てんかん発作にはいろいろな種類があります。はっきりとわかる症状があらわれることもあれば、本人もあまり自覚できない症状もあります。子供の てんかん について親がよく理解して、異変には早急に対応できる知識を持つことが大切です。
子供のてんかんの症状のあらわれ方を知って理解を深める
てんかんとは
てんかんとは脳の神経細胞(ニューロンと呼ばれています)に突然、過剰な電気信号が走り、発作を繰り返すという病気です。この発作のことをてんかん発作と呼びます。
てんかんは人口の1%程度の頻度で発生するとされています。てんかんは小児期に発症することが多く、子供のてんかんには好発年齢があると言われています。
子供のてんかんでは大きな治療が必要なかったり、抗てんかん薬の投与を数年続けることで良くなっていったりすることもあります。しかし子供のてんかんのうち、1割~2割程度は知能障害を合併するような難治性のてんかんだと言われています。
子供のてんかんの治療は長期にわたることが多く、てんかん発作を上手におさえていくことに加えて、日常生活のフォローが大切になっていきます。信頼できる医師のもとで、両親が納得した治療方針にのっとって治療を行っていくことが必要です。
原因
てんかんの原因は大きくふたつに分けられます。ひとつめは大脳が何らかの傷を負うことによって発症する症候性(しょうこうせい)てんかんです。
お母さんの胎内にいる間や出産時に何らかの原因で大脳に傷を負うことが多いようです。先天的な脳の奇形や代謝異常でも発症することがあります。
もうひとつは脳に障害は見つからない特発性(とくはつせい)てんかんがあります。こちらのタイプのてんかんでは詳細な原因はまだわかっていません。MRIやCTなどの詳しい検査を行っても脳に異常は見つかりません。遺伝的な要因が大きいと考えられています。
症状
てんかん発作は国際的な分類で症状を区別しています。体の一部分で発作が始まるものを部分発作と呼びます。さらに意識障害があるかどうかで単純部分発作(意識障害がみられない)と複雑部分発作(意識障害がみられる)という二つに分けられます。
全身の左右で同じように症状があらわれる対称性のある発作のことを全般発作と呼びます。
単純部分発作では本人に意識があるので、発作の状況をすべて覚えています。手足や顔がねじれたり、がくがくとけいれんしたり、回転したりします。視覚や聴覚に異常がみられることもあります。頭痛や吐き気を感じる人もいます。
複雑部分発作では、意識が遠のいてしまうので発作の状況はわからなくなってしまいます。ですが、意識障害が起きている時に倒れてしまうことは少なく、ふらふら歩きだしたり、手をたたいたり、口をもぐもぐと動かすといった意味のない動作を繰り返すという症状があらわれます。
全般発作では意識がなくなってしまいます。歯を食いしばり、呼吸が止まって、手足を伸ばしたまま全身を硬直させます。強直してそのまま倒れてしまい、大けがをすることもあります。
膝を折り曲げて、手足をがくがくさせるようなけいれんが起こることもあります。崩れるようにその場に倒れてしまうこともあります。
また、倒れたりけいれんを起こしたりせず、ただその場で数十秒間、意識を失ってしまうという症状があらわれることもあります。発作の種類によって、症状のあらわれ方も様々です。
検査
てんかんの検査では脳波の検査がもっとも重要となります。発作が起きている時の脳波と発作が起きていない時の脳波を記録して、検討します。てんかんの兆候があらわれやすいように、光による刺激、過呼吸賦活(かこきゅうふかつ)、睡眠賦活(すいみんふかつ)などを行います。
また、基礎疾患についても併せて調べるために尿検査、血液検査、頭部MRI、頭部CTなどを行います。
治療
現在では適切な診断と治療によって、てんかんの8割は発作のコントロールが可能になったと言われています。てんかんの治療では薬を用いる治療と手術による治療の二種類があります。
薬剤による治療では、抗てんかん薬を用います。少量から投与をはじめ、少しずつ量を増やしていきます。発作の回数や脳波の所見などから発作が抑えられる最小量を探し出し、投与を継続していきます。効果がみられない場合は、別の抗てんかん薬に切り替えることもあります。
難治性のてんかんの一部で、手術による病巣切除が行われるようになってきました。てんかんの発作を抑えることができ、脳波が安定して正常になって数年が経過すると、抗てんかん薬を減らしたり、投与をやめたりすることができるようになります。
まとめ
子供のてんかんの症状のあらわれ方を知って理解を深める
てんかんとは
原因
症状
検査
治療