脳腫瘍は大人に多い病気で、15歳未満の子供の割合は約8%です。しかし、子供の腫瘍の病気の中で脳腫瘍は死亡率が一位と高く、命に関わる病気であることが知られています。
大人とは違う子供の 脳腫瘍 の特徴を知っておくことが非常に大切です。
大人とは違う特徴のある子供の脳腫瘍を知る
脳腫瘍とは
子供の悪性腫瘍のうち、脳腫瘍は白血病に次いで多く、子供のがん患者全体の割合は5人に1人程度となっています。子供の脳腫瘍は珍しいものではありません。脳腫瘍という名前は頭蓋骨の中に腫瘍があることを指し示しています。
脳の腫瘍だけではなく、脳を包んでいる膜(髄膜)が腫瘍になってしまう髄膜腫(ずいまくしゅ)、脳から出る神経にできる神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)なども脳腫瘍として扱います。腫瘍は良性と悪性に分けられ、治療法や予後が異なります。
子供の脳腫瘍ができる場所は、大人に比べると脳の中心部に発生することが多いという特徴があります。喉頭蓋窩(こうとうがいか)に多く発生します。子供でも年齢によって好発部位が違い、発生しやすい脳腫瘍の種類も異なります。
検査や治療の進歩により、脳腫瘍を発症しても良好な予後が期待できる場合もありますが、悪性の脳腫瘍や腫瘍の発生している場所によっては予後があまりよくないというものも多くみられます。
大人の脳腫瘍では悪性のものは全体の三分の一ほどですが、子供の脳腫瘍では三分の二が悪性であると言われています。
原因
子供の脳腫瘍がなぜ発生するかについては、現在のところまだよく分かっていません。中には遺伝性・家族発生が確認されている脳腫瘍もあります。
神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)では髄膜腫(ずいまくしゅ)、聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)が発生しやすいと言われています。ですが、大多数の子供の脳腫瘍では原因が明らかになっていません。
症状
普通、脳腫瘍が発生すると頭蓋内の圧力が高くなって、頭痛、意識障害、嘔吐などの症状があらわれます。
ですが、1歳以下の乳児は頭蓋骨縫合が閉じていないため、腫瘍があっても自然と減圧していき、圧力が高まらずに症状としてあらわれないという特徴があります。ですから、脳腫瘍が確認された時にはすでに腫瘍がかなり大きくなってしまっているということもよくあります。
脳腫瘍のできている場所や、子供の年齢、脳腫瘍の種類などによって症状のあらわれ方は異なります。脳腫瘍が大きくなってくるとけいれんや意識障害、視野欠損、顔面麻痺、失語などが症状としてあらわれます。性格の変化が症状としてみられることもあります。
検査
頭部CT検査、頭部MRI検査などの精密な画像診断により、脳腫瘍がどこに発生しているのかを確認することができるようになりました。
脳腫瘍は種類によって発生しやすい場所が異なるので、正確な場所を把握することで、脳腫瘍の種類の判断材料となります。石灰化像・嚢胞(のうほう)形成像、血管造影なども必要に応じて追加していきます。
最終的には外科的な手術で摘出した脳腫瘍の組織の病理検査を行って、診断を確実なものにします。
治療
子供の脳腫瘍は脳幹や視床下部など人間の生命を維持するために重要な部分やその周辺に発生しやすいという特徴があります。
脳腫瘍の場所を特定したら、できる限り外科的な手術で腫瘍を摘出することになります。ですが、重要な部分にあるために手術で摘出することが困難な場合もあります。
多くの脳腫瘍では、化学療法や放射線治療などが必要となります。化学療法では強力な薬剤を使うため、副作用も発生します。放射線治療は脳腫瘍の治療として非常に有効ですが、脳の発育が阻害されるという問題があるため、3歳以降で行われるのが普通です。
また、放射線治療によって、脳腫瘍以外の正常な神経細胞に障害を引き起こす可能性もあり、治療はメリットとデメリットを天秤にかけて慎重に行う必要があります。
まとめ
大人とは違う特徴のある子供の脳腫瘍を知る
脳腫瘍とは
原因
症状
検査
治療