これまで流行していた型とは別の 新型 ノロウイルス が2015年に大流行しました。免疫を持っていない人は感染しやすくなっています。健康な大人はもちろんのこと、高齢者や小さい子どもは特に注意して感染予防につとめるようにしましょう。
2015年に流行した感染力の高い新型ノロウイルスとは
ノロウイルスとは
ノロウイルスは、11月から1月にかけて急速に発生する感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。真冬の胃腸炎ではロタウイルスが多いのですが、ノロウイルスは初冬から流行が始まります。子どもでは、学校や幼稚園などでヒトからヒトへと感染することが多い病気です。
大人では、二枚貝などを加熱不足の状態で食べることなどで感染することが多いです。旅館や飲食店などで集団食中毒として発生することもあります。
ノロウイルスに感染すると、1日から2日ほどで発症します。嘔吐や吐き気、下痢、腹痛といった症状がみられます。発熱することもありますが、高熱になることは少ないといわれています。こうした症状が1日から2日ほど続き、自然に回復していきます。
感染していても発症しない人もいます。また、軽い風邪をひいたような症状で終わってしまうこともあります。
2006年、2012年に大流行したノロウイルス
ノロウイルスは5つの遺伝子グループにわけることができます。
その中で、グループI とII、さらにIVがヒトに感染する遺伝子グループとなっています。ただ、グループVIでの感染症の発生は少ないとされ、おもにグループIIで発症しているといわれています。
このグループIとIIの中にはさらにたくさんの遺伝子型があり、細分化されます。
2006年と2012年に大流行したノロウイルスは遺伝子型GII・4という型で変異しやすいという特徴を持っていました。このGII・4の遺伝子型を持つノロウイルスは、糞便中にみられるウイルスの量が非常に多いという特徴がありました。
発症率自体は低いのですが、症状があらわれていないウイルス保有者が自分でも気づかないうちに広い範囲にウイルスを拡散させたことなどが大流行の要因のひとつだと考えられています。
2015年に大流行した新型ノロウイルス
2015年に大流行した新型のノロウイルスはGII・17という型でした。この型のウイルスは感染力が非常に高く、1個のウイルスが24時間後には100万個に増えているという増殖力が高いウイルスでした。
これまで流行していたGII・4とは異なる型のため、免疫を持っている人が少なく、健康な大人でも感染、発症する人が多いという状態を生み出しました。
また、2015年の時点で市販されていた簡易型のノロウイルス検出キットを用いた検査では、GII・17は十分なウイルス量があるにも関わらず陰性になることが多く、これもまた感染を拡大させる要因のひとつとなりました。
新型ノロウイルスを予防するために
手を洗うことは手や指に付着したノロウイルスを落とす最も効果的な方法です。外から帰った時や、おやつを食べる前、食事をする前、トイレに入った後には石鹸を使って、流水でしっかりと手洗いをするようにしましょう。
小さな子どもではひとりで十分な手洗いをすることが難しいため、親が近くで爪のまわりや指の間などを重点的に洗うよう指導してあげましょう。
また、水道が近くにないなど、しっかりと手を洗うことができないときは、消毒用のエタノールを使って手指の消毒をするように習慣づけましょう。
ノロウイルスに有効だと言われる次亜塩素酸ナトリウムは汚物の消毒には大変、効果がありますが、皮膚には刺激が強すぎるため、手指の消毒には向きません。
発症してしまったら
新型ノロウイルスを発症してしまったら、対症療法を行って回復を待ちます。嘔吐が激しい場合は、吐き気止めなどを用います。下痢や嘔吐が激しい場合は、脱水に気を付けて補水を行います。
吐いてすぐに水分を摂らせると、その刺激でさらに吐いてしまうことがあります。様子を見ながら、少量ずつ経口補水液などを飲ませていきます。
ノロウイルスは感染力が非常に強いため、吐物や汚物の処理には十分に気を付けて、処理する人はマスク、手袋をつけて次亜塩素酸ナトリウムなどを使い消毒を行いましょう。
また、処理後にはしっかりと手洗いを行うことも非常に大切です。
まとめ
2015年に流行した感染力の高い新型ノロウイルスとは
ノロウイルスとは
2006年、2012年に大流行したノロウイルス
2015年に大流行した新型ノロウイルス
新型ノロウイルスを予防するために
発症してしまったら