癲癇 は古くからある病気です。原因がわからず急に異常な症状を発症することで神聖病と呼ばれたこともあります。現代は医療の進歩も進み検査結果から脳の病気であることがわかりました。大脳からの神経細胞の異常な活動と興奮から放電により発作痙攣や意識障害がおこる病気です。
年齢や性別、人種に関係なく誰にでも発症する可能性はあります。100人あたり0.5~1人にみられる病気で、多い年齢では3才未満が一番多くそれ以降は減り60歳を超えた高齢者になると再び発病率が増えます。
癲癇は脳の異常興奮が原因の病気
癲癇発作の種類
癲癇と聞けば意識を失い倒れる、全身で痙攣おこしてガクガク震える症状が一般的に思い浮かぶ症状です。実際は脳の異常な興奮が脳のいろいろな場所で発生してその場所により症状が違うのです。時代が進み癲癇の分類も変化しています。
日本てんかん協会に基づいて説明していきます。大きく2つにわかれていて、全般発作と部分発作に分かれています。
また全般発作も強直間代発作、単純欠伸発作、複雑欠伸発作、点頭発作、脱力発作と5つにわかれているのです。
全般発作は初めから脳全体が異常な電気放電に巻き込まれ意識が最初からなくなるのが特徴です。部分発作はその名のとおり脳のある部分から始まる発作です。
全般発作は5つに分類される
上記でも説明しましたが全般発作をもう少し詳しく説明します。
強直間代発作、単純欠伸発作、複雑欠伸発作、点頭発作、脱力発作に分類されます。
強直間代発作は手足が突然曲げたり伸ばしたりガクガクした痙攣や手足、首、体幹の筋肉がつり体をねじらせたと同時に意識がなくなるのが特徴です。
単純欠伸発作は5~15秒の短い間に意識がなくなるのですがすぐに回復します。発作中はそれまでの行動を止めるのですが回復すると再度行動を始めるので周囲が気づきにくい発作です。
ボーっとすることが多く授業中に注意を受けることがあります。子供に多い発作です。複雑欠伸発作は舌なめずりや揉み手など意味のない行動をとります。一瞬体をビクっとさせたり突っ張ったりします。
点頭発作は突然頭を前に倒し両手を上げて胴を曲げる形をとります。赤ちゃんに多い発作です。脱力発作は全身の筋肉が低下して体勢が崩れるように倒れます。この発作も短時間なので周囲に気づかれにくい発作です。
癲癇の治療法(内科的治療)
基本は抗てんかん薬の投薬治療が中心です。発作のタイプにより使用する薬が違います。薬で脳神経細胞の興奮を抑え他の脳神経細胞に伝わらないようにすることで発作を抑制します。血液検査を定期的にして薬の効果を血中濃度を調べて量を決めます。
少ない量と種類から治療を始める方が副作用は少なくすみますが発作を抑えるために多くの薬を服用する患者さんもいます。
薬を服用して子供なら2~3年間、大人で5年以上発作が抑えられている状態が続いたら医師の判断のもとで薬を減量し上手くいけば薬を中止することができます。
半年くらいかけてゆっくりと減量します。決して自己判断で薬の服用をやめることはしないでください。発作が酷くなる可能性があります。
薬を中止することができたとしても再発することもあるので定期的に脳波検査は必要です。
癲癇の治療(外科的治療)
薬でのコントロールが難しい癲癇の時に検討します。最近では患者さんによって早めに手術を行うほうが良いとされています。側頭葉てんかんや限局した病変が原因の場合は手術で良くなることが多いです。
ですが脳の複数からの発作や重要な働きのある場所からの発作が原因であれば手術は難しいです。
癲癇の検査
脳波の測定をします。頭に電極をつけて起きている時と寝ている時の記録をとります。検査時の痛みは全くなく小さな子供でも受けることができます。繰り返し検査をしても危険はありません。
その他にCT,MRIなどの画像検査で脳の中の状態を確信し血液検査や尿検査を必要に応じてやります。
癲癇の予防
病院で処方薬をきちんと飲むことが大切です。自己判断で勝手にやめないでください。
しっかりと睡眠も取ることです。睡眠不足からも発作を引き起こします。7時間から8時間の睡眠をとることが必要です。規則正しい生活を心がけることも予防につながります。
ストレスからも発作を引き起こしますが日常生活からストレスを全て排除することは不可能です。自身でストレスを感じたらすぐに発散するように心がけてください。
癲癇は脳の病気です
目の前で人が急に意識消失で倒たり痙攣を始めたら殆どの人はおどろきます。昔は原因が分からないことで神聖病と呼ばれ偏見もありました。現代では医学の進歩で脳の病気とわかり誰でも発症する可能性のある病気です。
抗けいれん薬もいい薬が開発されているので癲癇患者さんの8割以上の人が普通生活を送れています。癲癇をよく理解し知識を備え必要以上に怖がらず対応することが大切です。
まとめ
癲癇は脳の異常興奮が原因の病気
癲癇発作の種類
全般発作は5つに分類される
癲癇の治療(内科的治療)
癲癇の治療(外科的治療)
癲癇の検査
癲癇の予防
癲癇は脳の病気です