尿路感染症 は小さな子供がかかりやすい病気のひとつです。成長過程の子供が繰り返すと腎機能障害を起こすこともあり、早期の発見と治療が重要です。診断された場合、 ガイドライン に基づいて治療が行われます。海外のガイドライン事情も含め、家庭で知っておきたい知識をまとめました。
トイレで痛がったら要注意!子供の尿路感染症とガイドライン
尿路感染症とは
尿道口から膀胱の中に細菌が侵入することにより起こる炎症です。細菌が膀胱にとどまっている間は膀胱炎、膀胱から尿管を経て腎臓まで進むと腎盂炎を引き起こします。尿道が短い方が細菌が侵入しやすいため、成人を含めて女性の方がかかりやすい病気です。
例外としては、1、2歳の子供では性別による頻度の違いはほとんどみられません。また、新生児では先天的な尿路の異常等が女の子よりも多いために、男の子に多くみられる病気です。
症状
赤ちゃんの場合、尿路感染症特有の症状はあまりありません。発熱と、特に思い当たることがないのに機嫌が悪い、といったカゼのような症状なので見逃しやすいため、より注意が必要です。
幼児になると、トイレに頻繁に行きたがる、痛がって泣く、トイレに行くと尿意があるにもかかわらず排尿を嫌がる、倦怠感等大人と似た症状が現れます。加えて血尿が出ることもあります。
赤ちゃん、幼児ともに発熱がある場合は、約50%が膀胱炎だけでなく腎盂炎も起こっていると考えられます。
水腎症と膀胱尿管逆流症
先天的な病気に水腎症や膀胱尿管逆流症があり、これらが原因で子供の尿路感染症が起こることがあります。
水腎症は、腎臓で作られた尿がきちんと流れずに腎臓内にたまっているために腎臓が張った状態になります。トイレを我慢してお腹が張った状態と似ています。また、腎盂炎を起こした赤ちゃん(1歳以下)の約半数が膀胱尿管逆流症です。
膀胱尿管逆流症とは、本来ならば腎臓から尿管、膀胱へと流れて体外に排出されるはずの尿が、排尿時に膀胱から尿管、腎臓へと逆戻りしてしまう状態です。
尿が体外に排出されずに腎臓に細菌が送られてしまうため、腎盂炎が起こります。膀胱と尿管の境目(つなぎ目)がきちんと閉じられていないために起こります。
ガイドライン
ガイドラインとは、診療指針や標準治療のことです。現在のところ日本では、子供の尿路感染症のガイドラインは統一されていないため、医療機関、医師によって異なります。
これに対し、例えば米国には標準化されたガイドラインがあり、診断の基準は採尿の方法と細菌の量により定められています。欧州でも定期的にガイドラインが発表されており、日本でも欧米同様に標準化が望まれています。
治療方法
膀胱炎(発熱を伴わない)には3日間の抗菌剤を服用することによって、通常は完治します。腎盂炎(高熱を伴う)の場合は2週間、抗菌剤の投与が必要です。脱水症状がみられる場合も多く、その際はまず点滴で抗菌剤を投与し、ある程度症状と体力が回復した後からは服用になります。
水腎症は、腎臓内にたまっている尿の量と症状により治療が異なります。軽くて症状がほとんどないものであれば、エコーなどによる定期的な経過観察や予防目的の抗生剤の服薬で済みますが、重い症状になると手術が必要になります。手術の場合は数日間の入院が必要になります。
膀胱尿管逆流症は、軽いものであれば成長とともに自然に消滅するので特に治療は必要ありません。逆流の程度により段階が分かれますが、どの段階でもまずは抗菌剤を服用して自然消滅を試みる治療が主になります。
年単位で服用しても消滅が見られず、逆流と逆流による問題が深刻な場合は入院を伴う手術になります。
まとめ
トイレで痛がったら要注意!子供の尿路感染症とガイドライン
尿路感染症とは
症状
水腎症と膀胱尿管逆流症
ガイドライン
治療方法