大人に比べると角膜が柔らかく、睡眠時間も長いことから、効果が期待できると言われている視力回復コンタクト。軽~中度の近視であれば、その効果は実証されています。
しかしながら、この 視力 回復 コンタクト の有用性については疑問が残ります。
視力回復コンタクトの有用性とそのリスク
オルソケラトロジーとは
オルソケラトロジーとは、コンタクトレンズを用いた視力矯正法のことで、古くは300年前に中国から始まり、その後、研究が続けられ、今では世界中でその効果が認められています。
このオルソケラトロジーによる治療法は、夜間寝ている間に特殊な専用ハードコンタクトレンズを装着することで、角膜にクセをつけ、それにより形作られた角膜の屈折率を上手く利用して視力回復を図るというものです。
この方法は角膜の柔軟性と代謝が良いという性質の上に成り立っています。コンタクトレンズにより形状記憶した角膜は一定時間この状態を維持することができます。これにより、日中裸眼で過ごすことができるまで視力を回復させることができるのです。
これに加え、近視の進行を抑制する効果もあるために手術の要らない視力矯正法として注目されています。
子どもに有効なオルソケラトロジー
一般的にオルソケラトロジーは軽度~中度の近視、または子どもの近視に効果が高いと言われています。それは子どもの角膜は水分量が多いことから、大人よりも角膜の柔軟性が高く、オルソケラトロジーによる角膜の形状記憶が図りやすい上、安定しやすいという理由によるものです。
通常3~7日の装着で裸眼視力1.0程得られますが、子どもの場合、その性質から数日に1回の装着でも本人が良好と感じる裸眼視力を維持できるまでに矯正できます。
実際、海外では効果の出やすい子どもにこそ積極的に勧められている治療法です。日本では親権者の関与を必要としないというガイドラインの規定により20歳以上からとされておりますが、医師の処方であれば使用可能なことから徐々に浸透してきています。
2014年の調査によると小学生で約20%の児童がオルソケラトロジーによる治療を受けているという結果が出ています。
オルソケラトロジーのリスク
日本でも徐々に使用率が上がってきているオルソケラトロジーですが、その背景には、スポーツなど運動量の多い児童に日中メガネやコンタクトレンズを装着させることによる事故を危惧する保護者の想いやスポーツクラブなどのインストラクターによる推奨があると考えられています。
一部のメディアによりメリットばかりに注目が集められて宣伝されていることから、そのリスクについてはあまり触れられてはりませんが、費用も高額で臨床的にもその安全性が実証されていないオルソケラトロジーでの治療には、慎重になる必要があります。
中でも、子どもが使用する上で考慮すべき点と言えば、衛生上の管理ではないでしょうか?オルソケラトロジー用のコンタクトレンズは、角膜を形状記憶する目的上タイトに密着するよう設計されています。
また、ドライアイを防ぐために涙液が溜まるよう設計されていることから、清潔に保たれていないと感染症を引き起こす可能性があります。その要因が緑膿菌やアカントアメーバによるものの場合、視力が大幅に低下してしまう恐れもあります。
その他、夜間に長時間装着することで結膜炎や角膜上皮障害などが発症する危険性もあるのです。そして何より、このオルソケラトロジーによる矯正は使用を中断するとまた元の状態に戻ってしまうのです。
また、専用のコンタクトレンズの寿命も2~3年と短く、交換する際は改めて高額な費用が必要になります。
根本的な視力回復を目指すのであれば、視力回復トレーニングなど別の選択肢もあるわけですから、デメリットやリスクも考慮した上でベストな方法を選択する必要があるのではないでしょうか?
視力回復コンタクトの未来
オルソケラトロジーからさらに進化したものでオサートと呼ばれる視力回復法があります。これは、オーダーメイドのコンタクトレンズを使用するため、強度の近視や乱視、遠視、老眼にも効果が期待できます。
その他、角膜が尖がる円錐角膜も矯正可能な上、結膜炎や角膜炎があっても治療可能です。
また、オルソケラトロジーに酵素治療が加わったコルネアプラスティーと呼ばれる視力回復法もアメリカにおいて現在治験中で、この方法が実用化されると、オルソケラトロジーのように毎晩コンタクトレンズを装着することなく視力回復が図れます。
コルネアプラスティーは、半永久的に形状記憶できるためまさに理想の視力回復法と言えます。しかし、費用面などのデメリットなどもまだまだ未知数です。
これらの治療法がもっと安全で身近なものになれば、視力低下で悩む子ども達にとって希望の星となるのではないでしょうか?
まとめ
視力回復コンタクトの有用性とそのリスク
オルソケラトロジーとは
子どもに有効なオルソケラトロジー
オルソケラトロジーのリスク
視力回復コンタクトの未来