乳児死亡率を算出することで各国の経済、医療レベル、紛争の有無などの環境をはじめとした生活水準をみることができます。日本はシンガポールやノルウェーなどと並んで乳児死亡率の低さは世界でトップクラスとなっています。
今回は 乳児死亡率 を紹介します。
日本の乳児死亡率の低さは世界トップクラス(前編)
乳児死亡率とは?
乳児死亡率とは1年間における生後1年未満の乳児死亡者数を1,000に対して出された比率です。そのほか生後4週間未満の新生児の死亡数を1,000に対した比率である新生児死亡率や、生後1週間未満の死亡数を1,000に対した比率である早期新生児死亡率があります。
いずれの比率も日本国内に住む日本人だけを対象にしたもので、日本在住の外国人や外国在住の日本人は対象外としています。
また1972年(昭和47年)以前は沖縄県が含まれておらず、1944年(昭和19年)から1946年(昭和21年)は資料が不十分のため省略されています。
日本の年別乳児死亡率は?
2015年(平成27年)の乳児死亡率は1.9で1,916人で前年比では12人増加となっています。乳児死亡率は1955年(昭和30年)には39.8と7万人近い乳児が死亡しています。
1965年(昭和40年)には急激に減り18.5、1975年(昭和50年)には10.0、1985年(昭和60年)には1桁台になり5.5、1990年(平成2年)には4.6で、2000年(平成12年)の3.2以降の10年間は3.1から2.3と徐々に減少していきました。
2010年(平成22年)は2.3で2,450人、2011年(平成23年)は同率の2.3で2,463人、2012年(平成24年)で2.2で2,299人、2013年(平成25年)は2.1で2,185人、2014年(平成26年)は2.1で2,080人、2015年(平成27年)は1.9で1,916人となっています。
なぜ乳児死亡率を出すことが必要なの?
なぜ乳児死亡率が出されているのでしょうか。乳児死亡率がわかることで、その国や地域全体の生活水準などがわかるのです。
乳児死亡率を限りなく0に近づけるためには、その国や地域の医療の発展状況をはじめ、経済的な面や衛生的な面を改善していく必要があるということになるのです。
世界的に乳児死亡率がもっとも高い国は西アフリカの西部に位置するシエラレオネ共和国となっています(2013年統計)。
乳児死亡率は日本ではここ数年2前後であることに対しシエラレオネ共和国は107と非常に高い数字を示しています。シエラレオネ共和国は1990年代には内戦が勃発し2002年にやっと終結を迎えました。
しかし2014年にはシエラレオネ、リベリア、ギニアの三ヶ国を中心にエボラ出血熱が大流行しました。エボラ出血熱は高熱をはじめ風邪と似た症状が初期症状となりますが、その後内臓の機能が低下、体中から出血があり、命を落とすという非常に致死率が高い疾患です。
次いで乳児死亡率が高い国はアフリカ南西部にあるアンゴラ共和国で102(2013年統計)となっています。1960年代から長きにわたって独立戦争が続き独立を果たしたものの、その後も2000年代も内戦が続きました。
2000年代に入ってからも国土全域に埋められている数百万発ともいわれている地雷でも多くの人々が命を落としています。
世界的にみてもアフリカ地域は、長きにわたって貧困であり、水道設備なども不十分なうえに慢性的な低栄養状態が続いているにもかかわらず、年間人口増加率は非常に高いという悪循環な状態があるのです。
こういった国家背景が乳児死亡率を高くしていると考えられています。乳児死亡率の世界的な平均値が34とされている中で、日本をはじめシンガポールやノルウェーなどは2とトップクラスとされています。
まとめ
日本の乳児死亡率の低さは世界トップクラス(前編)
乳児死亡率とは?
日本の年別乳児死亡率は?
なぜ乳児死亡率を出すことが必要なの?