牡蠣 のような食物を介して病原体が人の体内に入り込み、発病することを食中毒といいますが、 ノロウイルス の場合、その感染力がきわめて強い特徴があります。中でも、集団生活を余儀なくされる小児は感染の危険性が高いと言えます。
牡蠣に蓄積されたノロウイルスの感染経路と感染力
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ノロウイルスの感染源
牡蠣をはじめとするウチムラサキ貝やシジミ、ハマグリといった二枚貝がプランクトンと共に摂取することにより、ノロウイルスは中腸腺と呼ばれる気管に蓄積されます。
この感染した牡蠣を十分加熱することなく食べることにより、人の体内に取り込まれたノロウイルスは小腸上皮細胞内にて増殖します。
このノロウイルスは糞便により外部に排出されますが、下水処理場の塩素では死滅するまでの殺菌能力がないため、感染力を維持したまま海水中へと放出されます。放出されたノロウイルスは再び二枚貝により摂取され、そこからまた人へと感染します。
ノロウイルスの感染は牡蠣を介した経口感染ばかりではありません。
感染した食品や吐しゃ物、糞便などを介した接触感染や吐しゃ物やくしゃみ、日常会話などの飛沫を介した飛沫感染、吐しゃ物や糞便の処理が不十分なことから、空気中を浮遊する小粒子を介した空気感染により人から人へと伝播します。
症状と治療法
ロタウイルスに感染すると、1~2日の潜伏期間を経て発病します。主な症状としては、吐き気や嘔吐、下痢、発熱、腹痛があげられます。しかし、症状には個人差があり、吐き気だけで終わる人もいれば、十数回に渡り嘔吐や下痢を繰り返し、脱水症状まで引き起こす人もいます。
嘔吐だけであれば2日程で治りますが、下痢の症状に関しては幼い乳幼児ほど長引く傾向があります。その期間にも個人差はありますが、2週間から長いと1ヶ月程かかることもあります。乳幼児の場合、点滴が必要な程、脱水症状が進行するケースもあることから注意が必要です。
ウイルス性の胃腸炎の場合、特効薬がないため、治療法としては対処療法を行います。整腸剤や解熱剤など症状に合わせた薬物療法が行われますが、下痢止めについては、ウイルスの排除を妨げることになり回復が遅れることから、症状が酷い場合にのみ処方されます。
また、自宅での食事療法も大切です。傷付いた粘膜が回復し、自然に食欲が湧く間での間は、脱水症状を起こさないように経口補水液などで水分補給をしながら、胃腸を休め、その後、徐々に胃腸に負担をかけないように消化に良いものから食事を開始します。
予防策
経口感染するケースの多いノロウイルスの予防策として、日常的に心がけておくべきことは手洗いうがいになります。また、ノロウイルスは熱に弱いため、食品を十分加熱することでウイルスの活動を止めることができます。
その際、食品の中心温度が85℃以上になる状態で1分以上加熱することが望ましいとされています。また、まな板などの調理器具には熱湯消毒が有効と言われています。
この他、感染した場合の対処法も重要になります。吐しゃ物の処理にはマスクや手袋などで完全防備し、二次感染を防ぎましょう。
汚染物はビニール袋などで塞いで破棄することがベストではありますが、それが不可能な場合、煮洗いや熱湯消毒、塩素系漂白剤によりしっかり殺菌処理することが必要です。
また、普段の生活の中でも、ノロウイルスが流行している時期であれば、マスクを着用することで飛沫感染を防ぐことができます。あらゆる感染経路を全て防ぐことは難しいですが、二次感染や集団感染を防ぐためにはこのような対策をしっかりと行う必要があると言えるでしょう。
最新情報
ノロウイルスは大きく2つの遺伝子グループに分けられますが、タイプ1に14、タイプ2に17の血清型が存在します。この遺伝子型については現在も新しいタイプの存在が確認されています。
最新の研究では、人の血液型抗原がこれらの血清型のレセプターになることがわかっており、血清型によって利用する血液型抗原が異なっている可能性があることが明らかになりました。
牡蠣を食べても当たる人とそうでない人がいるのはここに原因があるわけです。今後、この研究がもっと進めば、有効な治療法の発見や流行の抑制などの糸口が見つかり、予防策でしか対処できない現状を変えることができるかもしれません。
まとめ
牡蠣に蓄積されたノロウイルスの感染経路と感染力
ノロウイルスの感染源
症状と治療法
予防策
最新情報