母子手帳にある成長曲線に子供の身長や体重を記入している時、標準値よりも我が子の成長が遅れているのでは?と感じたら、不安になるものです。もし子供が低身長だと診断されたら、どのような治療方法があるのでしょうか。
成長ホルモン の 注射 を中心に詳しくまとめました。
子供の低身長…成長ホルモンの注射で治療できる?
子供が低身長になる原因は?
子供の身長が低くなる原因はいくつか考えられます。もっとも一般的な理由としては両親の身長が低いという、遺伝や体質が原因となっているものです。ですが、遺伝的要素以外の部分に原因がある場合もあります。
ホルモンの病気
出産時に仮死状態になったり、事故などで脳の外傷を受けたり、脳腫瘍などを発症したりすることで、脳の下垂体に障害を負うことがあります。このような場合には下垂体から分泌される成長ホルモンの量が減り、身長の伸びが悪くなることがあります。
成長ホルモンが少ない場合には「成長ホルモン分泌不全性低身長症」、甲状腺ホルモンが少ない場合には「甲状腺機能低下症」と診断されます。
染色体の病気
女の子の場合、2,000人に1人くらいの割合で、2本あるX染色体の一部が欠損していたり1本がない「ターナー症候群」を発症していることがあります。身長だけでなく卵巣の発育も悪く思春期がみられないという特徴があります。
また、10,000人に1人くらいの割合で、15番染色体の変異が起きる「プラダー・ウイリー症候群」の発症例がみられます。低身長だけでなく乳幼児期の筋緊張の低下・肥満・発達障害などの症状がみられるという特徴があります。
子宮内発育不全
早産で予定日より早く生まれたり、妊娠満期で誕生しても身長・体重の小さな子供は子宮内発育不全(SGA性低身長症)となります。子宮内発育不全の場合には、3歳ころまでに身長の伸びがみられることが多くあります。
骨の病気
骨や軟骨に異常があり、身長が伸びない「軟骨異栄養症」があります。
臓器の異常
心臓・肝臓・消化器などの重要な臓器に病気があると、体全体に必要な栄養を取りこむことができず身長が低くなる傾向があります。
低身長の治療方法は?
低身長にはいろいろな原因がありますが成長曲線で-2SD以下の場合には、成長ホルモンを注射して体内に取り入れる治療を行います。(成長ホルモンは内服薬では効果が得られないため、注射での治療となります)
以前は通院で週に2~4回成長ホルモンを注射する必要がありましたが、現在は在宅で寝る前に家族や患者自身が注射することが可能になっています。
この「成長ホルモン療法」により、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」の場合には身長が成長曲線の基準値にぐんと近づきます。
その他の病気が原因の低身長の場合にも治療前よりも身長の伸びがみられるようになりますので、専門医を受診し相談をするようにしましょう。
成長ホルモン療法に副作用はないの?
成長ホルモンを注射で体内に取り入れる「成長ホルモン療法」を受けるとなると、心配になるのが副作用ではないでしょうか。
低身長になる子供はそのほとんどで成長ホルモンの分泌量が少なく、それを注射によって補うのが成長ホルモン療法です。ですから、不用意に心配をする必要はありません。
ですが、体質によってはまれに副作用が出る場合もあることを知っておきましょう。
発疹
注射を打った場所に発疹が出ることや、全身に発疹が出ることがあります。
頭痛や吐き気・痙攣・視力障害
成長ホルモンの影響であることを示すことが難しいですが、まれに成長ホルモンの影響で頭蓋内の圧が高まって頭痛や吐き気を感じることがあります。
注射した場所のへこみ
治療中は毎晩注射を打つ必要がありますが、同じ場所ばかりに注射をすると皮下脂肪がへこんでしまうことがあります。これは、毎回注射をする場所を変えることで回避することができます。
骨や関節が痛む
成長ホルモンの注射によって骨が急激に伸びると、「成長痛」と呼ばれる骨や関節の痛みを感じることがあります。
成長ホルモン療法を受けている間は、心配なことがあれば担当の医師に相談をするようにしましょう。
まとめ
子供の低身長…成長ホルモンの注射で治療できる?
子供が低身長になる原因は?
低身長の治療方法は?
成長ホルモン療法に副作用はないの?