小さな子どもの集団保育ではよくみられる流行性の感染症であるりんご病。どんな治療が必要なのでしょうか? りんご病 の原因や症状、 治療 法などを深く理解することで、いち早く、りんご病の感染に気づくことができるようになります。
りんご病にはどんな治療法があるの?
りんご病とは
りんご病とはヒトパルボウイルスB19というウイルスによって感染する感染症です。子どもが多く罹患しますが、流行期や体力が低下しているときなどは大人でも感染します。正しくは、「伝染性紅斑」という流行性の発疹性疾患です。
皮膚に発疹があらわれるのがもっとも顕著な症状で、両方の頬が熟れたりんごのように赤くなるため、りんご病とよばれています。地域によっては、りんごほっぺ病というところもあります。
りんご病は長い間、なにが原因で発症するのか解明されていませんでした。1983年にヒトパルボウイルスに感染することによって発症するということが提唱され、その後に続いた研究によってこれが確実であることが判明しました。
りんご病は、咳やくしゃみなどを通して飛沫感染で、感染拡大していきます。また、ウイルスがついた手やおもちゃなどを通して、口や鼻からはいりこんでしまう接触感染でも感染していきます。
りんご病に効くワクチンが見つかっていないため、予防接種では感染を防ぐことができません。
りんご病の症状
りんご病は10日ほど潜伏期間があります。感染してもすぐには症状があらわれないため、幼稚園や保育園などでは感染拡大しやすい傾向にあります。
潜伏期間を過ぎると、両方の頬にはっきりとした赤い発疹が出現します。頬にあらわれる発疹がもっとも顕著ですが、手足や体に網目状になって広がっていくこともあります。
両方の頬に発疹が出現する7日から10日ほど前には、風邪に似た症状があらわれます。微熱が出ることもあります。実はこの期間がもっとも感染力が強いのですが、頬の発疹がまだみられないときなので、りんご病だと確定することは困難です。
頬に発疹があらわれたときには、すでに感染力は弱くなっています。頬の赤みは1週間程度で薄くなっていきます。
妊婦さんがりんご病にかかると、胎児に異常があらわれたり、流産、死産したりする危険性があるため、感染しないよう注意します。とくに、二人目を妊娠中は、上の子どもが幼稚園や保育園などでりんご病に感染する機会が多くなるので、十分な注意が必要です。
りんご病の治療
りんご病を根本的に治療するための薬はまだ開発されておらず、有効な治療法はありません。発熱や発疹などの症状が自然に改善していくのを待つという治療方針がたてられます。
それぞれの症状がつらい場合は、対症療法で様子をみながら、自然に治癒していくのを待ちます。
りんご病という確定診断がくだされるのは、両方の頬や体、手足などに赤い発疹があらわれてからになります。ですが、発疹がみられるときにはすでにウイルスを排出する量は減少しているため、ほかの人に感染させる力はほとんどありません。
本人に元気があるようであれば、普段どおりの生活を送りながら、症状が消えるのを待ちます。
りんご病でも薬を必要とするケース
普通は、自然治癒を待つりんご病ですが、免疫不全や溶血性貧血を患っている人は特別な注意が必要となります。免疫不全では、りんご病の原因であるヒトパルボウイルスB19の感染が続き、症状が長く続いてしまうことがあります。
溶血性貧血を患っている場合は、りんご病にかかると重い貧血に陥ることがあります。
こうした重症のりんご病の場合には、γ―グロブリン製剤という血清を用いて治療することがあります。ただし、こういった例はまれで、基本的には自然治癒を待ちます。
かゆみがひどいときの対処法
りんご病の赤い発疹は、ひどいかゆみをともなうことがあります。小さな子どもにはかかないように言い聞かせても、かきむしってしまい、患部を悪化させることがあります。
かゆみがひどい場合は、かゆみ止めを処方してもらうこともできるので、早めにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
ホームケアでは、体を温めるとかゆみがひどくなるため、熱いお風呂は避けるようにします。また、体を動かすと体が温かくなって、かゆみがひどくなります。いったん、かゆみがひどくなってしまうと、発疹も消えづらくなってしまいます。
かゆみ止めを塗ったり、飲んだりしても効果があまり感じられないときは、患部を冷やすようにすると、かゆみが落ち着くことがあります。子どもがかゆみを訴えたら、氷や保冷剤などをうまく使って、冷やしてあげるようにしましょう。
まとめ
りんご病にはどんな治療法があるの?
りんご病とは
りんご病の症状
りんご病の治療
りんご病でも薬を必要とするケース
かゆみがひどいときの対処法