発作の特徴と脳の損傷部位は関連性がありますので、それに沿った性格的特徴が見られるようにも思われますが、実のところ 性格 と てんかん の関連性はありません。
下記に3つの例を挙げて説明いたします。しかし、どのタイプのてんかんにも当てはまる精神的な性質はあります。それは鬱です。やはり、生きにくさを抱えているわけですので、どうしても精神的に追い詰められてしまいます。
子供のてんかんは発作にだけ着目するのではなく、それを抱えて生きる事のつらさへ対する心のケアも気にしてあげたいところです。
てんかんの性質によって子供の性格的特徴がある!?
症候性全般のてんかんの性格
他のてんかん発作よりも発病年齢が早い事が一つの特徴です。新生児期や乳幼児期に発症する事が多く、発病する前から精神発達遅滞や神経症状が見られます。
具体的にはウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、ミオクローニー失立発作てんかん、ミオクローニー欠神てんかん、早期ミオクローニー脳症などがあげられます。
脳の損傷が著しい為、性格の変容というよりは知的な障害の為に無意味な行動が増えたり、異常行動が見られたり、不機嫌な状態が続いたりします。その為に、少し変わっているように見えてしまうのです。
乳幼児の段階で性格的に難がある為に、てんかんが起こりやすいという事は考え難いです。
特発性てんかんの性格
特発性てんかんは脳の損傷を伴わなかったり、原因がはっきりしない状況で起こったりするてんかん発作の事を言います。脳に障害が見られない為、知的障害は伴いません。従いまして、特発性てんかんを起こす子供の性格には共通点というものはあまりありません。
通常の子供と同じ、家庭環境や生活の中でその子供らしい性格が形成されてきます。しかし、突然襲うてんかん発作の恐怖や不安はみなさん抱えています。その為に、引っ込み思案になったりするといった事にはなりやすいと思います。
ですが、先ほども述べたように家庭環境が大きく子供の人格形成に左右します。子供の不安を理解し暖かく見守ってあげる事が出来れば、てんかん発作を持っていたとしても自分自身でそのような状況を受容でき、前向きに生きていく事が出来るようになるでしょう。
複雑部分発作の性格
複雑部分発作は意識が遠のき、周囲の状況が分からなくなるような状態になります。意識を失ってしまうわけではなく、体は色々動きますが自分自身がその時の様子を覚えていないという特徴があります。
側頭葉を起源とする発作では急にぼーっとしたり、手をたたき始めたり、口をモグモグさせたりするような事が見られます。
前頭葉を起源とする発作では手足を急にばたつかせたり等大きな動きをすることが特徴です。けいれんの様な小刻みな震えや硬直とは全く様相が違います。
複雑部分発作が起こる前駆症状として不機嫌になり、怒りっぽくなる、回りくどく粘着資質になる、幻覚や妄想的発言が多くなる、無意味な動作が多くなる等があります。
この状態を外から見ると変わった性格の持ち主のように映るでしょう。しかし、それは本人の性格によるものではなく、脳障害による症状です。ですので、てんかんになりやすい人に性格的特徴があるかと言われると答えはNOとなるわけです。
昔はあった性格的特徴
実は、一昔前はてんかん発作を引き起こす子供に性格的に一致する部分がありました。てんかんを持つ子供にお多かった特徴として、粘着性が高い、ものにこだわりやすい、回りくどい言い方をするなどがありました。
これは発作を繰り返すうちに脳の損傷が進んだために起こると考えられており、軽度発達障害を持った子供の特徴と似ています。どちらも軽微な脳損傷で起こる症状ですので似た部分があると考えられます。
しかし、現代では適切な治療やてんかんコントロールがなされるようになってきましたので、殆どこのような性格に偏りが見られる子供は見なくなりました。
まとめ
てんかんの性質によって子供の性格的特徴がある!?
症候性全般のてんかんの性格
特発性てんかんの性格
複雑部分発作の性格
昔はあった性格的特徴