現代の子供はゲームやパソコンなど目に良くない環境に取り囲まれています。 視力低下 の 原因 はひとつではありません。環境的な要因、遺伝的な要因、心理的な要因など様々な原因があることを知って、少しでも良い視力を保つように努力してみましょう。
子供の視力低下の原因はひとつではありません
子供の視力の発達
生まれたばかりの赤ちゃんも視神経は発達していますが、大脳に入った光の信号の視覚パターンを認識することはまだできず、目的のない眼球運動を行うだけです。
はじめは片目ずつを使っていると言われ、両眼視はまだできません。両眼視は生後6週間ほどで発達をはじめ、1年ほど経つと完全に両目で見ることができるようになります。
視力は生後1か月ほどでは、光を感じるだけだったのが、2カ月になると目の前で動くものに反応を始めるようになります。4か月ほどたつと視力はおよそ0.02になり、6か月を過ぎると0.06くらいが見えるようになると言われています。
1歳を過ぎると0.2、2歳で0.5くらいが見えるようになり、6歳になると1.0という視力が得られるようになります。8歳から9歳になるころには、視力についての機能はほぼ完成していると考えられています。
環境的な要因
現代の子供たちは遠くを見る機会が激減し、テレビゲームやポータブルゲームなど近くを凝視するという時間が長くなりました。画面を見つめ、瞬きをせずにゲームを続けていると目の毛様体筋、虹彩筋、外眼筋などがずっと調節を続けなければならないという状態に陥ります。
このように目の緊張を解けない状態が長く続くと視力の低下が進んでいきます。ポータブルゲームは視界がせまく、目を動かす範囲も小さいため、視力の向上を妨げる要因となっています。
また、ポータブルゲームは手で持って遊べるため、自分の見やすい角度に調節することができます。すると片方の目だけを使って、つねに近い距離で画面を見続けたり、暗がりの中、至近距離で目を酷使したりするという状況も発生します。
このため、片目だけが視力低下してしまうということも起こります。
遺伝的な要因
視力低下には遺伝的な要素があるとも言われていますが、その程度についてはまだ正確にはわかっていません。視力が完成する8歳から9歳を過ぎたあたりからは勉強や読書、ポータブルゲームやパソコンなどで目を酷使するようになるため、環境的な要素も大きくなると言われています。
両親や祖父母の目が悪いからと言って必ず視力が低下するわけではありませんので、環境的な要因に注意し、目のケアに関心を払うようにするとよいでしょう。
心理的な要因
眼球自体にはなんの問題もないのに、視力が低下するという子供がいます。これは心になんらかのストレスが生じることによって視力が低下するという病気です。
心因性の視力障害は8歳から12歳がピークで、女児の方が男児よりも多く発症するとされています。思春期前期に特有の心の不安定さから視力が低下してしまうと考えられています。
近視や遠視などの屈折異常による視力低下は眼鏡をかけることによって視力が出ますが、心因性の視力低下の場合は眼鏡をかけても見えるようにはなりません。
マイナスとプラスのレンズを組み合わせることによって、実質的に眼鏡の度数を0にして視力を測定してみると1.0の視力が出ることもあります。
学校や塾でのストレス、友人関係の問題、家庭環境の問題など様々なことがらが心因性の視力低下となってあらわれます。中には眼鏡に対する強い憧れから裸眼では見えないのに、度の入っていない眼鏡をかけると1.0まで見えるようになるということもあります。
視力低下に気づいたら
子供は視力が低下しても「見えている」と言うことが多いものです。これは徐々に視力が低下していくため、1.0の視力でどの程度見えるのか判断できなくなってしまうためです。
眼科で視力検査をして、レンズを通して「よく見える」ということを体験しないと子供本人は視力が低下していることに気づきません。
視力が低下し始めていることに気づいたら、まずは眼科に行ってどの程度の見え方になっているのか確認しましょう。
屈折異常などで視力が低下しているときは、環境的な要因について考え、ゲームやパソコン、スマートフォンなどの使用についてルールを決めるなど、それ以上視力低下をさせないよう、親子で話し合うことが大切です。
心因性の視力障害の場合は、ストレスを軽減することが必要ですが、眼球自体に問題があるわけではないので、時間が解決してくれることもあります。
長期的に経過を観察することで、視力が戻ることも十分あり得ます。信頼できる医師のもと、学校の先生やカウンセラーなどとも連携をはかりながら親子で治療に取り組みましょう。
まとめ
子供の視力低下の原因はひとつではありません
子供の視力の発達
環境的な要因
遺伝的な要因