「小児脳腫瘍の予後・余命は種類や悪性度で異なる(前編)」では、小児脳腫瘍の種類について午後説明いたしました。後編では、小児の 脳腫瘍 においての治療法や 余命 、また治療が及ぼす影響についてご説明いたします。
小児脳腫瘍の予後・余命は種類や悪性度で異なる(後編)
治療
小児脳腫瘍の治療方法は手術、抗がん剤、放射線治療の3本柱です。手術は腫瘍をできる限り取り除くことが目的です。併用して抗がん剤や放射線治療をすることが生存率をあげることがあります。
脳は有害物質を通過させない血液脳関門というバリアがあります。このバリアで血液を介して運ばれる抗がん剤を有害物質と認識して脳組織に入ることができません。なかには腫瘍の部位や大きさでバリアが壊され抗がん剤が脳に届くと効果があります。
放射線治療は悪性腫瘍全部と良性腫瘍の1部に対し重要な治療です。できるだけ病巣に照射し正常脳に当たる量を少なくする工夫が必要です。放射線治療が有効な腫瘍には同時に抗がん剤も効果をしめすことが多いです。
晩期障害
晩期障害とは治療後に時間が経過して現れる症状のことです。脳腫瘍自体の影響ではありません。必要な治療で使用した抗がん剤や放射線、手術、輸血が原因です。障害の内容は脳腫瘍の重症度、発症年齢、発症部位によります。
脳は3歳で完成して思春期まで発達します。発症年齢が低年齢であるほど脳への影響は大きくなります。放射線治療では照射する部位、線量、年齢が問題です。下垂体は放射線の影響を受けやすくホルモン分泌障害をひきおこします。全脳に照射すると学習障害やIQ低下します。
7歳未満での放射線治療では徐々にIQ低下していきます。原則として3歳未満には放射線治療をしないことが原則です。
予後・余命
15歳未満の脳腫瘍は小児ガン10万人に対して3.5人の確率で発症しています。4歳~8歳の年齢では脳腫瘍死亡率は白血病死亡率より上回ります。死をもたらす可能性の脳腫瘍には良性腫瘍もあります。良性腫瘍でも死亡の可能性があることが死亡率を上げる原因となります。
15歳未満の癌死率が最も多いことになります。脳腫瘍の病理組織は多彩です。同じ種類の腫瘍でも発生場所や年齢により予後・余命が異なります。
小児脳腫瘍の症例はたくさんありますが治療施設がわかれています。全ての子供に高水準の治療ができない事実が死亡率の高い原因と言われています。全ての小児脳腫瘍の子供に命の危険から守られる医療の進歩が必要です。
まとめ
小児脳腫瘍の予後・余命は種類や悪性度で異なる(後編)
小児脳腫瘍とは
種類
治療
晩期障害
予後・余命