てんかんは慢性の脳疾患で、大脳の神経細胞が異常に興奮することによって発作が起こります。発作にはさまざまなものがありますが、なかには意識を失うものもあり、発作を起こすタイミングと場所によっては生命に関わる危険な事態になることもあります。
そこで、 てんかん 発作 にはどのようなものがあり、また、発作に 前兆 があって危険を避けることができうるのかどうかを見ていくことにしましょう。
てんかんの発作には前兆があるのか(前編)
さまざまな種類があるてんかんの発作
大脳の神経細胞は、互いに電気信号をやりとりして活動しています。通常、そのやりとりは、規則正しくバランスが取れた状態です。しかし、時にバランスが崩れて電気的な乱れが生じることによって、身体にさまざまな症状を引き起こすことがあります。これがてんかんです。
てんかんの発作は、大脳のどのあたりに電気的な乱れが生じたかによって、現れ方が異なります。
大脳全体に乱れが生じた場合の発作を「全般発作」、部分的に生じた場合を「部分発作」と呼びます。
さらに部分発作は、発作中に意識があるかないかによって「単純部分発作」と「複雑部分発作」に分類されます。
発作を覚えている単純部分発作
単純部分発作は、発作の間も意識があります。そのため、発作の内容を自分自身で覚えているのが特徴です。部分発作では、大脳のどの部分が異常興奮したかによって、発作の内容が異なります。
前頭葉に異常脳波が現れた場合は、運動発作を起こします。顔や手、足にけいれんなどが起こります。また発作後、けいれんを起こした手足が、一時的に麻痺することがあります。トッド麻痺と呼ばれているものです。
頭頂葉が異常興奮した場合は、体性感覚発作を起こします。これは、身体の一部がピリピリするように感じるなど、外的刺激がないのに起こる異常感覚です。
後頭葉は視覚をつかさどるところのため、ここに異常脳波が現れると、目の前に光が現れたりピカピカしたりするなど視覚発作が起こります。
側頭葉の場合は、腹痛や悪心といった自律神経発作や、不安などを感じる精神発作が現れます。
意識が曇る複雑部分発作
複雑部分発作は、意識が曇るように遠のいて、ぼんやりするような発作です。急に動作をやめ静止したかと思うと、数十秒間から数分間、反応のない状態が続きます。その間、表情や姿勢には変化が見られません。
例えば、食事中の場合ですと、はしを持ったまま、しばらくの間ボーッとしているようになります。しかし発作が終わると、何事もなかったかのように再び動作を続けます。本人は、発作中のことは覚えていません。
また複雑部分発作では、発作中に自動症をともなうことがあります。自動症とは無意味な動作を繰り返す現象です。口をモグモグさせる、舌なめずりをする、顔をなでまわす、うろうろ歩き回る、ボタンや衣服をいじるといった動作を、無意識に2~3分間続けるのです。
まとめ
てんかんの発作には前兆があるのか(前編)
さまざまな種類があるてんかんの発作
発作を覚えている単純部分発作
意識が曇る複雑部分発作