Ptsd は心的外傷後ストレス障害という病気の略です。強烈な体験後に恐怖感が強いまま心の中に残ってしまう症状です。大人と違い、子どもはなかなか自分自身の状態に気づけませんから、SOSも明確に表現できません。
早期に気づいてあげるために、 診断基準 を参考にしてみましょう。
気づきにくい子どものptsdと診断基準
なぜptsdになるの?
大きな災害や交通事故などの命の危険を感じる経験、いじめや虐待などさまざまなハラスメントによる精神的苦痛の回復は、大人でもどうにもできないことがあります。大人であっても、予期せぬできごとには困惑するものです。
子どもの場合、特に幼児ともなれば毎日起きるできごとの大半は未体験ですから、加えて命の危険やハラスメントと二重に負荷がかかれば、ptsdになり易いと推察できます。
大きな災害となれば、周囲からの理解も得られるでしょうが、精神的苦痛によるストレスは、「精神論」の根強い日本では見過ごされやすい分野です。
一方、他者を思いやる文化の日本人は、気持ちの温かさや感受性の豊かさを持った心でもありますから、強烈な恐怖体験やハラスメントに深く傷を負ってしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもは、本来さまざまな危険から大人に守られて生活しています。
そして、年齢相応の身を守る方法を学びながら、年齢相応の危険や逆境を経験することによってたくましく成長していくのでしょうが、経験値の枠を超えたできごととなると無防備な状態でさらされるのですから、強烈な印象がいつまでも留まり苦しんでしまいます。
ptsdの診断基準
年齢によって少々見え方は異なりますが、概ね以下の項目のような症状が一か月以上続いている、もしくは悪化傾向であればptsdと判断できます。
- 睡眠に障害が出る。
- 恐怖体験を繰り返し話す、再現してしまう。
- 外傷イメージを繰り返し思い出してしまう。
- 信頼できる大人から離れることを嫌がる。
- 同じことが起きないかと不安定な状態になる。
- 気力の低下、攻撃的、ひきこもりなど性格に変化がみられる。
子どもが幼児である場合は、以下のような症状もあります。
- トイレを失敗する。
- 物音に過敏になる。
- ぐずる、泣きわめく。
子どものptsdに気づくために
子どものサインに気づくためには、大人が子どもに関わりを持ち丁寧に話を聞いてあげることから始まりますが、ここで重要な注意点があります。
大きな災害時の場合
周囲の大人も混乱しているということです。先ずは目に見える外傷の手あてや看護に関心が向けられ、次に生活困難の回復に関心が向けられます。そのような状況下で、外傷のない子どもの心のケアは見過ごされやすく、結果的に後回しになるのは必然といえます。
そして、保護者自身が何らかの傷を負っている場合も当然あります。このような状況では、表現の未熟な子どもの一番の理解者は保護者ですが、負担が過多になります。できるだけ、周囲の理解と協力を得る環境づくりが重要です。
ハラスメントの場合
さまざまな状況下がありますが、この場合子どもが大人にSOSを発信できない何らかの事情を抱えている可能性があるということです。あってはならないことですが、親の虐待であれば子どもはSOSを発信しようがありません。
また、年齢が上がれば性的犯罪やいじめは子ども自身が隠そうとする傾向もあります。このような場合でも、現在の整備された日本では、子どもは何らかのかたちで複数の大人と関わりを持って生活しています。
ふとした子どもの異変に気づいたときは、注意深く見守ることや声をかけてあげるなどの配慮が一歩となるのではないでしょうか。
ptsdにならないために
年齢の低い幼児の場合、保護者が負傷していない場合はできるだけ子どもから離れずスキンシップをとるとよいでしょう。そうすることによって、ptsdの症状があったとしても早期発見につながります。
学童期以上であれば、何らかのボランティア活動に参加する方法があります。アメリカの9・11同時多発テロの経過として、ボランティア活動をした被験者にptsdを発症した人が少なかったという発表がありました。
災害などの時、周囲の人と協力して誰かのために役に立つという行動は、自身のケアになるとのことです。
孤立や孤独はそれだけでも大変なストレスとなることもあり、SOSの発信や発見の遅れにもつながります。
同じ痛みを知るもの同士なら、それだけで不安が軽減される場合もありますから、心の傷を負った子ども同士でお互いを癒すというような目的ではなく、不安が軽減された環境で共同作業をしながら回復を体験することが、自己回復力を高めてくれるかもしれません。
まとめ
気づきにくい子どものptsdと診断基準
なぜptsdになるの?
ptsdの診断基準
子どものptsdに気づくために
ptsdにならないために