胆道閉鎖症 とは赤ちゃんに発症する珍しい病気です。1万人に1人の割合で発症します。命に関わる病気なので早期発見が必要です。素早く赤ちゃんの異常に気づけるように詳しく症状と治療方法を紹介します。
胆道閉鎖症の症状と治療方法
胆道閉鎖症とは
胆道閉鎖症とは胆汁の通り道が詰まる病気です。生まれつきの先天性だけでなく生後まもなく後天的にも胆管が詰まることがあります。放置することで肝臓内の胆汁が行き場をなくし肝硬変や肝不全になる子供特有の病気です。
本来は胆管から十二指腸に胆汁が流れるのですが胆管が詰まることで腸に胆汁を送ることができません。肝臓で作られる胆汁は腸に届くことで脂肪を消化吸収する重要な働きをします。
胆管が詰まり胆汁の流れが悪くなると肝臓に胆汁が溜まり黄疸症状や肝臓組織が破壊されて胆汁性肝硬変になることもあります。胆汁性肝硬変を発症すると2度と元の肝臓に戻ることは不可能です。発症率は女の子の方が男の子の2倍多く発症しています。
胆道閉鎖症の症状
胆管が詰まり胆汁の色素が血液中に多くなり皮膚や白目の部分が黄色っぽくなることが黄疸です。生後2日~3日頃に出る新生児黄疸があるので区別をすることが必要です。新生児黄疸であれば生後1週間以降から少しずつ消えていきます。
新生児黄疸であれば心配ないのですが退院して1ヶ月検診でも黄疸が消えていないときは胆道閉鎖症の可能性があります。色が白色やクリーム色のような便が出ます。胆汁に含まれるビリルビンの色素が腸に排出されないことで便に色が付かず白っぽくなります。
母子手帳などに「便色カラーカード」があれば便の色を比較してみてください。1度だけ比べるのではなく日により変化することがあるので生後1~3ヶ月間は時々観察することをお勧めします。
胆管が詰まり症状が進行すると流れの悪い胆汁が腸に送られなくなることから肝臓に蓄積されます。そのために肝臓が硬く腫れることになります。胆汁が腸に送られていないので腸内で脂肪吸収ができないことで一緒に吸収されるはずのビタミンも欠乏します。
ビタミンKが吸収されないことから出血を起こしやすくなります。そのために胆道閉鎖症を発症している子供のうち約4%の子供が脳出血を起こすことがあります。
胆道閉鎖症の原因
確実な原因は現在のところは解明されていません。先天的、遺伝的、感染的などが考えられています。
お母さんとしては我が子に大変な病気を背負わせたと自分を責める方もいますが決してお母さんの責任ではありません。自分を責めるのではなくこれから先、この子がたくさんの楽しいことや笑顔になるように努力することが一番必要なことです。
胆道閉鎖症の治療方法
主な治療方法は外科的手術です。手術の選択肢として胆道閉鎖症手術と肝移植術があります。胆道閉鎖症手術も2種類あります。
胆管が開いている状態であれば胆管と腸を吻合する肝管腸吻合術、閉塞しているのであれば肝臓外の胆管を取り肝臓自体を腸管と吻合する肝門部腸吻合術になります。
この手術で黄疸が消える子は約6割程度です。もし手術で黄疸が消えない、術後に横断再発があれば最終的には肝移植が必要になる子もいます。
胆道閉鎖症の合併症
手術をすればそれで終わりではありません。術後は投薬治療だけではなく長期的に注意することがあります。それは術後の合併症です。
術後に黄疸が消えないこと、消えても肝臓が硬くなる場合には肝硬変や肝不全になります。肝不全になることでお腹に水が溜まる腹水や栄養状態が悪くなり成長できなくなります。その時には肝移植以外には今の医療では方法がありません。
胆道閉鎖症の予後
胆道閉鎖症手術をして黄疸症状が消える子供の確率は日齢と関係が深いです。生後30日以内では7割、生後120日を経過すると急に4割に減ります。生後150日となると2割の子供しか消えません。早期発見することが重要なことがわかる病気です。
胆道閉鎖症は小児科の医師でも気づきにくい時期に発症します。出産して退院をすると1ヶ月検診までは小児科医との接点がありません。最初に病気に気づいてあげられるのは両親です。退院しても黄疸が消えない時には1ヶ月検診を待たずに小児科受診をしてください。
黄疸が新生児横断なのか病的な黄疸なのか測定器があります。術後のコントロールがうまくいき健常児と変わりなく成人する子も増えています。しかし成人しても肝臓の状態が悪化して肝移植を受けることもあります。継続して経過観察することは必要となります。
日々の赤ちゃんの様子を成長と一緒に観察することが早期発見となり予後もいいものとなります。命の大切さを生まれてきて教えてくれるのは赤ちゃんです。命の光と笑顔をいつまでも保てるように歩むことが将来の幸せに導いてくれます。
まとめ
胆道閉鎖症の症状と治療方法
胆道閉鎖症とは
胆道閉鎖症の症状
胆道閉鎖症の原因
胆道閉鎖症の治療方法
胆道閉鎖症の合併症
胆道閉鎖症の予後