タミフル はインフルエンザの治療薬の中で最も一般的な薬で、インフルエンザウイルスの増殖を抑えます。タミフルが処方された際には最後まで飲み切らなければなりません。
また、異常行動等の副作用が起こる恐れがありますので、注意が必要です。タミフルはインフルエンザの予防薬としても使用できますが、対象者には一定の条件があり、保険が適用されないので、全額自己負担となります。
タミフルの特徴と使用の際の注意点
タミフルとはどのような薬か
インフルエンザの治療薬には、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、シンメトレルといった種類がありますが、その中でもタミフルは最も一般的に知られています。
インフルエンザの治療薬としてタミフルが広く使われるようになったのは、保険適用となった2001年2月以後です。タミフルはカプセルかドライシロップといった形状の飲み薬で、1日2回で5日間服用し続ける必要があります。
タミフルは、インフルエンザウイルスの増殖を抑えますので、発症から48時間以内に服用すると発熱期間を1日程度短縮させ、高熱で苦しむ期間を短くできる効果があります。しかし、ウイルスそのものを死滅させる効果はありません。
タミフルを服用すると通常より早く熱が下がります。熱が下がれば残りの薬は飲まなくて良いのかと考えがちですが、最後まで飲みきらなければなりません。
タミフルによってインフルエンザウイルスの増殖が抑えられ、服用しない時に比べて早く熱が下がっても、すぐにウイルスが体から排除されるわけではありません。
ウイルスが完全に体から排除される前に飲むのをやめてしまうと、ウイルスが再び増加するばかりでなくタミフルに耐性を持ったインフルエンザウイルスが出てしまう恐れがあります。
自分自身のインフルエンザを完治させるためにも、また、他の人にウイルスを感染させないためにも、処方されたタミフルは最後まで飲みきるのが重要です。
タミフルによる副作用
よく聞くタミフルの副作用として異常行動があり、一時期ニュースでも頻繁に取り上げられていました。具体的な異常行動には、タミフルを服用後窓から飛び降りる、幻覚、幻想、大きな声を出す等があります。
タミフルを服用した10代の子供に転落や飛び降りといった事故が相次いで報告されたため、平成19年、厚生労働省は、タミフルと異常行動の因果関係を否定しながらも10代の患者にはタミフルを使用しないように医療機関に通達を出しました。そのため、10代の患者にはタミフル以外の抗インフルエンザ薬が処方されています。
しかし、異常行動はタミフルを服用している時にだけ起こるわけではありません。タミフル以外の抗インフルエンザ薬でも薬を服用していない場合でも同様の異常行動が報告されています。
ですので、異常行動は直接タミフルに関係しているとは言い切れず、インフルエンザにかかっている事自体が異常行動を引き起こしている可能性もあります。
インフルエンザによる異常行動は発症から2日以内に現れやすいので、タミフルをはじめとする抗インフルエンザ薬の服用の有無に関わらず、子供を1人にしないようにし、こまめに状態を確認する必要があります。
その他、タミフルには吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、めまいといった副作用もあります。タミフルを服用する際には、副作用に十分注意しましょう。
インフルエンザ予防薬としてのタミフル
タミフルと聞くとインフルエンザを発症してから服用する薬というイメージがありますが、タミフルにはインフルエンザの予防薬としての効能もあります。
タミフルを予防薬として処方できる対象者は限られており、同居する家族または共同で生活している人がインフルエンザを発症している上で以下の条件に該当する場合のみです。
- 65歳以上の高齢者
- 慢性呼吸器疾患や慢性心疾患の人
- 糖尿病等の代謝性疾患の人
- 腎機能障害の人
これらの条件にあてはまる人は、万一インフルエンザに感染した時、重症化したり肺炎等の合併症を引き起こしたりするリスクが高いため、タミフルの予防投与が認められているのです。
タミフルを予防薬として使用する方法は、同居の家族や共同で生活している人にインフルエンザの感染が確認されてから2日以内に服用を始めます。
75mg1カプセルを1日1回、7~10日間飲み続けます。飲んでいる間しか予防効果が持続しませんし、10日間より長く飲み続ける事もできませんので、予防効果は短期間限定になります。
タミフルを予防薬として服用する場合は、保険は適用されませんので全額自己負担となり、医療機関によって差はありますが7,000~10,000円程度の費用がかかります。
タミフルの予防投与はインフルエンザの予防接種に代わるものではありません。早めに予防接種を受けた上で感染が不安な場合に検討するようにしましょう。
まとめ
タミフルの特徴と使用の際の注意点
タミフルとはどのような薬か
タミフルによる副作用
インフルエンザ予防薬としてのタミフル