毎年11~1月にかけて流行する感染性胃腸炎の原因になるノロウイルスは非常に感染力が強く、少量でも感染能力があります。感染して発症した場合にはどのような治療が施されるのでしょうか。
ノロウイルス と 薬 についてご紹介いたします。
特効薬のないノロウイルスには消毒薬が頼みの綱かもしれない
ノロウイルスに感染すると
ノロウイルスに感染すると1~2日の潜伏期間を経て、吐き気・おう吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が出ます。健康な方の場合には、通常1~2日で快方に向かい、自然に治癒します。
ただし、高齢者や子供の場合には、1日に20回以上の下痢のために脱水症状を引き起こしてしまったり、吐物を気道に詰まらせてしまうようなこともあります。
感染しても発症しない場合や、症状が軽い場合には風邪症状にとどまることもありますが、そのような感染者からも発症者と同じようにウイルスを排出しますので、二次感染を防ぐことがなかなか困難です。
ノロウイルスの治療薬
残念ながら現在のところ、ノロウイルスに効果のある抗ウイルス薬はありません。発症した場合は対症療法が施されることになります。
また、有効なワクチンもありませんので、予防接種も受けることができません。
まだ免疫機能の発達が十分ではない乳幼児や子供が感染してしまった場合には、脱水症状を起こさないように水分とミネラル分の補給に十分な注意を払う必要があります。
吐き気やおう吐がある場合には水分補給がうまくいかないことも多いものです。脱水症状が疑われる場合には、小児科を受診して、適切な輸液を行うなどの治療を受けるとよいでしょう。
下痢は体内に侵入したノロウイルスを急速に排出しようとする生体反応です。下痢止め薬を使用することで、回復を遅らせるようなこともありますので、素人判断で下痢止め薬を使用することは避けましょう。
発熱も、体温を上げて免疫力をアップしようとする生体反応と言えます。下痢止め薬と同様に、素人判断での解熱剤の使用も慎むべきです。
3日以上の発熱が続く場合には、ノロウイルス感染により免疫力が下がって、風邪やインフルエンザなどに感染したという可能性もありますので、小児科を受診してください。
ノロウイルス感染対策
上述のようにノロウイルスは非常に感染力が強い上に、発症者のみならず、感染者からもウイルスが長期間排出されます。感染対策としては、ウイルスを口に入れないことが最も大切になってきます。
ウイルスを口に入れないようにするために有効な手段は主に以下の3つだと言われています。
まずは、手洗いの励行です。帰宅時・食事前・トイレ後などにうがいと手洗いをきちんとすることが何より大切です。
食品は85℃以上で90秒以上十分に加熱したものを摂るようにしましょう。
調理場や調理器具、共用で使用するドアノブや子供が触るおもちゃなどは薬剤を用いてウイルスの除菌をするとよいでしょう。
ノロウイルスの消毒には
一般的な感染症の対策としては消毒用エタノールや逆性せっけんが用いられることが多いのですが、ノロウイルスを完全に失活化するには次亜塩酸ナトリウムの使用が推奨されています。
調理器具などの消毒には洗浄後、85℃以上で1分以上加熱するか、次亜塩酸ナトリウムの0.02%希釈液を用いて消毒します。
感染者や回復した方の便からも1週間から1か月にもわたってウイルスが排出されると言われていますので、トイレの清掃後にも0.02%希釈液を用いて消毒します。
吐物には大量のウイルスが含まれています。できるだけ乾燥させないように迅速に処理することが大切です。床などの吐物を処理した後、半径2メートル程度を次亜塩酸ナトリウムの0.1%希釈液を用いて消毒します。
まとめ
特効薬のないノロウイルスには消毒薬が頼みの綱かもしれない
ノロウイルスに感染すると
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