かつては、プールで感染することが多かったため、この呼び名がついたプール熱(咽頭結膜熱)。しかし現在では、プールで感染するケースは少なくなり、それ以外のルートでの感染が増えています。 プール熱 はどのように感染するのか、また症状や治療法について、見ていきましょう。
プール以外でも感染するプール熱
プール熱はどのようにして感染するのか
プール熱は、正式には咽頭結膜熱といい、アデノウィルスが感染することによって発症します。アデノウィルスには50種類以上もの型がありますが、そのうちプール熱の原因となるのは3型と7型です。
幼児から小学校低学年が発症することが多く、例年、6月ごろから患者数が増え始め、7月下旬から8月上旬にかけて流行のピークを迎えます。
以前は、プールでアデノウィルスに感染することが多くありました。プールの水を媒介にして、目の結膜からウィルスが入り込むのです。しかし最近では、プール水の塩素濃度の管理が徹底されたこともあり、プールでの感染は少なくなってきています。
プール以外での感染としては、咳やくしゃみなどの飛沫がかかる、感染している人とタオルなどを共有する、あるいは直接接触する、といったものがほとんどです。アデノウィルスは感染力が非常に強いので、少しの接触で感染する可能性があります。
プール熱の症状とは
アデノウィルスに感染すると、4~6日の潜伏期間の後、急に高熱が出て発症します。高熱は4~5日と長く続きます。そして、頭痛や食欲不振、全身倦怠感といった症状とともに、咽頭炎が現れ、のどが強く痛むのがプール熱の特徴です。
さらに特徴的なのは、結膜炎を伴うことです。目が赤くなり、目やにが出たり、涙が止まらなくなったりします。また、光を異常にまぶしがったり(羞明)、目を痛がったりもします。
プール熱の診断は、検査でアデノウィルスが検出されるかどうかを見ます。かつてはアデノウィルスの検査には時間が掛かりましたが、最近では簡便な検査キットが開発されたことによって、20分程度で判定できるようになりました。
もし、感染が7型のアデノウィルスの場合、乳幼児や心臓や呼吸器に基礎疾患がある子供は重症化することがありますので、注意が必要です。
プール熱に有効な薬剤はない
アデノウィルスに有効な薬剤は今のところ存在しないため、プール熱に特別な治療法はありません。しかし、ほとんどの場合、数日で自然に治りますので、治療は全身症状に対する対症療法が中心になります。
病医院では、解熱剤やのどの痛みを抑える薬が処方されます。また、目の症状に対して、ほかの細菌等が同時に感染することのないように抗菌剤の含まれた目薬や、炎症を抑える目薬が処方されます。
家庭で気をつけるべきこと
プール熱は、高熱が何日も続きますので心配になりますが、解熱剤は適切に使うようにしましょう。熱も高く、咽頭炎でのどの痛みもありますので、食欲はそれほどわかないと思われます。そこで食事は、ゼリーやアイスクリーム、プリン、豆腐など、冷たくて食べやすいものがおすすめです。
もし食べるのが難しい場合でも、水分だけは十分に摂らせるようにしてください。塩分も必要ですので、スポーツドリンクや経口補水液を与えるほうがよいでしょう。このとき、スポーツドリンクは塩分量が少ないので、経口補水液がおすすめです。
入浴は、高熱が出ているときや元気がないときはやめておきましょう。それ以外であれば、入浴しても問題ありません。ただ、家族にアデノウィルスが感染する危険性がありますので、タオルの共用はしないようにします。
こんな場合は再受診を
もし、のどの痛みが強すぎて水分をあまり摂れないときや、高熱が3日間以上つづいたり、元気がなくてぐったりしているようなときは、再度、病医院を受診するようにしてください。
また、プール熱は数日で治る病気ですが、感染力が強いことから、第2種学校感染症に指定されています。そのため、発熱、咽頭炎、結膜炎といった主要症状がなくなってから2日間は出席停止となります。登校・登園するためには、医師の治癒証明書が必要になります。
まとめ
プール以外でも感染するプール熱
プール熱はどのようにして感染するのか
プール熱の症状とは
プール熱に有効な薬剤はない
家庭で気をつけるべきこと
こんな場合は再受診を