「水頭症」という病気をご存知ですか?妊娠したことのある方でしたら、1度は聞いたことがあると思います。また、画像などでご覧になった方もいらっしゃるでしょう。けれど、病名は知っていてもその具体的な 症状 を知っている方は少ないのではないでしょうか?
意外なことに「 水頭症 」の赤ちゃんは1,000人に1人の割合で生まれてきます。水頭症のお子さんは早期発見が大きなカギとなります。一番赤ちゃんの近くにいるママが、きちんとした知識を持つことが大切です。
早期発見がカギ!水頭症の症状をきちんと覚えておきましょう
「水頭症」とはどのような状態のことを指すのでしょうか?
人間の体の中にはたくさんの「液」が流れています。血液、リンパ液、脳脊髄液、組織液…、他にもいくつかの種類がありますが、私たちにとって聞いたことのある身近なものはこの4種類かと思います。
水頭症に関係するものはこの脳脊髄液になりますが、通常この脳脊髄液は私たちの脳を守る保護液としての働きがあります。急な頭部の動きで脳への衝撃を和らげる働きをしたり、脳が活動することで発生する不要な物質を液の流れに乗せて取り除くなど、とても大切な役割を担っています。
その流れは、1日に3度ほど脳全体の液が入れ替わるくらい活発なものです。水頭症は、この脳の保護液である髄液が頭の内部に大量に留まってしまう状態です。
目に見える「水頭症」の症状
一目見てわかるものに頭囲の異常があります。特に乳児はそれが顕著に表れます。もともと産道を通るために、赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかく、縫合が未熟です。(前方の頭蓋骨を重ねて頭を小さくして、産道を通りやすくしながら頑張って出てくるため)
髄液が脳に留まり、頭の内部圧力が上がることによって頭蓋骨が押し広げられます。その結果、頭が肥大化してしまうのです。赤ちゃんが生まれた時や乳児検診の時に「頭囲測定」があります。母子手帳の中にも頭囲成長の正常範囲が記載されています。
一般的に男の子は31cm~36cmくらい、女の子は30cm~35cmくらいです。遺伝や個人の成長の関係もありますので一概には言えませんが、体の成長具合に対して、頭囲が正常範囲を大きく超えている時は、注意しておいた方がよいでしょう。
乳児期の見落としがちな症状
水頭症を発症しているお子さんに見られるその他の症状として、次のようなこともあげられます。
赤ちゃんにはよくあることと思ってしまうのでつい見落としがちになるのですが、何気ないお母さんの気付きが早期発見につながることになりますので、次のような症状が続いている場合は一度病院を受診されることをお勧めします。
- 理由もないのに不機嫌がつづく
- うとうとと眠ってばかりいる、もしくは、眠りが浅い状態がつづく
- 急に両方の黒目が下の方にくるっと引っ張られる(落陽現象と言います)
- 首がなかなか座らない(正常な成長の子は3ヶ月から6ヶ月で首がすわります)
幼児期にあらわれる症状
乳児期に水頭症の疑いがある場合、経過視察となることがあります。頭囲も目に見えて異常ではなく、はっきりとした判断ができない場合は子どもの成長をみながらの検査になります。
2、3歳頃の幼児期になると、出てくる症状として頭痛や嘔吐があります。また、けいれんを起こすことも症状の一つにあげられます。歩き方がおかしかったり、成長が他の子よりもかなり遅れている場合は(2歳過ぎても歩けないなど)お子さんの様子をしっかりと見てあげましょう。
水頭症の症状はみてすぐにわかるものだけではありません。言葉や、周りから受けるものとして、頭が非常に大きい状態の子というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。1歳半検診の頭囲測定でその疑いが出てくることもあります。
水頭症と判断された場合はシャント手術(簡単にいうと髄液を腹部に流すバイパス手術)という治療が一般的ですが、発見が遅れた場合は重度の障害や後遺症が出てくる可能性もありますので、子どもの様子や発育などをしっかり気をつけてあげることが重要です。
まとめ
早期発見がカギ!水頭症の症状をきちんと覚えておきましょう
「水頭症」とはどのような状態のことを指すのでしょうか?
目に見える「水頭症」の症状
乳児期の見落としがちな症状
幼児期の早期発見となる症状