鎖肛という病気を知っていますか?生まれつきの直腸や肛門の形成異常で、直腸形成奇形といわれている病気です。小さいころから家庭でのケアが必要になる 鎖肛 について、ご説明します。
鎖肛とはどんな病気?症状と治療法とは
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鎖肛とはどんな病気でしょうか
肛門は体の中に入った食べ物が、消化管の中を通って、最後に体の外に出て行く器官で、体の大切な働きをしています。鎖肛というのは、この肛門が胎児の時にうまく作られなかった病気です。
鎖肛の場合の肛門の状態は、おしりにまったく肛門が作られていない状態のものや、穴が小さいもの、肛門の位置がずれているものがあります。
鎖肛は先天性の消化管の異常のなかで一番多く、数千人に一人の割合で発生すると言われている病気です。原因は今のところ不明ですが、胎児の時になんらかの異常によって発生すると考えられています。
鎖肛とは、どんな症状が出るのでしょうか
鎖肛は生まれてすぐに発見されることがほとんどです。これは、生まれてすぐの直腸の検温でわかる時や、生後排便がないことでわかることが多いようです。
しかし瘻孔(ろうこう)といわれる皮膚や臓器に管状の穴があいている時や、肛門の位置がずれている時は、すぐに発見できないことがあります。そういう時は次のような症状が出ます。
便が出ないことがあり、腹部の膨満感や嘔吐があらわれます。腸閉塞の症状に似ています。また、男児と女児で症状が違うことがあります。
男児は尿や便にガスが混じり、女児では膣から便が出たり、子宮や膣に尿が溜まります。ひどくなると、穿孔といって腸に穴があき腹膜炎をおこし、重症になることもあります。
また、もう少し大きくなって、便が細いとか便秘をするといった症状で、肛門の位置に異常があるということがわかることもあります。
鎖肛の種類はどのように分けられているのでしょうか
鎖肛はどの部分で直腸が閉鎖しているかで分類されています。直腸の末端が正常な肛門の位置に近いところで閉鎖されているものを低位型、正常な肛門からどれくらい離れて閉鎖されているかで、中間位型と高位型にわけられています。
瘻孔がある場合、瘻孔によって他の場所につながっていることが多く、また男女でも体のつくりが違うので、細かく分類されています。
鎖肛の治療はどのようにするのでしょうか
低位型は新生児の時に肛門を作る手術、会陰式肛門形成術をします。
中間位型と高位型は新生児期に人口肛門を作る手術をします。人口肛門を作る手術は、お腹に腸の一部を出して、肛門の代わりの排泄機能を作る手術です。赤ちゃんはその人口肛門から排泄できるようになると、ミルクや母乳も飲めるようになります。
その後、ある程度成長して筋肉が発達してくると、肛門をつくる手術をします。時期は、人それぞれ鎖肛の位置や発達具合によって違いますが、適切な時期を選んで行なわれます。肛門が作られたら、人工肛門を閉鎖し手術によって作られた肛門から排便できるようになります。
鎖肛の治療後の生活について心配なことはありますか
鎖肛の治療後は排便の訓練が必要になります。これは手術をして作った肛門は狭くなりやすいのでとても大切です。
まず、手術で作った肛門から便が出るようになったら、一日一度は浣腸をし、まとまった便が出るようにしなくてはいけません。ブジーという処置を一日一度行なう事も必要です。これは、器具や指で肛門を広げ、狭くならないように訓練する処置です。
自分で排便できる年齢になったら、一日一度朝食後トイレに行っていきむようにし、排便を促すようにしましょう。どうしても便が出ないようであれば、浣腸で排便するきっかけをつくってあげるのもいいでしょう。
特に、中間位型と高位型の鎖肛の場合、排便のコントロールが難しく、便秘をしたり、便失禁がみられることがあります。
しかし、鎖肛の患者が快適な学生生活や、社会生活を送っていく上で、排便の訓練は大変重要です。訓練の期間は排便の機能の確立ができるまで何年もかかることがありますが、主治医の先生と家族との協力で、よりよい社会生活がおくれるように根気よく続けていくことが大切です。
まとめ
鎖肛とはどんな病気?症状と治療法とは
鎖肛とはどんな病気でしょうか
鎖肛とは、どんな症状が出るのでしょうか
鎖肛の種類はどのように分けられているのでしょうか
鎖肛の治療はどのようにするのでしょうか
鎖肛の治療後の生活について心配なことはありますか