小児 の 肥満度 は月齢、年齢によって異なった指数を用いて計算し、基準値も年齢ごとに異なります。小児の肥満は大人の肥満に移行しやすいので、肥満の傾向があることが分かったら早めに適切な治療を行うことが大切です。
小児の肥満度の測り方を知ることで適切な体重増加を確認する
肥満とはどのような状態か?
肥満というのは、食事や間食などで摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回ってしまい、脂肪を体に過剰にため込んでいる状態を指します。体重が標準値よりも重い子どもでも、体全体の体脂肪の割合が多くなければ肥満であるとは言えません。
逆に、体重が標準範囲内に入っていて、見た目ではそれほど太っていない子どもでも、体脂肪の割合が多いと肥満ということになります。
病院などには体脂肪の量を正確に測ることができる器械があります。普通の家庭では正確な量を測るのは困難なので、小児の肥満度を判定するための指数を用いて計算を行います。
乳幼児の肥満度の測り方
満3カ月から5歳までの乳幼児の肥満度、やせ度を判定するための指標として使われるのは「カウプ指数」です。
カウプ指数は体重(g)÷身長(cm)÷身長(cm)×10という計算式で求めることができます。
たとえば、体重13.5キロ、身長80センチの赤ちゃんでは、13500÷80÷80×10という計算式になり、約21.09という値が求められます。
カウプ指数は月齢によって基準となる値が異なります。1歳未満の子どもではおおよそ20を超えると肥満と考えられます。
小中学生の肥満度の測り方
小学生、中学生には「ローレル指数」という指標を使って肥満度の判定を行います。
ローレル指数は体重(㎏)÷(身長(cm)×身長(cm)×身長(cm))×10000000という計算式で求めることができます。たとえば、体重30キロ、身長130センチの子どもでは、30÷(130×130×130)×10000000という計算式になり、約136.5という値が求められます。
ローレル指数は130が基準値となりプラスマイナス15におさまっていれば、標準であるとされます。ローレル指数が160以上となると肥満とされます。
子どもの肥満の原因とは
子どもの肥満はそのほとんどが単純性肥満(原発性肥満)であると言われています。これは、食事や間食などで摂りこむエネルギーが消費するエネルギーを上回ることによって起きるものです。
食事や間食そのものの量が多すぎるだけではなく、食事の内容が偏っていたり、運動量が足りなかったりすることも複合的に関わります。
また、単純性肥満では太りやすさの遺伝的な要素も関係しているということがわかってきました。母親もしくは父親が肥満であると子どもも肥満になる確率が高まります。
1970年代から、食生活の欧米化、生活様式の変化などによって子どもの肥満が急増しました。健康志向の高まりから、現在は肥満児の増加は以前ほどではなくなりましたが、1割以上の子どもたちが肥満であるとされています。
中には単純性肥満(原発性肥満)ではなく、病気によって肥満になっているという子どももいるので注意が必要です。病気による肥満は症候性肥満(2次性肥満)と呼ばれます。症候性肥満では身長の伸びが悪いという特徴があります。
子どもの肥満はなぜいけないのか?
肥満はさまざまな合併症を起こすことで知られています。特に生活習慣病である糖尿病や高血圧、脂質異常などの原因ともなり、将来、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを高めることになります。
このような生活習慣病は大人だけではなく、子どもでもみられ、小さな頃から動脈硬化が進行していきます。肥満の程度が大きい場合は、こうした合併症が起きていないか検査が必要になることもあります。
深刻な合併症がない場合でも、膝や腰などに負担がかかり体に悪い影響が出るので肥満の状態をそのままにしておくのはよくありません。子どもの肥満は大人の肥満に移行しやすいと言われています。
これは肥満の原因となる生活習慣がそのまま定着してしまうために起こることで、規則正しい生活に戻すのはとても難しい状態になります。
小児であっても、肥満の治療を行うことは非常に重要です。そのうち背が伸びるだろうからとそのまま放置せず、適切な治療を早期に始めることがその後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
まとめ
小児の肥満度の測り方を知ることで適切な体重増加を確認する
肥満とはどのような状態か?
乳幼児の肥満度の測り方
小中学生の肥満度の測り方
子どもの肥満の原因とは
子どもの肥満はなぜいけないのか?