冬場にお子様の手や足先、頬や鼻先など四肢末端などに赤く炎症を起こすことはありませんか。
これらは しもやけ といい、一時的に起こるこれらの症状は血行の不全で起こる炎症反応ですが、冬場以外に同様の症状を発症し、繰り返すようであればそれは 膠原病 の一種である全身性エリテマトーデス(SLE)の初期症状の可能性が疑われます。
特に子供の膠原病の場合、これらの症状が顕著に出現します。
しもやけと思ったら実は膠原病の可能性も
膠原病の症状とは
膠原病とは、本来体内に備わる免疫機能が何らかの原因によって異常に反応し、それが体内の細胞組織を攻撃することによって起こる自己免疫疾患を指します。特に膠原病の一種として知られる全身性エリテマトーデス(SLE)においては初期症状がしもやけの症状と非常に酷似しています。
全身性エリテマトーデス(SLE)の症状
- 四肢に対しての痒みや痛みに伴う紅斑
- 全身症状で発熱、食欲や体重の減少、全身の倦怠感
- 両頬にできる蝶形紅斑
- その他に関節痛や日光過敏症、稀に臓器不全など
子供の膠原病発症について
子供の膠原病は、症例が少なく分からない部分が多いのですが、発症時の症状が顕著なため判断は比較的容易につきます。
東京女子医科大学の膠原病リウマチセンター小児科医師である藤川敏医師が1994年から1995年にかけて調査した結果によりますと、子供において特に顕著な症状は発熱や蝶形紅斑が主で、その割合は57%と45%にのぼります。
その他にも子供の症例の80%に腎障害が見受けられ、関節異常や日光過敏症なども見受けられます。レイノー現象と呼ばれる四肢の末端が突然に白くなったり、紫色になったりする現象が起こったりもします。
これらの症状が季節関係なく発症し、症状が繰り返すようであれば膠原病の疑いが非常に高いです。
子供が膠原病になったら
上記のような症状が見受けられた場合、早急に専門医へかかるようにしましょう。膠原病はそのまま放置しておくと最悪の場合、合併症を起こし死亡することもあります。
初期症状がしもやけ及び風邪などに似ていることから、市販薬を用いて家庭治療を行う方がいますがそれは決して行わないでください。稀に解熱鎮痛薬等に含まれる有効成分によって無菌性の髄膜炎を引き起こす場合があるためです。必ず医師に相談しましょう。
治療方法
子供や成人といった年齢別や症状の重症度に関係なくステロイド薬治療が主となります。初期治療において処方された薬を徐々に減らしていき、最終的に少ない量の薬を投与しながら様子を見ます。
最近では、ステロイドパルス療法と言われる治療法があり、副作用が少ないながら、短期間かつ症状の改善が早い治療法などもあります。その他にも重症度が高い場合には、血漿交換やステロイドと共に漢方薬を処方されたりします。
症状に気づくことと治療継続の大切さ
膠原病は初期の時点で、その症状が風邪などの一般的な病気に似ていることから病気に気づきにくく、症状が悪化し内蔵などにそのダメージが蓄積され、治療に要する期間が長期にわたってしまう影響があります。
普段の生活の中でいつもと違うことに気づき、それを発見できるかどうかにより、予後を大きく左右します。小さなことに普段から気づけるように心がけましょう。
発症してしまった場合、薬の投与により症状が劇的に緩和されます。ですが自己判断をし、薬の服用を中止しないようにしましょう。多くの場合ステロイド薬が処方されていますので、突然服用を中止すると副作用であるステロイド離脱症候群になってしまうおそれがあります。
専門医の指示に従い適切な治療を行いましょう。
最後に、セカンドオピニオンという選択肢があった場合、これらの病気の症状と治療法について知っておくことが、後に役に立ちます。
まとめ
しもやけと思ったら実は膠原病の可能性も
膠原病の症状とは
子供の膠原病発症について
子供が膠原病になったら
治療方法
症状に気づくことと治療継続の大切さ