脂漏性皮膚炎 とは、人間の皮脂に菌が増殖したりして引き起こされる皮膚の疾患で、脂漏性湿疹という呼び方の方が一般的に知られている事が多い病気です。
子供と大人ではその発生原因に違いがあり、なかなか病気としての認識も低い事から、重症化して初めて治療に乗り出す方が多い皮膚疾患でもあります。
子供の脂漏性皮膚炎と大人の脂漏性皮膚炎
子供の頃の脂漏性皮膚炎とは
生後3か月ぐらいの乳幼児に多く見られます。この頃は発達に伴い皮脂の分泌が盛んになっていますが毛穴の機能は未熟な為、毛穴が詰まりやすくそれが原因で炎症を伴う湿疹が出来ます。痒みも伴う事が多い為、掻き毟りによって患部がひどくただれてしまう事もあります。
好発部位は頭部・脇・顔・耳の後ろ・股周囲です。基本的には乳幼児の時にみられる脂漏性皮膚炎は自然治癒にて回復します。痒みがひどいようでしたら、皮膚科受診をしてステロイド治療を行う事をお勧めします。
ステロイド軟膏の使用を懸念される方もいらっしゃいますが、脂漏性皮膚炎の場合、弱めのステロイド薬で短期間の使用で改善を見ますので、後々の副作用などは殆ど気にするまでもありません。早めに子供の不快感を取り除いてあげる事を優先されてもよいでしょう。
また、紫外線に当たると症状が悪化する事がありますので、湿疹が出来ているときなどは直射日光を避けてあげる事も大切です。夏場などは特に脂漏性皮膚炎を発症しやすい時期でもありますので、好発部位だけでもこまめに清潔を保っておくと予防もできます。
大人の脂漏性皮膚炎
30代から40代、特に男性に多く見られます。子供の脂漏性皮膚炎と違っていることは痒みが殆ど無いか、あっても軽度。そして何よりも、慢性化しやすく自然治癒をしません。
好発部位は子供と同じ場所で、やはり皮脂の分泌が多い場所になります。軽傷の場合はフケが多くなったり、大きなフケの塊が頭皮にへばりついていたりします。また、顔には鼻の横や眉毛、こめかみや耳の裏などに脂っこい細い皮がついていたり赤くなっていたりします。
しかし、あまりにも症状が強く出ませんのでただのフケ症と思って放っておいたりされる方がとても多くいらっしゃいます。大人の脂漏性皮膚炎はこのように慢性化の一途をたどる事も多いので最悪の状態になって初めて治療にあたる例が多くあります。
体臭としてもあらわれてきますので、フケが多くなったな、頭皮を触ってかさぶたの様なものが感じられるようならば早めに皮膚科を受診されて治療される事をお勧めしますよ。
カビが原因!!
脂漏性皮膚炎のメカニズムは最近まであまりはっきりとはわかっていませんでした。しかし、最近マセラチアという真菌が発症に関与していることがわかってきました。マセラチアは人間だれにでも存在する常在菌の一種です。
マセラチアは皮脂を好み、それを栄養分として増殖します。マセラチアの存在が炎症を引き起こします。また、マセラチアは皮膚のバリア機能である皮脂膜の成分を分解し遊離脂肪酸に変えてしまいます。この遊離脂肪酸も皮膚に刺激を与える事が解ってきました。
皮膚を清潔に保っているだけでは根本的治癒につながる事が少ない為、一度皮膚科受診をして適切な治療を進める事が必要です。
予防法
予防の段階では、基本的に清潔を保つことが必要不可欠です。洗顔は朝・夕、洗髪は毎日が理想です。自分や子供の皮脂が多く分泌されるようだと感じるのであれば、毎日のケアを怠らないようにしたいものです。
また、医薬部外品でマセラチアなどに効く抗真菌剤入りの石鹸も市販されていますので日々のケアに取り入れる事もお勧めです。食生活ではビタミンBを多く含む食品を摂取し、皮膚刺激につながる、脂肪、砂糖、コヒー、香辛料等をなるべく避ける事が予防につながります。
まとめ
子供の脂漏性皮膚炎と大人の脂漏性皮膚炎
子供の頃の脂漏性皮膚炎とは
大人の脂漏性皮膚炎
カビが原因!!
予防法