再生不良性貧血は、治療が難しい血液の病気として知られています。しかし、治療法はとても進歩していて、根治する例も多くあります。病気に早く気がつき、早期に治療を受けることで治癒率も高くなります。
今回は 再生不良性貧血 の症状や治療についてお伝えします。
再生不良性貧血の症状と治療法
再生不良性貧血とは
血液は、骨髄の中にある造血幹細胞によってつくられますが、この幹細胞になんらかの異常や障害がおこり血液細胞がつくられなくなる病気です。そのため、赤血球、白血球、血小板という3種類の血液細胞がすべて減少してしまいます。
再生不良性貧血の原因
薬剤の投与やウイルス感染、大量の放射線を浴びることなどによって引きおこされる場合もありますが、ほとんどの場合は原因不明で発症します。生まれつき遺伝子に異常があって再生不良性貧血がおこるファンコニ貧血という病気がありますが、ごくまれです。
再生不良性貧血の症状
赤血球の減少によって、貧血症状があらわれます。顔色が悪く、ぐったりして元気がなくなり、頭痛を訴えるようになります。体内の酸素が不足するため呼吸が速くなり、心拍数が多くなります。これらを動機・息切れと感じる人も多くいます。
白血球の減少により、感染症にかかりやすくなり、発熱や風邪症状などの症状がみられるようになります。肺炎や敗血症のような重大な感染症にかかる危険も大きくなります。
血小板が減少するため、出血が止まりにくくなります。体のあちらこちらに内出血や点状出血がみられるようになり、鼻血や歯茎からの出血が頻繁におこるようになります。さらに症状が進むと、眼底出血や血尿、下血がみられることや、脳出血をおこすこともあります。
再生不良性貧血の治療
症状が軽い場合は、治療は行わずに経過を観察することが一般的です。治療には、大きく分けて、貧血症状に対する対症療法と造血能力の回復をめざす根治療法があります。
対症療法
感染症への治療
感染症をおこしている場合は、抗生物質を投与する治療が中心になります。白血球を増やす薬を投与する治療をおこなうこともあります。
貧血への治療
白血球を除去した赤血球を輸血する方法があります。しかし、輸血歴が少ないほうが、骨髄移植の成功率が高くなるため、ヘモグロビンの値が基準よりも下がった場合にのみ輸血をすることが基本的な治療方針です。貧血症状が重い場合は、これに限らす輸血をおこなうこともあります。
出血への治療
血小板の数が基準以下になると大量に出血する危険が高まるため、血小板輸血をおこないます。鼻血などの出血症状が頻繁にみられるような場合にも輸血による治療が検討されます。
しかし、輸血の回数が多くなると、血小板に対する抗体があらわれて血小板の働きが弱くなることがあります。そのため、輸血の回数はできるだけ少なくするように治療を行います。
根治療法
免疫抑制療法
症状が中等症になると、免疫抑制療法をおこないます。再生不良性貧血のほとんどが自己免疫反応によって、リンパ球が自分自身の細胞を壊してしまうことによっておこると考えられています。
そのため、リンパ球を抑える薬を投与して、造血を回復させることをめざします。治療を受けた50~60%の患者さんに効果があるといわれています。
造血幹細胞移植
骨髄移植では、一度、患者の骨髄を破壊し、そこへ、健康な人の骨髄を移植します。その健康な造血幹細胞が育ち造血をおこなうようになることをめざす治療です。
治療にはHLAが一致するドナーからの骨髄提供が必要となります。成人では非血縁ドナーからの移植によって、拒絶反応や移植片対宿主病がおこり早期に死亡してしまう確率が高いという結果がでています。
しかし、10歳以下の子どもでは80~90%という高い確率で移植が成功し、根治するという良好な結果がでています。治療後は、移植による副作用として粘膜障害や感染症をおこす可能性があります。
また、後遺症として成長障害や性腺障害、ホルモンの障害やがんになる確率が高くなります。
まとめ
再生不良性貧血の症状と治療法
再生不良性貧血とは
再生不良性貧血の原因
再生不良性貧血の症状
再生不良性貧血の治療